3.13 私の欲しいキッチンがどこにもない

 日本に帰国してからずっとずっと欲しかったものを、とうとうAmazon Prime Dayでゲットしてしまった。それがSharpのヘルシオとホットクック 。両方ともに最新機種ではなく型落ち&サイズ小のもの。大は小を兼ねると一瞬考えたが、子供たちのいない我が家、カナメと私で何をつくろうとも4人分を超えることはない。そもそもそんなデカイ電気機器、置く場所ないがな。

ということで迷うはずもなく購入して使っている。ヘルシオは電子レンジも兼ねているので、なくてはならないものなのだけれども、あまり期待はしていなかったホットクックが超絶使い勝手がよく、あっという間にメインの調理マシンと化した。つまりコンロをほとんど使わなくなってしまったのだ。

ヘルシオは蒸し器としてもオーブン&グリルとしても優秀で、焼きそばを焦がさずにそこそこの量を一気に作ってくれて、フライパンを使って具材を周囲にまき散らしながら炒める気がさらさらなくなったし、味付けた鶏肉を唐揚げにもしてくれるので(しかも油を落としてくれる!)、そもそもお鍋を取り出すことすらなくなった。

電気ケトルもあるし、もともと火事が怖いのでコンロはIH一択だったので、システムキッチンの条件として以下のものをあげた。

1、水栓&シンクは必要
2、ビルトイン食洗機はマスト
3、火力はIHコンロを一つだけ
4、大きさは最小限のミニキッチンで良い(幅120~150センチ位)

要するに最小限のコストで最小限のキッチンシステムを実現したかったのだが、それが無理ゲーということがわかった。要するにネックはビルトイン食洗機だった。メーカーにもよるが、最低でも180センチ以上ないとビルトイン食洗機はつけられないことがわかった。一般的な国内メーカーだと、220センチ以上のところが多かったけれど、一社だけ180センチでも可能なものがあった。

もちろん。オーダーメイドにすれば何でもできるのだ。このサイズのここにこれをつけて、あれこれやってね、というのはもちろん可能。ただし。それはお仕着せのシステムキッチン以上のコストがかかる。

食洗機が不要であれば選択肢は豊富にあったが、過去に主婦湿疹で長年苦しめられた私としては、ここは外せないラインだったのだが。

 間取り図を前にあれこれと設備の配置換えをしているうちに、どうやらキッチンエリアに180センチくらいの空きは取れそうということがわかった。そして、ほぼ90%くらい、その180センチでビルトイン食洗機が入るモデルに決めてしまおうと考えが固まっていたところに新たな疑問が。

「IHコンロをキッチンにビルトインする必要があるのか?」という問いだ。

IHコンロは単独で買うと5000円程なのに、なぜシステムキッチンにあえてビルトインしないといけないのだ!そうだ!電源だけ引いておけば必要な時にIHコンロを接続して使えばいいやんか。だって使うの月に数回だよ?ということに気づいた。しかもコンロの場所を解放したら、作業エリアがどれほど広がるのか。これ、最高じゃない?

そしてスタイルとして気に入っていた唯一の選択肢、「Sanwa Companyのビルトイン食洗機の入る幅180センチのシステムキッチン」からIHコンロを取り除いてもらえるか、電話して聞いてみた。

そこで初めて知ったのだが、キッチントップ(板)は、もともとコンロ部分とシンク部分の穴が開いているものを生産しているので、一枚板を都度オプションに応じて開けているわけではないということだった。納品時には穴開きのままになります、と言われてしまったのだ。そんなの作業台にすらならない(涙)。

 食洗機を諦めれば色々と選択肢あるのにと思い込んでいたのだが、そもそもどのメーカーもシステムキッチンにはコンロの穴が開いている。メーカーさんのシステムキッチンは無理だなと思い始めていた。キッチンには色々なタイプがある。I型、L型、II型などがそれだ。一時期、II型のアイランド部分だけに、シンクと食洗機があるものがあったのだが、そもそも高額で私の描くイメージとも違っていた。

 次第に、お仕着せのシステムキッチンそのものが、そもそも私が求めているいるものと違う気がしてきた。水さえ出て食材を洗えればいい作業台程度のものになぜ数十万円もかけないといけないのか、わけがわからなくなってきた。食洗機も別売のものを設置すればもっと安くなる。もうビルトインにこだわらない方がいいと思えてきた。海外なら食洗機が単体で、そこそこの値段で買えるのに。日本の床置きの独立型食洗機は数十万円するし、場所もかなりとってしまうので、家族二人の私たちにはもったいない。

 大量生産のシステムキッチンは、さすがに使い勝手良く機能性もあり、その割には割安感もあるのでついつい手を出してしまいそうになるのだが、材質や色を変えたり、引き出しにオプションをつけたりしているうちに、あっという間に100万円を超える。料理が趣味でもなんでもない私が、なぜにそんなものに100万円もかけないといけないのか。そう考えると、アプローチを変えないといけないような気がしていた。

 実は希望のキッチンを探すことに疲れ果てていたこともあって、どんどんと気分が落ち込んで行った。私って、どうしようもなくワガママな人間なんじゃないかな、と思えてきたからだ。別にコンロが3個あろうが、世の中はそういうもんだし大は小を兼ねるし、そこを延々と細かく不満を言う私が、人間としてどうしようもなくワガママなのかも、と思うと泣きたくなってきてしまった。

一生住むと決めた家ならとことんお金をかけて理想を追求してもいい。それこそ納得いくようにフルオーダーすればいい。でも数年後に私たちの生活がどうなっているかも分からず、だからお金をかける必然性が見出せず、かといって使うたびにため息がでるような環境に身を置きたくもない。

 システムキッチンは大掛かりで桁外れに高額で、ネットで購入できるようなミニキッチンは安いけれどもビルトイン食洗機は入らないし、食洗機を後付けするスペースもない。なにより賃貸アパート感が満載でテンション上がらない。長年海外暮らしの私としては、コンパクトでも都会感のあるシンプルでステキなキッチンがそこそこの価格で実現できるはずだと思うのだが、そんなものはどこにもなかった。

もういい。賃貸アパート感満載のミニキッチンを入れて、食洗機はあきらめようかな。


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