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5.0 リノべのリアルと結果(写真有り)

リノベの結果について写真を掲載している関係上、課金フィルタをかけておりましたが、地味なコンテンツ故、特に不特定多数のアクセスがあるとも思えないので、通常公開することにしました。

ということで、私の2019年度後半のドタバタをすべてお読み頂くことができます。

ですが、特に素敵な暮らしをしているわけでもなく、です。美的センスだけはないんですよね.......orz

そして、写真がそもそもステキに撮れない(汗)。

リノベに興味のない人にとってはどうでもいいけれど、興味のある方にとっては有意義なこともあるかなと思って、Before&Afterを公開することにしました。

こういうリノベのBefore&Afterについては、雑誌やテレビ番組でも色々とレポートされているので、あまり珍しいコンテンツでもないんですよね。でも私が色々と調べてみて分かったのは、お金をいくらでもかけられる環境であれば、いくらでもステキな空間が作れるということ。

そしてこれでもかというほどステキな画像や動画を延々と見ていて気づいたのは、「私が欲しい情報が意外となかった」ということでした。

私が見たいのは、そんなステキでセレブなお宅じゃない。本当に知りたかったのは、

お金をどれくらいかければどのレベルまでできるのか。

自分でできる部分は自分でやってみたら、どのくらいのコストが削減できるのか。

素人ができる部分はどこまでなのか。

そして狭い空間を快適にするためには、どういう選択肢があるのか。

つまり、しょぼいシニアが狭い実家をリノベする際の「リアル」でした。

ですから、ステキなリノベ画像を見てうっとりとしてデザインの参考にしたい、という方には全く意味のない記事になっていると思います。

さて、我が家のリノベについてです。

お見せしたいポイントはいくつかあって、

まず大胆に色々と削ぎ落としたキッチンと、

IKEAのKALLAXハックの部分、

そして天井を抜くとどういう感じになるのか、

という3点です。この辺りは、万人が好むスタイルではないですが、お好きな方はいらっしゃるかも、という感じです。

長々と記事を書かせて頂いた通り、まずは実家の片付けからスタートして、最終的に狭いながらも快適な我が家が出来あがりました。そしてその結果が、自分たちの想像を超える、めっちゃくちゃ住み心地の良い、田舎に住んでいるとは思えないURBANな空間になったと(自分たちは勝手に)思っています。ここまで来る過程における悩みも辛さも完全に吹き飛びました。

本文を読んでいない方に、少し要約でお伝えすると、義父が建てた6階建てのビルのワンフロアをリノベして住むことになりました。もともとは5階と6階が居住フロアで、6階部分が義父母、5階部分に高校までカナメが住んでいたそうです。フロアの居住面積は15坪ほどです。

一時は1階から4階までテナントが入り、不動産収入もそこそこあった様ですが、今では人がまずいない(汗)。

とりあえず、カナメがかつて住んでいた5階をリノベして、私たちシニア夫婦の当面の拠点にすることにしました。というのは、その当時は、年の半分以上を海外で暮らし(当時は台湾かマレーシアに長期滞在するビザを取得しようと考えていました)、日本にいる時には、この5階に滞在すればいいという程度に考えていました。

カナメは、それと同時に今まで出来なかった実家の片付けもバッチリ終えて、物理的にも心理的にもキッチリと整理して、次のライフステージに移行しようと考えたのではないかと思います。

この辺りの詳細は、これまでの章にほとんど書いているので、そちらをご覧頂ければと思います。大したこと書いてないですが.......

