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医師が解説!サプリメントは殆どの人に不要?
こんにちは。
予防医療の事業をやっているとお話すると、多くの投資家やビジネスパーソンの方から「サプリメントを作ってサブスクとかよくない?」「D2Cマーケットもきてるし、サプリ絶対いいよ」など、サプリメントの製造・販売を勧められます。
しかし、私たちは自社でサプリメントを絶対に作らないと決めています。それは在庫リスクを抱えるからといったビジネス的な理由ではなく、シンプルに、医学的に必要がないからです。
飽食の現代において、栄養素が不足することで特定の疾患を引き起こすリスクは極めて低いです。アルコール中毒患者におけるビタミンB1不足、妊婦における相対的葉酸不足、神経性食思不振症におけるタンパク質不足など二次的な栄養失調をきたすケースはあっても、普通に食事をしている人で疾病を引き起こすレベルに栄養が不足することはほぼありえません。
勿論発展途上国において特定の栄養素が不足し疾患を引き起こすことはありますが、先進国である日本において「〜な栄養素が不足すると大変!」などといっている会社は、自社の製品を売るために無駄に不安を煽っているだけです。
そもそも、栄養素を単独で摂取することにはほとんど価値がありません。例えば「コーヒーが動脈硬化や心血管疾患リスクを低下させる」は真実だとしても、「コーヒーにはポリフェノールが含まれている。だからポリフェノールをとるべきだ」というのは全く通用しないのです。トマトがいいからといって、リコピンを単独でとって効果があるということではないのです(実際に論文で、リコピン単独のサプリの効果はないことが示されています)。
『ある食材が身体にいいことが証明されたからといって、その中の特定の成分をサプリで取ればいいことにはならない』ということを覚えておきましょう。もしそれが事実なら、とっくにそのサプリの効果を示す論文が出ているはずです(しかし殆どありません)。
ここで、一つの論文を紹介しましょう。2019年のUmbrella reviewというもので、Annals of internal medicineという信頼できる論文に掲載されたメタ解析です。ここでは277のランダム化比較試験をまとめ、さまざまなサプリメントの効果を検証しました。
結果は、『ω3-不飽和脂肪酸(魚に含まれる身体にいい脂)による心筋梗塞抑制作用』と『葉酸の脳卒中抑制効果』がかろうじて示されただけであり、そのほか全てのサプリメントにおいて疾病予防効果は認められませんでした。
つまり現状において、「サプリメント摂取による健康効果は全くない」がほぼほぼ真実なのです。
マウスレベルでの実験や生化学の領域で特定の成分が何らかの作用を示すことが推測はされますが、実際にその成分のサプリメントが有効という論文が出てこないということは、それ単体では意味がないということになるのです。
『トマトにはリコピンが入ってるからいいよ』『ワインにはポリフェノールが入っているからいいよ』『ゴマにはセサミンが入ってるからいいよ』とかいうのは、全部推測にすぎず、全く信頼に値しないということは認識しておきましょう。
勿論、『信じるものは救われる』という言葉がありますし、有害な一部のケース(例えば喫煙者におけるビタミンA)を除けば、全否定するつもりはありません。
しかし、効果があることが示されていない or 効果がないことが示されているサプリメントを嘘の仮説を使って売るのではなく、本当に効果があると示されている食事や運動を実践できるようにサポートする方が、ずっと合理的だと思うのです。
だから、私たちはパーソナルドクターとして、本当に意味のある健康行動をとれるようにサポートすることに徹します。サプリメントをこちらから推奨することはなく、ユーザーの方によって水溶性ビタミン(B群、C)を適宜補う程度です。これもひとつ食材を足せば十分なので、基本は何も必要ないというスタンスです。
さて、今回の記事では「現代人にとってサプリメントは不要である」をテーマに話しました。少なくとも、「〜に含まれる〜の栄養素を抽出」とか、「〜の栄養素を配合」とか書いてある商品は、全く信頼できるエビデンスがない位に思ってしまって大丈夫です。
正しいヘルスリテラシーに基づいて、真の健康を手に入れましょう。
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