持ち家か賃貸か、個人的な決定因子
カナメはよく「オレ、自分でも『これはよくやったな』と思うデシジョンメイキング(意思決定)が色々とあるんだけど、その最大のものは家を買わなかったことだな。」
と言う。
確かに、東京に住んでいた時に、周囲に家を購入した人がいっぱいいたから、その流れで「持ち家が欲しい」と思っても不思議ではなかったが、いかんせんカナメは転勤族であった。その状態で、どこに何を建てられたというのか(汗)。
逆に言えば、転勤のない仕事であれば、どこかの時点で家を買ったかしら?
否、である。
安全な日本に住んでいると普段は忘れているかもしれないが。
人生は、不可抗力の連続であーる。
自分一人の力では、どうにもならないことが多々降りかかってくる。その度に愚痴っていれば誰かが何とかしてくれるのなら良いのだが、悲しいかな、自分で対処しなければならない。メンタルもうまいことやり過ごして、外界の状況とは関係なく、心の中は常に一点の曇りのない、爽やかな風の吹く空間にしていたい。
だから、メンタルの安定は大事。幸せかどうかを決めるのは、脳だからね。こればかりは客観的な環境とは、多少の相関はあっても、あまり関係ないのよ。
かようにも、外界の環境よりも、心の安寧が大事なのだ。
心身穏やかに過ごすために、住環境(賃貸か持ち家か)について考えるべきことをリストアップしてみる。
1、日々の生活に関わる住環境を整えることは大事。
壁が薄く、声をひそめて生活しないといけない環境はストレスフルだし、常に日陰で日の当たらない生活も、それを望まない人にとってはストレスだろう。この辺りは個々人によって求めるものが異なるから一概には言えないが。
2、無理なローン返済などの経済的プレッシャーは、メンタルに大きく影響する。
現代人におけるストレスのうち、経済的な問題の占める割合は低くない。ローン返済のために、会社を辞める辞めないに関わらず、「何があって辞められないし、転職するなら年収が同レベル以上」という制約が数十年続く生活を、精神的にキツいと感じる人もいるだろう。
3、家族の構成は可変である。
結婚、出産、子供の独立、介護その他種々の理由で、家族の構成人数は、ほぼ確実に変わる。それに即座に対応できる体制をとっておくことも重要である。
4、自分は必ず老いるので、老後資産は少しでも多く。
車椅子の生活になったり、長期入院からの施設入所など。老後になって住環境を変える可能性は高いので、それに備えて余裕資金は確保したい。
5、住む場所はいつでも変えられる、という心の安寧がもたらすポジティブな影響は意外と大きい。
隣人トラブル、子供の学校問題、突然の職場変更などなど、人生には不確定要素が多い。そして家族の構成人数が多ければ多いほど、トラブルの発生可能性は必ず上がる。いざとなったらサクッと引越できるオプションは、用意しておきたい。
6、購入しても、タダでは住めない。
固定資産税と家のメンテナンス料は一生かかる。マンションならば管理費や補修費積立金などがかかる。
結論。
(東京や地方の県庁所在地の一等地などに)現金一括で購入しても資産が潤沢に余る、または不安にならない程度の貯金が残る人のみ持ち家
かと。
一等地というのは、「売ろうと思ったらすぐ売れる物件」ということ。ぶっちゃけ、売れるか売れないかというのはタイミングもある。かつ一等地という判定が客観的な数字に基づくものではなく、個人的な希望的観測に基づくものなら論外だよね。
逆に購入価格が極端に抑えられて(親の援助がある、そもそもの物件購入価格が低いなど)、手元に貯金が残る場合も、問題がないだろう。
それ以外の人は、賃貸の方がいい。
人生何があるか分からない。引越したいと思う状況が必ずどこかの時点で出てくるからだ。だからサクッと引越できる状況にするためには、そのための余剰資金があることが大前提。ローン返済でギリギリの家計という状況では、引越など無理無理。現状で耐え忍ぶしかなく、心の安寧にはほど遠い。
さて。賃貸物件を借りる際に、ある程度経済的に余裕のある方は、
分譲物件を借りる
というのが良い。
最初から賃貸用の物件とは作りが違う。当然、賃料は上がるが、壁は厚くて快適だし、周辺の環境がよかったり、マンションの場合は、設備(ジムなど)が整っていたりするからだ。特に外国人(駐在員)向けの物件があるのだが、作りも頑丈で広さも十分であるが、駐在員は数年ごとに国際転勤して行くので、物件としては良いにもかかわらず賃貸市場に出ていることがある。今ならかなり安くなっているのではないかと思う。
でも、住宅ローン減税を利用しないのはもったいないと思う人は多いと思う。
カナメ「オレ、ローンを組んで家を買うということ自体が、そもそもメンタルやられそうなんだよね。オレの人生、もう決まっちゃったなという絶望に近い気持ちになる。もしローンが残っていたら、会社辞められてないだろうし。」
だよね。
日本の労働年齢における男性の自殺が多い理由の一つが、この住宅ローンのシステムじゃないかと思ったりする。あくまでも私の個人的な印象だけど。
だから、無理なローンを組んで会社を辞められない状況に追い込むのは、不確実性の高い時代においては、賢明な選択とは言えないかもしれない。
とは言え、個々人によって状況は異なるのは、最終的には自己責任での自己判断ということになる。
つまり私が言いたいのは、経済性だけで物事を決定してはいけないということ。住宅ローン減税を利用しないのは損だとか、毎月払い続けても自分のものにならないのは勿体無いとか、色々と理由はあるだろうが、いつでも引っ越せる(=いざとなったら会社を辞められる)という状況に勝る心の安寧はない。もちろん、環境の良い場所に住み、隣人とのトラブルも一切ないし、家族は全員ずっとこの地でハッピーで、構成人数も不変であるという確証があるのであれば、この限りではない。
このnoteでは、個人的かつ精神的な部分の話を中心に賃貸か持ち家か論争について書いてみたけれど、より的確な評価指標を示してくださるのが、ちきりんさんの「賃貸か購入か」。Kindle Unlimitedで読めるよ。