さて。

もともとの実家にはモノが溢れていたので、かなり時間をかけて分別をしてモノだけは出しました。その時の間取り図を描いてみたのがこれです(寸法は正確ではありませんが、自分たちで見やすいようにざっくりと描いたものです)。

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玄関を入ると左手に洋室、正面に押入れ、玄関すぐに簡易キッチンがあり、その奥に和式トイレがありました。LDKと書かれている部分は、洋室2部屋分をつなげて和室になっていました。

大量にあったモノを整理し、分別、廃棄した直後の状況です。

まだ家具のいくつかは残っていますが、とりあえず床は見えるようになりました。こんな感じでした。

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足の踏み場もないほどモノが積み上がっていたのですが、片付けをして初めて見えたフローリング部分は意外とキレイに見えました。ですが、カナメが、「この床にこの壁紙はないだろう」と当時から疑問だったそうです。色味を合わせたんだろうとは思うのですが、ちょっと今の感覚に合わないですよね。

まずドアを開けて玄関を入って右側に簡易キッチンがおいてあります。カナメはここで手を洗ったり歯磨きしたりしていたそうです。

そして、左側に応接室があり、玄関正面の壁はすべて押し入れになっていました。この押し入れの収容能力はバツグンでしたが、ここから数十枚の布団、座布団複数組、シーツや毛布などが大量に出てきました。昔は法事の度に人が泊まりに来ることもあったでしょうし、お歳暮やお中元、内祝いなどの熨斗がついた寝具も新品のまま残っていました。

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応接間には、義母の作品と美術系の書籍が多数置かれていました。この部屋のフレームは変えていません。この大型の押入れは、今回撤去することにしました。というのは、この押し入れがある限り、このエリアは通路の役割しか果たせず、デットスペースになってしまいます。それはちょっと嫌だなと思ったんです。もともと15坪しかない家に、デットスペースを作っちゃいけないですよね。

さて、押し入れをなくすということは、収納庫をどうするかを考えないといけなくなるということだったのですが、それはモノを減らすということと、モノの保管は、それが必要な場所に分散させることにしました。

応接間は次の写真のような感じでした。カナメはずっとこの部屋を拠点にして、寸法を測ってはメモをしたりと構想を練っていたようです。

天井高まで230cmという低さで、しかも窓が天井ギリギリまであるんです。この窓を二重窓にしたため、カーテンの設置が難しくなりました。そこで考えたのが、両方のコンクリートの壁にカーテンポールを設置して、そこにカーテンを通すことにしました。こんな細かいことも一つ一つ解決していかなければならないんです。

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玄関を入って右側にトイレがあり、その奥に和室二間がつながっています。

下の家具には寝具がたっぷり入っていました。それもすべて整理しました。

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和箪笥がありますが、中身を先に移動させました。カナメと二人で階下に下ろすのは難しいので、解体業者さんにお手伝い頂いて、残った家具は後日下ろしました。

さて、この2間が、リビング~ダイニングになります。

この状態から、壁紙を剥がし、天井をぶち抜き、ケイテンを外すということを、「私が」やっていきました。カナメは細かいデザインを頭脳を使ってやってくれていたので、誰でもできる肉体労働を私が担当することにしました。

いえいえ、最初は工務店のミズキさんにすべてお願いしようかなと思っていたのですが、ミズキさんは本当に良い方で、こちらの質問にも完璧に答えてくださる。壁紙貼りのざっくりとした見積り価格と、それを自分たちでやるとどのくらいなのか、それは素人でもできるのかという話を聞いているうちに、「私、やっちゃうもんね!」になってきたんですよ。

実際、壁紙をはがすなんて、簡単簡単。お子様がいらっしゃる方は、ぜひぜひ彼らにお任せしてしまっても大丈夫です。高いところで脚立に乗って作業する部分は少し危ないですが、それ以外はバンバンはがしてもらいましょう。なかなかのストレス(ないですが)解消になります。

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さて、壁紙は一気にははがせません。写真の通り、裏紙が残るので、そこをめがけて水スプレーを噴きつけて、コテでこそげ取ります。これも水分を十分に含んだ裏紙は、簡単にはがせるので、あとは根気との勝負です。

右下の様にキレイにはがせるところまでがんばります。私はこの状態で、粗目の研磨パッド(ナイロンたわしっぽいやつ)でサラサラと簡単に磨いたりもしました。

次に、私が最もエキサイトしたもの。天井はずしでございます。

まず天井の壁紙をはがしてみると、こういう天井が見えます。そこから石膏ボードをぶち抜いて行きます。とっかかりがないので、手元にあったマイナスドライバーを突き刺して穴を開けてから、手を突っ込んでバキッと下方向に力を入れると崩れていきます。正直言って楽しいですが、粉が大量に落ちてくるので、防塵服を着るか、私の様に手ぬぐいで頭を覆い、ゴーグルをして防じんマスク、長袖長ズボンで靴を履いた状態で作業します。畳の上ですが、これはすべて廃棄するので、お構いなしです。

