ファイナンシャル・プランニングのプロセス

日本ファイナンシャル・プランナーズ協会編『ファイナンシャル・プランニング入門-for Students-第5版』では、「FPプロセスの6つのステップ」が紹介されています。

  1. 顧客との関係確立とその明確化

  2. 顧客データ収集と目標の明確化

  3. 顧客のファイナンス状態の分析と評価

  4. ファイナンシャル・プランの検討・作成と提示

  5. ファイナンシャル・プランの実行援助

  6. ファイナンシャル・プランの定期的見直し

顧客に対してFPを実施する場合、最初のステップ「顧客との関係確立」では以下の説明を行います。

  • ファイナンシャル・プランニングの意義と目的の説明

  • 顧客に提供するサービス内容の説明

  • プランニングのプロセスの説明

  • 顧客とプランナーのそれぞれの責任の明確化

もし、自分自身でファイナンシャル・プランを作成する場合、最初のステップ「顧客との関係確立」は不要です。その際の自分自身でファイナンシャル・プランを作成する場合のFPのプロセスは以下と想定されます。

  1. データ収集と目標の明確化

  2. ファイナンス状態の分析と評価

  3. ファイナンシャル・プランの検討・作成

  4. ファイナンシャル・プランの実行

  5. ファイナンシャル・プランの定期的見直し

実行以外の机上でできる部分について簡単に見ていきます。

データ収集と目標の明確化

自分自身でファイナンシャル・プランを作成する場合、最初に「データ収集と目標の明確化」、すなわち、情報整理と現状把握、ファイナンシャル・ゴールの設定を行います。
情報整理は、家族構成、収支や資産負債の状況、加入している保険・年金、投資に対するスタンス(リスク許容度)とこれまでの経験、生活設計上の予定や希望・考え方などです。
目標の明確化では、ライフイベント表を作成します。ライフイベント表には年次、経過年数、家族の年齢、予算、出産や住居購入など想定されるライフイベントを記載します。

データ収集は家計簿アプリを使うと効率化できます。ただし、家計簿アプリに連携できていない金融機関が漏れたり、支出の分類が適切でなかったりすることがあるので、正確なファイナンシャル・プランニングを行うには、収支や資産などの修正が必要になるかもしれません。

ライフイベントは日本FP協会のライフイベント表や一般的なスプレッドシートなどに記入しておくと便利です。

ファイナンス状態の分析と評価

「ファイナンス状態の分析と評価」では、キャッシュフロー表の作成とキャッシュフロー分析、バランスシートの作成とバランスシート分析、現状の保険加入などの保障分析などを行います。
これによって、例えば、子どもが大学に進学するタイミングで赤字になったり、老後のキャッシュフローが年金だけでは希望する生活費を確保できないなど問題点が見えてきます。

日本FP協会の便利ツールの「家計のキャッシュフロー表」や「家計のバランスシート」であったり、株式会社ウェルスペントのサイト「資産形成ハンドブック」で無料配布されているライフプランシミュレーション用ツールなどが役に立ちます。

ファイナンシャル・プランの検討・作成

「ファイナンシャル・プランの検討・作成」では、「ファイナンス状態の分析と評価」に基づく問題点に対する解決策の検討を行い、対策後のキャッシュフロー分析を行います。具体的には以下のような段階があります。

  1. 生活レベルに影響しない支出の見直し

  2. 家計支出全体や手持ち資産の見直し

  3. 収入の増加策の検討

  4. ライフプラン(イベント)の変更に伴う見直し

  5. 推奨プランの検討

プランの作成には複数のシミュレーションを行います。国や業界団体から無料で提供されているファイナンシャル・プランニングのツールも活用できます。

(私の場合、ファイナンス状態の分析と評価やファイナンシャル・プランの検討には、プログラミング言語のPythonを用いますが)

ファイナンシャル・プランの定期的見直し

ファイナンシャル・プランは一度作って終わりではなりません。環境など状況が変化したとき、考え方や目標が変化したとき税制や法律、制度の改正、経済情勢が変化したときなど、ファイナンシャル・プランの定期的な見直しが必要になります。
キャッシュフロー表などが、自身の手元ですぐ見れるスプレッドシートなどでなく、プランナー側でしか見れないツールだと、見直しに手間がかかります。

自身で主体的にファイナンシャル・プランを管理して定期的に見直すことははおすすめです。

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