第1回Wellness Doctor Meetup イベントレポート‼
第1回Wellness Doctor Meetupが行われました!
予防医療・ヘルスケア領域のスタートアップ株式会社ウェルネスは、未来のドクター像を考えるイベント"Wellness Doctor Meetup"をスタート致しました。
第1回として10月23日に、医師でありながらベンチャー企業を経営するMedi Face CEOの近澤徹先生と、Wellness CEO 中田航太郎が、今の社会に求められる「医療×ビジネス」の最先端、これからの時代に求められるドクター像についてお話しして頂きました。
イベントの内容や様子について紹介させて頂きます。
トーク内容
――現在の医療現場における問題点について、どの様に捉えているのでしょうか
中田:問題点は様々あるとは思いますが、僕が感じたのは医者が忙しすぎるため、新しい事を始める余裕がない点です。待機しているだけで無限に患者さんは来院します。ペイシェントジャーニーという言葉がありますが、特に日本ではその中の診断と治療の部分だけが医者の仕事とされている印象があります。もちろんそれはすごく大事な仕事なのですが、より上流へ介入していく事もとても重要なアクションだと考えていて、それは病院内では捉え切れない課題だと思っています
近澤:確かに医師の業務過多は具体的な問題点だと思います。実際の現場では事務作業も多く、今後働き方改革も行われますが、DXやITを利用したソリューションを提供することも一つの大きな改善策になってくると思います。
中田:現場の先生方も現場で改善の余地がある事、課題に思う事などあると思いますが、そのままスルーしてしまっていることも多いと思います。そこに対して、別に起業に限らなくてもいいので、現場の仕組みを工夫したり、今より少しでもいい社会にしていくために、小さくてもいいのでイノベーションを起こすことは、とても価値があると思います。
――MedifaceとWellness、予防的な取り組みを行う両者が、現場で実際求められていることはどの様なものなのでしょうか
近澤:一定以上の規模の企業では産業医が置かれていますが、社員さん側の予防への意識は正直とても低く、産業医をほとんど活用できていない事が多いです。ストレスチェックなどで異常が出ても、実際に受診するのは数%とも言われます。さらには産業医側も、予防的な介入の経験・知識やデータ分析が十分とは言えず効果的なアプローチができていない場合もあります。これらには産業医というものが周知されていない事や、アメリカなどと違い精神的な不調を周りに言いづらい文化なども関係していて、今後解決すべき課題になっていると思います。
中田:僕たちも難しいと言われていた予防にチャレンジしていますが、最初の壁は思っていた以上に、皆さん体調悪くなるまで自分の健康に興味がない点ですね(笑)。このサービスの一番の競合は”何もしないこと”、”興味を持たないこと”です。とはいえ、”倒れてしまったらどうなりますか”と具体的な問いかけを行っていくと、その重要性を理解してくれることも多く、潜在的なニーズは存在すると考えています。また治す治されるといった感覚の強い病院とは違い、予防の領域では、より患者さんと対等な目線で”一緒に良い人生を作っていきましょう”といった視点がとても大事になってくると思います。
近澤:そこは僕もすごい共感できます。AIなどの技術を駆使したサービスはどんどん増えているが、その多くが診断や治療に関わるもので、予防的な観点のものはまだまだ少なく感じます。Apple Watchでの心電図測定など、今まで医療という病院やクリニックに閉ざされていたものが、予防的な観点を持ちながら患者さんの日常に溶け込んでいくのはとても良い流れだと思います。
――通常の医師のルートから飛び出し、新しいアプローチで医療に貢献するお二人の考える、これからの医師の姿とは
近澤:僕は8月に事業を推進するために初期研修を中断しています。通常の医師のキャリアと大きくはずれることに関して正直怖さもありましたが、事業に集中したいという強い思いから、両立が難しくなった段階で決断できました。
中田:僕も予防をやりたいという思いの中で、どう取り組んでいくか葛藤はありしました。起業はもちろんリスクも感じましたが、まだ何も持たざる者であったし、失敗は早めにした方がいいと思ったし、医者の強みとしていざとなれば元のキャリアに戻れる、といったことが後押ししてくれました。ただ、僕らは企業という道を選びましたが、自分なりの価値観のクリニックを作ったり、病院外で少しずつでも何か活動を始めたり、方法は色々あると思います。皆と同じ事をやる時代は終わっていくと思うので、個々人が考えて自分なりのアクションを起こすことが大切だと思います。
近澤:そうですね。一方で、医学生や医者でビジネスをやっている、とういだけで色物扱いをされる様な風潮もまだある気はします。医師の価値観形成に影響を与える要素として医学部教育は重要な役割を果たしていると思っていて、ここでの教育や価値観のアップデートも大切だと感じています。
中田:ウェルネスというのは病気がないだけでなく、”豊かな人生”という複合的な概念ですが、ドクター自身にももっとウェルネスな人生を送ってほしいという思いも強い。これを深く考える時間や金銭的な余裕が、残念ながら持てていない医師もいると感じています。
近澤:”医療”と”ビジネス”は別世界のものという認識が強いが、今後少子高齢化や税制の面からも、医療業界にも市場原理が流れ込み、医師にもビジネス的な視点が求められるようになる可能性は十分ある、避けては通れないのではと考えます。また、渋沢栄一の弁にもありますが道徳と経済、医療とビジネスは両立可能であると思っています。
中田:資本主義社会の中で医療だけ社会主義的な仕組みなのは確かです。今までは健康×ビジネスはやや無法地帯な感もありましたが、正しい医学的知見に基づいたものを世の中にビジネスとして出していくのは重要で、誤ったものは排除され、いいものが残っていくという形が作れれば、社会にとってもとても有益だと思います。
医療業界は他者が介入するハードルが高い一方、医師は業務過多、閉鎖的な業界でもあり、新しい視点を持ち、取り組みを行う方はまだまだ少ない。個々が広い視野でやりたいことを見つけ、医者自身もウェルネスな人生を送ってほしいといったメッセージを頂きました。
交流会
前半1時間で対談・質疑応答、後半は軽食を食べつつ交流会という形で、参加者の方に自由にお話して頂く時間を取らせていただきました。
呼吸器内科、消化器内科、救急、整形外科、脳神経外科など多様な科の先生方にお集まりいただき、遠方は名古屋からのご参加もありました。
当初予定していた2時間を大きく超え、普段繋がることができない様々な視点を持つ先生方と、対面ならではのざっくばらんな意見交換ができ、大変有意義な時間となりました。
企業情報
株式会社ウェルネス
「Wellness」は、科学的根拠に基づく病歴データや検査データを基に、医学教育や日々の臨床現場で習得した治療に関わる知識・技術だけでなく、予防医学・ビヘイビアヘルス(公衆衛生学)についても熟知した医師がカウンセリング等を行う日本初のパーソナルドクターサービスです。定期的な人間ドックや精密採血検査、専属医師との定期コーチングや365日対応、過去から現在に至る全ての健康データ管理/分析、専門医への紹介・セカンドオピニオンなどをパッケージ化し、一人ひとりにあった予防医療や生活改善プログラムを受けることが可能です。
Webサイト : https://www.wellness.jp/
株式会社Medi Face
AIによる表情解析に加えて、声や対話内容のAI解析を用いて精神疾患やメンタル不調のセルフチェックを可能にするサービス「Medi Face」を展開中。秋からはオンライン診療もスタートし、企業の従業員の方々や精神科を受診したくてもできずにいる潜在的な患者さんに向けて「Medi Face」の全国展開を進める。
Webサイト:https://medi-face.co.jp/
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