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石膏ボードを手で崩すのは簡単なのですが、細かくポロポロと崩すよりも、できるだけ大きなフレームのまま崩す方が効率が良いことが分かってきました。力を入れる方向を微妙に変えながら、大きなピースでパキッとキレイに落とせた時には、内心ガッツポーズしたりと楽しみました。

真夏だったので、この作業中は、汗でびっしょりになりました。いくら覆っているといっても、粉塵は容赦なくあちこちから入ってくるので、体もドロドロになってしまいました。作業期間中は、電車で40分くらいかかる場所から通っていたんですよ。とりあえずシャワーを浴びることはできましたが、化粧道具など持ってきていなかったので、すっぴんで電車に乗る羽目になり(汗)、翌日から化粧品と着替え一式をリュックに詰め込んで通うことになりました。

私側の作業としては、壁紙をすべてはがし、天井の石膏ボードのすべてとケイテンをできる限り下ろしておきました。

ケイテンを下ろすのは、パズルを解くような面白さがありました。このために、書店をはしごして建築の基礎などの分厚い本を何冊もチェックし、ケイテンの組み立てプロセスを理解しました。

ミズキさんによると、下から引っ張ったらキレイに落とせるとのことだったのですが、私が力を入れると、梁が一緒に落ちて来そうに思えたので、これは取り外す順番があると考えました。脚立に乗って細かく観察してみると、接合部がどうなっているかは分かっても、どの順番で構築していったのかがすぐには理解できず。もともと書物に頼る癖があるので、書店に走ったのですが、お陰でケイテンの構造がバッチリと分かりました。そしてその逆回転をするかのように、一つずつ丁寧に外していきました。慣れてくると、これもパンパンとできるようになってくるので、脳内では「ケイテン業者さんのアシスタントになれるかも!」とチラと思いました。

次に、プロによる床解体です。

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大工のイチローさん親子が、ミズキさんの指示で丁寧に床を寸法通り切って行きます。ここで排水管やガス管の位置などを確認してもらいましたが、特に大きな問題は無く、なんとか予定通りの設備の配置で行けそうだということが分かり、安心しました。

さて、次に本格解体の日を迎えました。あっという間にスケルトン状態になりました。フレームが外れると

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押入れの裏のコンクリートは、こんな状態でした。

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結構、感動しました。思ったよりもキレイだったので!
ここがオフィスになります。

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解体業者さんが、すべての廃材を撤去してくださったところです。キレイに掃除もして頂いて、すっきりしました。右端の写真の天井に「上棟セット」が設置されております。天井を一部ぶち抜くと、あの一部が見えた時の私のビビリようったらありませんでした。何かの呪いのお札とかに見えちゃったんです。それが何を目的とするものかは今となっては分かりますが、あれを拝みながら生活したくないと切に思ったので、カナメがこの部分に天井を付け直すと聞いたときには、少し抵抗はしたものの、ちょっと安心したりもしました。

完全なるスケルトン状態ではないのですが、今まであった床はそのままで、必要な部分をくり抜いて、ここからケイテンで壁のフレームを組み立てていくことになります。もちろん、プロの作業です。

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トイレを囲うように、洗面室をつくっていきます。まずケイテンでフレームを作り(左)、そこに石膏ボードをはめ込んでいきます(右)。

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もともと窓があった部分も、隣に同じような高さのビルが立ち、光も入り込まない状態になっていたので、ここはバッサリと窓を潰します。ここはダイニングエリアになる予定。

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一度天井をぶち抜いてしまった後に、また天井を作ることになった部分です。が、天井までの高さは20センチほど上がったので、実際には、いい選択だったと思います。その分コストはかかりましたが。

