田舎の物価は安い、でも高くても売れる

 なんのこっちゃだが。

 我が家からアクセス可能なエリアに、昨年オサレな美容院ができた。その店長さんは、長らく都会で美容師をしていたが、この田舎に戻ってきて開業したそうだ。彼と話をしていて、なるほどと思ったのが、

「田舎って競争がないから、料金を高く設定することができる。固定客さえつけば、田舎でのサービス業って美味しいビジネスなんですよ。」

という話。

確かに。

彼曰く、都会には美容院が乱立していて競争が激しく、近くの美容院が安くすると、自分のところも同じように下げていかないと、お客さんはすぐに離れて行っちゃうらしい。もちろん回転率も高いし仕事は忙しく、刺激に満ちて良い面も多々あったけれど、ある程度の年齢になると色々と考えることも多くなるらしい。

田舎の店舗の固定費って、都会のそれと比較にならないくらい安い。そして彼は、内装の多くも自分で手がけて、お店のコンセプトに合う設備もネットの中古品売買サイト(ヤフオクやメルカリなど)で調達したので、意外とコストはかかっていないとのことだった。

 田舎であろうと何処であろうと、美容院で髪を切り、セットをしてもらい、パーマをして、ヘアダイをすることに、人々はお金をキチンと払う。競争がなく、かつ暴利を貪るわけではない適正価格であれば、誰も何も文句を言わない。そしてその彼のスキルは都会で揉まれたそれであるため、

めっちゃカッコいいのだ!!!

田舎の美容院で、都会と遜色ないヘアスタイルにバッチリ決めてくれる、そのスキルに、田舎の人が高いと文句を言うとでも?

否、である。いくらでも払うがな。

地方都市によって世帯の収入源はさまざまだが、うちが住むエリアの人たちは、大体ダブルインカムで、家は親に建ててもらっていて固定費が低い。さらにダブルインカムだった両親にはたっぷりの年金があり、その援助も降ってくる

意外と現金貯蓄があるのよーん。

大都会の若い方は、多分収入は多いが支出も多く、意外と貯金がなかったりするのだが、その逆を行くのである。

現金は持っていても、使うところがないので、そのエリアに新しいものが出来ると、みんなでこぞって(列をなして)お金を落としに行く。

また別のエリアに、週末しか開かないケーキ店がオープンしたが、こんな田舎なのにいつも行列だ。そして先日、いつも行く生協の店舗先にハンバーガーの移動販売車が停まっていたのだが、そこにも行列が。

そして、それらは総じて強気の価格設定なのだが、それが理由で売れないなんてことは一切ない。美味しいものは高くても(いや、それほど高いわけではなく適正な価格なのだが)、ちゃんと売れる。

 考え込んじゃったわよ。

 大阪生まれの大阪育ちの私にしてみれば、お商売とは、ガンガン攻めて、ガッポガッポ稼いでとにかく忙しいイメージがある。「儲かりまっか〜」「ぼちぼちでんな〜」という景気の良い雰囲気のものがイコール「商い」のムードだったのだが、こういう表向きはゆったりのんびり、裏でがっぽりウハウハみたいな世界もあるんだなぁと驚いてしまった。

 都会の人は、知らない世界なのかも、と思ったり。

 都会の激戦区でなければ、(ある程度の人口がある適度な田舎という条件はつくが)意外と安売りせずにお店を継続することは難しいことではないのかも。それはひとえに「固定費が圧倒的に安い」というメリットに尽きる。

 田舎には仕事がない。そういう理由で都会に留まっている人は多いと思うのだが、自分に何らかのスキルがあり、店舗を構えるタイプの起業を計画しているのであれば、地方都市でトライしてみるのも良いのかもしれないよ。

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