3.0 リノベ計画を立てる

 まだまだ完全に実家の片付けが終わったわけではないが、その作業と並行してリノベ計画を立てなければならない。

 というか。

常に仕事の早い工務店のミズキさんが、間取り案を持って来てくださった。ええええ、こっちはまだ何も決まってない、っていうか考えてないんだけど。

 ちなみに、彼はすでに70歳代で工務店の代表をされている。義父が元気な頃にも色々とお世話になっていた。カナメが地元を離れたのが大学進学時なので、すでに40年近く経ってる。ぶっちゃけ地元に他の知り合いなどほとんどいない。公私ともに頼れる人はミズキさんしかいないのであーる。

気が早いなと思いながらも、CADソフトで描き上げて印刷された間取り案を見て最初に思ったのは「え、ミズキさん、70歳代だよね......」という驚きだった。そういえば海外にいる時も、ミズキさんのホームページに書かれていたメールアドレスに修理の依頼をしたら、完璧に通じて対応してくださったっけ。っていうか、検索すればちゃんと引っかかる、キチンとホームページがあることもすごい。それも10年くらい前の話だから、テクノロジーへの適応能力がすこぶる高い方である。

カナメは、「なるほど。うーん、でもちょっと違うかな、キッチンはここじゃないでしょ」等々つぶやいていたが、こちとら初耳である。

は???

リノベって、色々と作り替えるってこと?キレイに片付けて壁紙張り替えるとか、そういうことじゃなくて、間取りも変えるの?聞いてない聞いてない。知らない知らない。ってか、そんなことしたらいくらかかるのよ!!!!

色々と夫婦間で全くのコンセンサスがとれていないまま、話が進んでいくことにビビりまくりの私。どこからツッコミかませばいいのかすらわからない。そこでカナメの真意を問うことに。

ということで、彼の話を総合すると、

1)居住空間として建てられた5階、6階のうち、実母の生活圏であった6階は、とりあえずそのまま残す(メンテナンスが必要なところを修理するのみ)

2)子供部屋として使っていた(自分がかつて住んでいた)5階部分をリノベして、オフィス兼住居として使う

3)ミズキさんと相談した結果、ざっくりとしたリノベ費用は自分が考えている予算内におさめることができそう(で、予算っていくらよ、いくら!!!!)

4)故に、はやく間取りを決めてくれい

ということであった。

5階......

この話が出たのは、ちょうど衣類の片付けをしている途中だった。5階に残された衣類については何とか分類して、残すものはまとめて4階に移し、廃棄するものはゴミ袋に入れて3階に積み上げておいた。その作業の中で、5階部分のカオスぶりは分かっている。複数のタンス、大量の寝具が積み上がっているその場所を、リノベして住めるイメージが全くわかない。

 ちなみに、テナントが出て行って久しい居住階以外のフロアのうち、4階と3階は事務所仕様になっている。そこにも義父母の残したものが大量にある。可燃ゴミを廃棄していくうちに空間ができてきたので、そこをさらにゴミ袋の集積スペースとして設定した。テナントのいないビルに収益性はないが、少なくともゴミ袋を保管しておくスペースだけはある(だからこれほどまでにモノが残されている、とも言えるが(汗))。

 上階で出たゴミを下の階に下ろすと、とりあえず目の前のモノの絶対量は減るので、気分的にもぐっと楽になる。

が、5階部分にはまだモノが大量に置かれたままだったので、現実のイメージから離れて自由にリノベ後の風景を思い描けと言われても無理がある。

とりあえず、敷地面積15坪程度のエリアに、自分たちが望む間取りをゼロから作り上げなければならない。

一生賃貸暮らし。35年ローンで家を建てるなんてナンセンス!家族サイズに合わせて賃貸物件を渡り歩くぞ!と漫然と思っていた私には、「理想の間取り」なんてものを脳内に描いたことなど一度もない。度重なる海外引越で、その国その場で予算内の物件に数年住む。そんな生活を17年続けてきた。子供たちもすでに家を出て、身軽な私たち夫婦二人に、理想の住まいの具体的イメージがないことに自分でも驚いた。

自由に間取りを考えてと言われても。

新築二階建てを一から建てるわけでもないし。

ってか15坪でできることって何よ。

 ゼロのゼロから、そして憧れのマイホームなんて考えて考えたこともない私に、いきなり「キミの好きなように、家をつくっていいよ♡」って言われてもどうするのよっ。「15坪だよ♡」って........

前途多難な感じが漂ってはいたが、リノベ計画はここからスタートした。

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