色々と専門のプロの方が日々入れ代わり立ち代わり来られて、こういう人のマネージメントは、工務店のミズキさんが一人でされていました。長年チームを組んでやってるそうで、メンバーのアポ取りの電話を横で聞いていても、数十秒くらいで終わってしまう程、仕事が早い。毎日朝イチに来られて詳細の作業の打ち合わせをすると、次の現場に向かい、夕方になると作業の結果をチェックしに来られる。そのプロジェクトマネージメントの現場を間近で見て、色々と学ばせていただきました。

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開けた床は、ベニヤで塞ぎます。この上に置き敷きフローリングを貼っていきますが、それは最後の最後。内装の原則は、上から下。天井、壁、床の順です。

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天井にエアコンを設置して頂きました。こういうのは素人では完全に無理です。ちなみに商品は自分でネット購入し、事前に設置担当の電気屋さんのサトルさん(彼は自らを「電気屋です」と名乗る......)が商品の設置に必要なツールや設置場所などを確認してくれました。もちろん電気工事の開始前に、です。ここの天井はこのままのむき出し状態で行きます。

大掛かりなプロの作業が終わると、今度は内装です。この部分をセルフリノベしようと考えていたのですが、実際は自分の想像を超えていました。

壁紙を貼ればいいと思っていたのですが、まず壁がフラットではない。ガタガタの部分をキレイにパテで埋めていくのですが、びっくりする程、あちこちに大きなくぼみや穴があり、そういうものを一つずつキレイに塞ぎ、表面をサンディングしないといけません。

また、壁紙を貼らない部分は、更にそのままの状態が表にでるので、その壁自体のメンテナンスも、かなりストレスのかかるものでした。

化粧板の役目をしていた石膏ボードを取り払うと、その裏にあるコンクリートは、ちょっと一言では言えないくらいのガタガタっぷりなんですよ。流石に人目につかないことが決定している部分には、職人さんもお構いなしだったのかなと思うとちょっとガッカリしたりもしました。まさか数十年後に、石膏ボードを剥がすなんてことは考えなかったんだろうなと、そういう状態だったのですが、それをコンクリートカッターで削り取っていきます。

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これは、状態がいい方のコンクリートだったのですが、こういう突起や段差があって、あまりにも美観を損ねるので、電気カッターで切り取った後、粗目のヤスリでサンディングしていきます。

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また、こういう金属ネジが埋め込まれているので、それについては、プロの助言を得て、このようなツールを購入。このステンレスのツールを差し込んで、手でぐいっと曲げていくと、意外と簡単に取ることができます。が、この場所が、脚立に乗らないと届かない場所なので、体のバランスを崩さないように、力も適度に入れつつ外すというのは、コツのいる作業でした。

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石膏ボードはネジ止めされているので、その部分がどうしても凹みます。このままで壁紙を貼ると段差が露骨にうつるので、パテで凹凸をなくしていきます。パテを塗り、サンディングをかける、というのを2~3回くりかえします。モルタルの壁に開いた大きな段差に、ケイテンのプロのマサトシさんが、石膏ボードを埋め込んでくれたので、その段差の部分をパテで埋めていきました。途中何度もめげそうだったのは、「どこまでやりこめばいいのかがわからない」ということでした。今なら分かります。

手で触って段差を感じないレベルまでやりこまないとだめだ、ということを。

ですが、目視で見ている限り、それなりにキレイにフラットになっているように思えたので、多少見切り作業で強引にプロセスを進めてしまいましたが、適当にパテ作業をした部分は、きっちり壁紙貼りの結果に出てきちゃうんですよ........。なので、この表から見えない作業にこそ、神経を使うべきだったなと反省しています。

が、その後、住み始めると、多少の壁紙に影響したスジなど、一切気にならなくなるのも事実です。ただ、大きな穴や段差を埋めるのは、そこそこしんどい作業ですが、小さいガタガタをパテ作業でならすというのは、かなり楽しい作業でもあります。こて板でパテをこねながら、パテを壁に大胆に伸ばしていく作業は、大人になるとほとんど経験することのないような童心に戻るような感覚があります。

さて、ここからは、各エリアごとに、プロセスと結果をお伝えしていこうと思います。

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