【速報】令和3年度健康経営度調査の評価2000社公開(経産省)
2022年3月15日、経済産業省が令和3年度健康経営度調査の評価結果を公開しました。
第8回を迎えたこの調査には、過去最多となる2,869法人が回答。上場企業1,058社を含みます。そのうち、評価結果の開示に同意をいただいた2,000社の評価結果であるフィードバックシートが経済産業省のホームページに掲載されました。
概況
上場企業は634社(225銘柄では158社)
データベースの公開には、健康への経営的投資について、質・量の両面から世界的にも先進的取組を行う企業を発表する意図があります。
調査結果の開示を可能とした2,000社の中には、上場企業634社を含みます。日経平均株価を構成する225銘柄では158社と、7割にあたる企業が選定されました。
評価結果データは、2000社すべてを一覧できる表と、業種別に整理された個別企業のフィードバックシート確定版PDFの形で公開されています。
業種別の内訳
業種別の内訳でいうと、多いところではサービス業(269社)と小売業(268社)が並び、次に情報・通信業(240社)が続きます。
経済産業省が整理した19業種の内訳は以下のとおりです。
水産・農林業、鉱業、建設業(計66社)
食料品(55社)
繊維製品、パルプ・紙、化学、医薬品、石油・石炭製品、ゴム製品
(計130社)ガラス・土石製品、鉄鋼、非鉄金属、金属製品(計60社)
機械(50社)
電気機器(111社)
輸送用機器(101社)
精密機器、その他製品(計54社)
電気・ガス業(17社)
陸運業、海運業、空運業、倉庫・運輸関連業(計68社)
情報・通信業(240社)
卸売業(142社)
小売業(268社)
銀行業、証券、商品先物取引業、保険業、その他金融業(計129社)
不動産業(44社)
サービス業(269社)
医療法人、社会福祉法人、健保組合(計117社)
社団・財団法人、商工会議所・商工会(計36社)
士業法人、NPO法人、公・特殊法人、その他法人(計43社)
令和3年度評価表のポイント
評価結果(フィードバックシート)の公開では、以前に健康経営度調査のフィードバックシート活用についての記事の中で詳細に解説しましたが、確定版でのシートでも次の点がわかりやすく改良されています。
偏差値の表示
評価結果に偏差値が掲載され、全体での位置づけがひとめで分かるようになりました。
戦略はストーリー形式で表示
「健康経営の戦略」についての記載は、健康経営で解決したい経営上の課題と、健康経営の実施により期待する効果の項目が、ストーリー形式の文章で記述されています。
また、「具体的な健康課題への対応」の項目でも、重点を置いている具体的な施策とその効果(効果検証)が文章記述になっており、各社が目指す健康経営の戦略や方針、課題と検証結果から取組状況を知ることができます。
国内外での評価を向上させるしくみ
健康経営の取組状況を投資対象としての企業の価値評価につなげるしくみもみられます。
前述した偏差値による指標での表示も、企業全体からの位置づけを客観的に評価するためのものです。
また、健康経営度調査に回答した各社に対しては固有の管理番号(CODE)が付されています。上場企業の管理番号は、証券コードと同一です。
2000社すべてが一覧表になったデータもあるため、簡単に並べ替えたり抽出したりすることができるようになっています。
また、国内外からの評価を高めるため、英語での情報発信も行われていきます。
「健康経営」のさらなる指標の明示に期待
前にもご紹介しましたが、今回の健康経営度調査の評価結果を踏まえ、ESG投資の指標ともいうべき「健康経営銘柄」が選定されます。今回公表された「健康経営銘柄2022」では、過去最多となる32業種50社が選定されました。
健康経営銘柄は、経済産業省と東京証券取引所がタッグを組む形で選定を行います。健康経営の取組みの指標としては健康経営度調査のフィードバックシートが用いられます。
フィードバックシートから得られる定量的な指標の評価に加え、経済産業省と東京証券取引所による質的な評価として、ROE(自己資本利益率)、前年度の回答状況、社外への情報開示の状況に関した一定の加点が行われ、健康経営銘柄が選定されるわけです。
したがって、フィードバックシートの業種別に偏差値が最高順位であったとしても必ずしも健康経営銘柄に選定されるわけではなく、各業種で最高順位企業の平均より優れているとみなされた企業も選定される場合があります。
主な選定基準としては、以下が公開されています。
「健康経営度調査」の総合評価の順位が上位20%以内であること
ROE(自己資本利益率)の直近3年間平均が0%以上または直近3年連続で下降していないこと
重大な法令違反等がないこと
最終的に50銘柄まで絞られるまでの選定の基準が、このような選定基準の範囲の中「一定の加点」という形になっていることについては、選ばれた企業の取組内容を参考にして今後の健康経営を改善したい他の企業にとってはやや物足りないといえます。
今後、国内外に健康経営を促進させるためにも、健康経営度だけでなくROEその他の評価基準についても、その指標が明示されることを期待します。
参考:
経済産業省サイト「令和3年度健康経営度調査に基づく2,000社分の評価結果を公開しました」