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価値創造のコツ 需給観察を極めよう
35歳になってからというもの、これまで学習して気になっていたことが執筆している時に、点と点が結合して良い実践活動に繋がっていることが増えてきました。価値を生み出す際に重要なコツとしてスティーブ・ジョブズはコネクティングドットと表現しましたが、まさに毎日コネクティングドットが発生している状態です。脳内からはアイデアが溢れ出して、執筆活動にも好影響を与えています。
そのコネクティングドットの中でも今回紹介したいのは、需要のコントロールの重要性についてです。この世の中は価値を創造して、交換することで人々が支え合う仕組みになっていますが、価値とは何かという肝心なところがうまく言語に落とし込むことができていませんでした。皆さんも一度、価値とは何かについて答えてみてください。自分が納得できる最良の答えを持っているでしょうか。案外明確に答えにくいのではないでしょうか。
私は営業と商品開発の二つの事業領域を経験していますが、営業とは価値交換をするのが仕事です。自社で生み出した価値を顧客に提供して、対価として等価の金銭的価値を受け取る仕事です。もっとシンプルにいうと商品を売って代金を回収することが仕事ですね。一方で商品開発とは、価値を創造することです。様々な価値を仕入れて自社独自にブレンドして付加価値を載せて、新しい価値を創造することにあります。これも言い換えると仕入れ値よりも高い値段で売れる商品を作ることが仕事ですね。
このように仕事の文脈で価値というのは、根幹の概念であるということは理解できます。取引とは価値交換であって、金銭的価値と商品価値を交換することがビジネスなんですよね。しかし、価値交換はビジネスの現場だけではありません。プライベートの空間でも常時、価値交換は行われているのですよね。
旦那さんが仕事先で価値交換をしてきて、労働力を対価として、金銭的価値を家に持ち帰ってきた。奥さんは旦那さんが稼いできた金銭的価値を使って、スーパーに買い物に行き、カレーの材料と価値交換してきた。そして、奥さんはカレーの材料を調理して、付加価値を載せたカレーライスという商品価値を作った。これを旦那さんが食べて、ありがとうという感謝の言葉を述べて情動的価値を奥さんに提供した。奥さんはこれを受けて、明日もあなたの好きなものを作るわねと情動的価値で返した。価値創造と価値提供と価値交換はプライベートの生活でも普通に行われています。これが価値が人間の生活の根幹であるという理由ですね。
価値という言葉がこれほどまでに生活の中心的概念として活用されているにもかかわらず、文脈として伝えれば説明できるのですが、明確に定義して説明しにくい概念である理由は、ある時はお金に変わり、ある時は食材に変わり、ある時は感謝の言葉に変わるからですね。あまりにも意味を多く含める言葉なので、「やばい」と同じくらい汎用性が高い言葉なのですよ。だから文脈で説明できても正しく意味を説明しにくいのです。
価値をポジティブな感情を生むもの、幸福を感じるものと定義するのも間違いですね。例えば旅先でトイレに行きたくなったとします。近くには小さな喫茶店しかなく駆け込んだとします。そこで、こっちが困っていることを利用して、トイレの使用料は千円で先払いです!と店員に言われたとしたら、嫌な気持ちになりながら、こんな道理に反した店舗に出くわすなんてなんで不幸なんだと感じながらトイレを利用することに金銭的価値を提供するでしょう。ですから感情がポジティブになるか、幸福か不幸かは価値には関係がないのです。
価値というのは、欲しいと思った時に、欲しいものが提供された時に価値交換が起こるのです。つまり、需要と供給がマッチングした時に価値交換はなされるのですね。なので、トイレに行きたい需要と、トイレを供給する人が出会うことを価値と呼ぶのです。これは供給されているだけでは価値は発生しないということを意味します。トイレが無人島にあって誰も利用する人がいなければ価値はないのです。逆にトイレを利用したい人がいても、トイレがなければ価値は発生しないのですよね。この微妙なニュアンスが重要なのです。
