【旅】サンライズ瀬戸:みどりの窓口10時打ちの世界
はじめて何かのアクションをとると、その世界や業界にも「私の知らない深淵なる叡智」があることに気づく。
アラ還になっても、世の中知らないことばっかり!!!!
と焦ってしまうのだ。
先日も、かねてから気になっていた「サンライズ瀬戸・出雲」の話を持ち出したときのことだ。
私「ぎえええええええ、サンライズ瀬戸と出雲って、別々の便だと思ってたんやけど、岡山で切り離すの!?」
カナメ「え、そんなことも知らんかったん? ってか、なんで別々に走らせようと思うんかな。同じところ走るのに。」
大阪生まれの大阪育ち。私鉄がメインの北大阪で育った私からすると、そもそもJRにすら馴染みがない。
大阪の私鉄では、数分おきに電車が縦横無尽に行き交う。連結させる時間の方が無駄やろ。
京都線と北千里線が淡路駅で連結して一緒に梅田に行く、なんてことなど想像すらできないがな。
がぜん興味が沸いた。乗ってみたい。
カナメ「お、いいね。オレも一度乗ってみたかったんだよね。そろそろ車両も老朽化して、突然ディスコンになる未来もないとは言えない。今のうちに乗っておくか。」
ということで、ネットで予約をとってみようと思ったのだが、しかし。
なんか……..まったく空いていない……..orz
そこから情報収集をしてみたところ、「サンライズ瀬戸・出雲は、日本に残る唯一の定期寝台列車であり、予約がなかなかとれない」ということが分かった。
サクッと来週の予約を二人分取ろうと思うのが浅はかであった(汗)。
そもそも、ネット予約が難しいらしい。
JR駅にある「みどりの窓口」で予約するといいとかなんとか。
なるほど。
そこで初めて気づいたのは、「みどりの窓口」は、すべての駅にあるわけではないということ。
最寄り駅に「みどりの窓口」が設置されているレベルの町に住んでおかないといけないな
脳内の「新規移住の適格地条件」に、この一行を加えた。
幸い、我が家の最寄りのJR駅には「みどりの窓口」があるので、ちょっと情報収集に行ってきた。
分かったことは、以下の通り。
予約は、乗車日の一か月前の午前10時から
「サンライズ瀬戸・出雲」は大人気で予約難易度は高い
ネット予約よりも窓口の方が数秒速い
もちろん平日の方がとりやすい
喫煙席の方がとりやすい
最善手は、乗車日1ヶ月前の午前10時前に窓口で待機して「10時打ち」するといい
「10時打ちって何!!!!!!」
そういう単語があるの?
そういう概念があるの!?
みんな知ってるもん!?
知らなかったの私だけ?
長い間海外にいただけではなくて、旅行と言えば飛行機か高速バス、その日気ままにサクッと切符を買って乗り込む、くらいしか経験がなかったのよね。
一か月前から鉄道の旅を予約する「10時打ち」という世界もあったのか!!
カナメ「チケット奪取の方法論は理解した。数的に
2人用 B寝台個室 サンライズツイン
の予約可能確率は限りなく低そうなので、シングル(禁煙)を狙おう。」
異論なし!
ということで、出発日の一か月前の朝9時50分頃に最寄り駅の窓口に行ってみたところ、意外なほどスムーズに状況を理解していただけた。
そこで驚いたのは、「後ろに待ち行列があっても、職員さんは我関せずで時間をかけて目前の顧客のニーズにこたえようとする」こと!
脳内で「さすが元国鉄職員!(意訳「効率ガン無視の元公務員!」)」
と思ったり。
実際は国鉄がJRになったのは、1987年のことだから、目前のこのお若い方は、まだ生まれてもいなかったとは思うが、みどりの窓口って、本当に目の前の顧客に真摯に(時間をかけて)ご対応くださるよね。
ありがたいありがたい。
私とカナメの間で懸念だったのは、「窓口にたどりつくタイミングをいつにするか」ということであった。
計画では、10分前くらいにあらかじめ話だけつけておいて、10時めがけて何度も並びなおそうかと思っていたのだ。
が、窓口でお話をしているタイミングで、職員さんに、
「あと4分ですね。このまま待ちましょう。」
と爽やかな笑顔つきで言われた時には、民間人(←しつこいw)の私とカナメは、
「そんなことが可能なのか? 後ろに人が待っているのに? いいのか? オレ、後ろから刺されないか?」
とマジで心配しちゃったくらい。
しかも、窓口が2個しかない駅で、もう一つの窓口では、私たちより前に来たおじさんが、延々と話し込んでいて、2つの窓口がふさがったまま。
なすすべもない私。
全ワタシの背中でごめんなさいの念を後ろの方に送り続ける。
生き霊みたいで却ってコワイ。
そんなこんなで背中に汗かきつつも、10時になると同時に職員さんの手がバチバチと踊る。
なんでそんなにたくさんのキーを叩かなくちゃいけないのか!!!
世の中わからないことだらけ!!!
すっげーっ!!!
すっごい早業!!!
JRの中の人になってみたい!!!
その華麗な妙技に見とれていた数秒の間に、アッという間に発券!
私「え、とれたの??」
カナメ「………..みたい。」
え、カンタンやんw
サンライズのチケットは、発売日にみどりの窓口で優秀な職員さんを9時55分頃から拘束するだけでカンタンにとれるってこと?
職員さん曰く、新幹線なども同じように予約するので、特に珍しいことでもないらしく「10時打ちで」って言うと分かってもらえるそうな。
そこでふと気づいたことは、平日の10時にみどりの窓口に来られる人は限定されるということ、つまり意外と不公平なシステムであるということ。
時間に融通の利くフリーランスの人とか、リモートワークの人か、学生さん、主婦、定年退職後の高齢の方とかにチャンスが限られるというのも、なんというかシステムのちょっとしたバグというか。
もちろんネット予約も可能なのだが、数秒の差で勝負がつく人気列車の場合は、数秒の遅延が勝敗を分けるのだし。
これってもしかすると5Gの世界だと使えない裏技なのかも、と思うと、今のうちにサンライズに乗っておいて正解やな。
日本全国を敵に回してネットでコンマ数秒を競うなんて、アラ還の私には無理ゲーだしさ。
さてさて、肝心なサンライズエクスプレスの居室についてだが。
毛布も部屋着もあるし、コンセントもある。
鏡に写っているように、ちゃんとハンガーまでついてる。
スリッパもあったよ。
空間として完璧。
部屋を完璧にロックできるから、荷物を置いたまま室外に安心して出られる。
揺れたり音がしたりするので、ちょっと気になるかなと思ったんだけど、そもそも電車って思わず寝てしまう揺らぎの世界なわけで。
朝まで爆睡できたよ!
車内のアナウンスは早朝に到着する岡山までなくて、とっても静かだった。
安心して眠れるよ。
やっぱり足を伸ばして寝ながら移動できるのって最高。
時間も有意義に使える。出発地では深夜ギリギリまで遊べたしね。
移動のコストだけを考えると割高だけど、ホテル代が含まれていると思えばコスパ良すぎるわ。
カナメ「こんなに人気が高くてチケット取れないくらいだったら、もっと寝台料金を高く設定すればいいのにな。」
確かに。
元バックパッカーとしては、「ノビノビ座席(個々に仕切りはあるがオープン寝台)」にも乗ってみたかったなー。
カナメ「寝袋持っていけばいいかも」
荷物が多くなりそうやけど、チャンスがあればまた乗ってみたい。
まだの方は、廃線になるまでに是非是非!