#03 定年退職をするということは、「3つの不安」に直面すること
~過去投稿はマガジンから~
定年退職をした人の多くは、長い時間をどうすごせばよいのかに悩むだけではなく、
「3つの不安」に直面すると考えられます。
それは、「お金」「健康」「孤独」の「3K」です。
人生100年時代では、定年後の人生が35~40年と長くなるので、まず不安になるのが「お金」、すなわち老後の生活費です。
定年退職後しばらくは退職金があるので、お金に関する切迫感はあまり感じませんが、お金は使えば減っていきます。
では年金で生活できるかというと、そもそも安心して生活できる金額の年金が支給される高齢者は少なく、
いわゆる生活費や医療費などを差し引くと、ゆとりのない生活を送らざるを得ません。
しかも年金財政は厳しくなる一方で、支給額の減額や、将来的には支給開始年齢の引き上げは必至でしょう。
また、長い自由時間を充実させるには趣味も必要で、それにもお金はかかります。
つまり定年退職をするということは、
給料という形で得られたフロー収入が途絶え、年金だけの収入になることですから、
お金に対する不安が強くなるのは当然です。
次は「健康」です。
年齢を重ねるということは、「老い」と向き合うことです。
さみしい言い方ですが、体力や運動能力が低下し、「人生の下り坂」を実感します。
現役時代は、会社に出勤することが生活のペースメーカーになっていましたが、定年退職をすると、
「きょういく(今日行くところがある)」と「きょうよう(今日用事がある)」のない生活になり、そのため生活が不規則になりやすく、
体調を崩してしまう人が少なくないのです。
会社を離れれば、精神的にも物理的にも解放され、好きな時間に起き、眠くなったら寝るという、悠々自適の生活を手に入れることはできます。
ところが、それはペースメーカーを失った生活なので、意外にも健康面でのマイナスが出てしまうのです。
最後に「孤独」です。
孤独については前段でも述べたように、多くのサラリーマンの場合、会社における人間関係が定年退職とともに途絶えてしまいます。
「きょういく」と「きょうよう」の提供元だった会社勤めがなくなるのですから、人間関係もなくなり、孤独を感じる人が少なくありません。
つまり、定年退職をするということは、
この「3K」に対する不安に同時に直面することなのです。
※本コンテンツはCOCORO 34号をもとに再構成しています
・・・・・・・・・・・・・・・
著者プロフィール
大杉 潤(おおすぎ じゅん)
1958年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。日本興業銀行(現みずほ銀行)に22年間勤務の後、新銀行東京の創業に携わる。人材関連会社およびメーカーの人事責任者を経て、2015年からフリーの経営コンサルタント、研修講師、ビジネス書作家として活動。
合同会社ノマド&ブランディング・チーフコンサルタント。
著書に『定年ひとり起業』(自由国民社)、『定年ひとり起業 マネー編』(自由国民社)、『定年後不安 人生100年時代の生き方』(角川新書)などがある。がある。