IGI℠セッション Dさんの旅:雪の上の海 その1
IGIは元々慢性疾患やがんの方の症状のコントロールのために医療従事者向けに作られたイメージ療法プログラムです。
Dさんのモニターセッションでは、1回目にインナーアドバイザーに会った後、2回目と3回目は、アトピーについてワークしていくことになりました。
Dさんは幼児の頃にアトピーがあり、今も緊張した時やタスクが重なった時や人が多い場所にいる時に顔が熱くなり、その後に顔と首が痒くなります。かきすぎると皮膚が切れて、局所的にアトピーになってしまいます。
まず初めに、そのような状態になってしまう心理について、その感情を初めて感じた過去の自分に会いに行くためのインナーチャイルドのセッションを行いました。
Dさんがいつも訪れる「特別な場所」は故郷の牧草地の雪景色。ただ、今回はいつもの場所とは違う場所、湖のほとりで旦那様と夕陽を眺めているところから始まりました。
インナーアドバイザーを呼ぶと、すぐに1回目のセッションでとても良好な関係を結んだ大きなグレーの狼の「海」が湖の上を走ってきてくれました。
海にアトピーのことを告げ、訪れるべき場所に連れて行ってもらうと、3歳になる前のDさんが現れました。
自殺をしようと泣き叫ぶお母さんを見て、おばあちゃんの膝の上で唖然とした様子の幼いDさん。
過呼吸になり「見えないようにしてほしい」という幼いDさんを、お母さんが見えないように、いつもの雪の牧草地に連れて行ってあげます。
そこで幼いDさんと遊びながら対話をし、お風呂に入って落ち着かせてあげます。「お母さんが死にたいなら一緒に死んであげればよかった」と言う幼いDさんに「生きてていいんだよ。あなたのせいじゃない。生きていると良い人に恵まれるよ」と教えてあげます。
リラックスをして「たまに会いたい」と言う幼い自分。今のDさんは、正直、少し荷が重いと感じます。
海に相談します。1人では無理だけど、休みの日を増やして旦那さんと湖に一緒に行ってぼーっとする時間を持てばできるかもしれない。
海に「おじいちゃんを思い出せば、おじいちゃんに話せばできるよ」とアドバイスをもらいます。
2回目のセッションが終わりました。以下はDさんの1回目のセッションと2回目のセッションの感想です。
【Dさんの1回目のセッションの感想】
今回始めてイメージ療法というものを体験させていただきましたが、しっかり緊張をほどいてくださる丁寧なガイドのおかげで徐々にリラックスすることができました。自分の内側から湧いてくるイメージは全く予想していなかったもので驚きでした。安心のスペースがいつでも還っていける内側にあるという発見は、日々の中でも緊張しやすい自分を優しく労ってくれそうです。
一回目のモニターが終わった時点ですでにこの療法の優しさに安心し、もっともっと内側の繋がりを見つめたいという気持ちになっています。
【Dさんの2回目のセッション:問題への取り組みに何か変化はありましたか?】
2回目のセッションをありがとうございました。問題の取り組み方のまえに、まず問題がなにかがわかっていなかったのかもしれないと感じられました。私のなかに、どうもつよい拮抗禁止令のようなものが内在しているのが感じられました。それは大きく暗い、プラネタリウムのドームのように全体を覆っているイメージでした。2回目のセッションの後、何度かそのドーム型の入れ物の中に入れられている感覚、それが差し迫って自分の真上に下りてくる感覚が起きました。
これまで、自分が役に立たない人間であることを許せず、なにかを得たり成し遂げたりしない限りは存在してはいけないというような切迫感がいつもあったように感じていたのかもしれないと気づきつつあります。年末でもあるので、今年の一年を振り返ってみたのですが、どんな行動の指針もやはりそこにあったと考えてみると不思議とパズルのように腑に落ちています。
先日のセッションのなかで出会ったちいさなわたしが、『わたしがいい子だから、成長が楽しみだからちゃんと育ててあげないと、そのためにわたしは生き抜いてあげないと』と、母に思ってもらいたくていつも必死だったんだと気づきました。
これまでにそのように知覚していなかった体験が、現実の中でこんなにわたしの哀しさや無気力を操作していたのかと驚いています。わからないなりに、漠然とした自分への不甲斐なさや義務感、怒りなど複雑に絡み合った感情に急き立てられていました。
まだまだ、消化に時間を要するようにも思います。けれど、近頃は瞑想をすること、呼吸を深めることをするとわりと早い段階で海が浮かびます。それが心強くも事態の深刻さを感じさせ不安にもなります。
【Dさんの2回目のセッション:良かったところ】
驚きと不安がたくさん起きた気がします。けれど、ガイドや見守っていてくれる目線がなければわたしは恐怖が打ち勝ってしまいこの景色をイメージすることもできなかったのだと思います。一人で戦いにいくような意気込みというよりも、ガイドやサポートを受けながら慎重に歩みをすすめていくなかでこそ起きる、自然な雪解けのような感じだからこそ、真実がみえてくるのだなと思いました。うまくまとまらないのですが、そのガイドにかなえさんが居てくださったことに、まずは心から感謝したいです。
<ガイドのコメント>
Dさんは1回目のセッションで海と非常に強い深いつながりを築かれたように感じました。それがあったので、2回目で海が湖の上を駆けてきてくれた時は私も感動しました。コメントの中で瞑想中に海が浮かぶことに、事態の深刻さを感じさせ不安になるとあったので、インナーアドバイザーを普段の生活でそばに感じることは深刻な状態ということではなく、自分とつながり始めている安心感の現れでもあることをお伝えしました。実際、私も何かがあればすぐに自分のインナーアドバイザーのギズモを呼び寄せて相談する習慣がついています。そしてギズモを側に感じられることで強い安心感を得ています。
この2回目のセッションはDさんにとって、ご自身を緊張状態にさせる心理を頭と体で理解する第一歩となったのでは、と感じました。
※セッション内容はクライエントご本人の承諾を得て公開しています。また、セッション内容の解釈はクライエント本人にお任せし、基本的にはガイドが解釈を行うことはしません。
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