健康に無頓着な社員を振り向かせるには|アプリで日常生活に溶け込ませる方法
健康管理を進める中で最もよく聞く担当者の悩みが「病気になってからでは遅いのに、健康な人は無関心」という問題です。
課題解決型での思考パターンが定着していると、問題が顕在化してから原因を分析し、対処法を考える流れがあたりまえとなり、課題がないうちは日常生活を改善していくことができなくなります。
健康に対する感覚も同じです。「今年こそは健康に良い生活を送るぞ」とは誰しも思うところでしょうが、実際のところ、特に具合の悪いところがない人は健康問題に無頓着なままになってしまいがちです。
健康経営で重要となる「ポピュレーション・アプローチ」は、健康な状態の従業員も含めて広く健康行動を呼びかけるものですが、未病の人は健康への関心が低く、どこから手を付けてよいのか悩ましいとの声をよく聞きます。
アプリを入れたら解決するのか
1人1台のスマートフォンを持つのがあたりまえの現在、健康管理もアプリを入れて行動を促すことが一般的になってきました。
常に携帯する特徴を活かし、歩数をカウントするアプリなどあらかじめインストールされている健康アプリも数多く出回っています。
一方で、アプリは目的に応じて開発されているため、ユーザーの興味・関心がないと開いてもらえません。また、試したときに便利と感じなければ続けて使おうとしないでしょう。
アプリであれば何でも良いというわけではないのです。
未病のうちにアプリで積み上げたい
「運動」「食事」「睡眠」
では、どのような健康アプリであれば、興味・関心を高めて続けてもらえるのでしょうか。
まだ病気が顕在化していない場合、日常生活の中で持続させていきたい健康行動としては、「運動」「食事」「睡眠」の管理が期待されます。
代表的なところでは、歩数では歩行距離、食事ではメニューや品目、睡眠では時間などを記録するアプリがあるでしょう。
これら3要素はそれぞれのアプリで管理されるのが一般的です。
しかし、アプリをバラバラに開いて個別に入力したところで、それは単なる個人のメモにすぎません。日記と同じで情報が個人にとどまり活用範囲が限定されますし、いちいち別のアプリを立ち上げる必要があるため、記録をつけることが苦にならない人でないと長続きしないでしょう。
健康アプリには、健康に対して特段の関心をもたない人でも「気づいたら続けていた」という感覚になれるような、導入の低さと継続のしやすさが求められているのです。
健康アプリを社内情報のプラットフォームに
従業員の健康管理を目的にアプリの導入を検討する場合、健康に無関心の人でも毎日アプリを開く必要を感じさせる機能と仕組みがポイントです。
会社で統一したアプリを導入する
業務の効率化を図るため、メールやチャットツール、グループウェアなどの情報連絡・共有方法は社内で統一するのが一般的です。
同じように、健康管理アプリも会社として統一したものを導入し、会社からの連絡ツールと連動させましょう。
たとえば、年に一度は必ず行う必要のある健康診断の通知や社内アンケートなど、会社からのメールで連絡する際にアプリと連動させて簡単に確認できる仕組みにすると、「会社のこととしてやるものだ」と認識され、健康には無関心の従業員でもアプリを入れるハードルが下がります。
毎日アプリを開く習慣をつける
その後も、定期的に連絡を入れてはアプリを立ち上げる環境をつくると、自然と毎日アプリを開く習慣ができるでしょう。
その仕掛けとして使い勝手のよいのが「歩数管理」です。勤務中のちょっとした移動でも1日積もればけっこう歩いているもので、歩数という数値になると達成感も得られます。
ふだんの自分の状態を「見える化」できるデザインに
自分の健康状態に関心の低い人に対しては、日常の延長で自分の状態に気づき、少しずつ積み上げていく楽しさや面白さを味わうことで、持続的な健康行動につなげていくのがポイントです。
ここで重要なのは、自分の日常生活がどのような状態なのかをひとめで確認できる「見える化」された画面デザインです。
直感的に自分の記録や位置、傾向がわかるランキングやグラフ、アイコンなどにより、「運動」「食事」「睡眠」の健康要素がどのような状態かを把握できるデザインにしましょう。
また、健康診断や人間ドックの結果など、一定の期間に積み上げられた評価も一緒に確認することができれば、毎日の小さな行動が成果になって現れていることが実感できます。
使い勝手のよい健康アプリを社内で構築し、未病の従業員の健康レベルを向上させてポピュレーション・アプローチの推進を図りましょう。