先ほどのカレーを食べた夫婦の事例でいうと、奥さんは旦那さんのためにカレーライスを作ったのですが、この時点で価値はありません。旦那さんがカレーを食べたいという需要と交差点で出会うことで初めて価値が創造されるのですね。旦那さんのためを思って、明日は美味しい料理を作るわね!と言っても旦那さんが翌日出張だったらその言葉に価値は生まれないのですよね。※厳密にいうと料理を自分のために作ろうとしてくれるという気持ちは求めているので、気持ち部分には価値が発生しています。価値を創造するということは需要と供給をマッチングさせることにあるということを覚えておかないといけません。需要と供給をマッチングさせることが価値創造の根本なのですよね。
価値を創造するためには、需要を読むか、需要を喚起しないといけません。つまり、需要の読みが出発点なのです。そして、次に供給側を見ます。一見価値は提供できているように見えますが、顧客の細かな需要を完全に捉えきれているかといえば、完全なものはありません。その取りきれていない需要を集めて新しく供給すれば、需要を自分に取り込めて価値創造できることになります。
価値創造のコツは、日頃の日常生活で需給関係を観察することですね。そうすると色々な価値創造のアイデアが湧いてくるはずです。あとは投資と回収のバランスを見て自分にも利があると思えば、マーケティングミックスをデザインしてみれば良いのですね。
実際に需給関係をどうやって捉えるかというと京都の亀岡市で開催された花火大会に参加してきたのですが、普段はここまでの人数が一同に集まることがないので、電波のキャパシティが足りておらず、会場だった亀岡駅では電波が繋がりませんでした。ということはどこかの携帯会社が花火大会でも繋がるインターネットをプロモーション打てば、繋がりやすさを効果的に説明することが可能になりまくよね。本当のカバーエリアが狭かったとしても、局所的な集中箇所を押さえておき、アンテナをそこに張り巡らせておけば、低コストで繋がりやすい!というブランドを確立することに繋がりますよね。また、亀岡駅には花火大会の有料席が設置されていたのですが、花火は無料エリアからでも十分に鑑賞可能なので、おそらく需要は少なかったのではないかと思います。だったら無料開放して、集客力を高めて、企業広告をドローンを飛ばして行うとか、露店などを出店させてテナント料で稼ぐとか、B2Bから料金を徴収した方が需要があったでしょう。空き地にフリーマーケットやフードトラックを誘致するだけで良いわけですからね。あと亀岡駅では、SDGsを推進するサーキュラーエコノミーをPRする施設が完成したのですが、自然を満喫できる不動産用地や宿泊施設が弱いです。米ばたけを観光農家にするなど様々な集客手段があるので、大量の施策を地元住民と共に設計できれば、亀岡牛や米などの資源もあるので需給マッチングは可能だと思います。
的外れなことを言っている可能性はありますが、少し立ち寄った場所でもこれだけ需給関係を読むことができて、改善策は色々と思い浮かぶものです。これが地域でなくても、店舗でも需給を考察することは可能ですし、ちょっとしたコミュニティでも観察することは可能です。ビジネスやプライベートでうまく行く人は需給観察が得意なのですよね。大した商品でもないのに売るのが上手なビジネスパーソンがいますが、彼らも需給観察が得意なのですよね。だから、需給マッチングもお手のものということなのです。
日々の訓練としては、誰か人と会話している時にも、その人の需給関係を観察するのですね。この人は歳をとって暇そうだから話し相手になる人がいるとそうとう価値が上がるだろうなとか、足腰が弱いから買い物を手伝ってあげたら需要が高いだろうなとか。美容に力を入れているからSNSでフォロワーを集めているとか、恋しているとか、ビジネスで活用しようとしているのかなとかその人を取り巻くステークホルダーと需給関係を観察、想像するのです。そうすると必然的にその人の欲しいものが見えてくるのですよね。
価値創造をするためには。まずは需給観察、そして、需給マッチングするためにはどうすれば良いのか?という視点で考察してみましょう。無事に需給マッチングが発生すれば、あなたは価値創造に成功したことになります。これが使いこなせるとどんなビジネスでも人間関係でも攻略方法が見えてきます。あるいは撤退した方が良い状況も見えてくるのですね。