#05 スピリチュアルケアとは気持ちを理解してあげること
~過去投稿はマガジンから~
では、実際にはスピリチュアルケアではどのようなことをするのでしょうか。
私の場合は、ただただ患者さんの話を聞くことに徹しています。
私たち人間には、何かをしてほしいから言葉を発しますが、
時には何も求めず、言いっぱなしにしておきたい
という場合があるのではないでしょうか。
私は、人が最期を迎えつつある時、
その気持ちはさらに強くなるような気がします。
例えば、「ここが痛い」と訴える時の患者さんの気持ちは、
痛みをやわらげてほしいから「痛い」といっているのではなく、
むしろ「痛みを感じている気持ち」を理解してほしい。
それを「痛い」という言葉で表現しているように思います。
私が終末期の患者さんに接する時、
患者さんの「痛い」という言葉をただただ聞いてあげることに徹しているというのは、こうした理由からです。
それは受け入れてあげるというのとも違うし、
共感するというのも違います。
ただただ聞いてあげることにしています。
もちろん、医学的な処置によって痛みが緩和できるような段階なら、手を尽くすのはいうまでもありません。
また、適切な処置を施すのは医師や看護師として当然の仕事です。
※本コンテンツはCOCORO 38号をもとに再構成しています
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著者プロフィール
玉置 妙憂(たまおき みょうゆう)
看護師・僧侶・スピリチュアルケア師・ケアマネ-ジャー・看護教員
東京都中野区生まれ。専修大学法学部卒業。国際医療福祉大学大学院修士課程保健医療学看護管理専攻看護管理学修士。
夫の“自然死”という死にざまがあまりに美しかったことから開眼し出家。
高野山での修行を経て高野山真言宗阿闍梨となる。現在は非営利一般社団法人「大慈学苑」を設立し、終末期からひきこもり、不登校、子育て、希死念慮、自死ご遺族まで幅広く対象としたスピリチュアルケア活動を実施している。
また、子世代が親の介護と看取りについて学ぶ「養老指南塾」や、看護師、ケアマネジャー、介護士、僧侶をはじめスピリチュアルケアに興味のある人が学ぶ「訪問スピリチュアルケア専門講座」「訪問スピリチュアルケア専門オンライン講座」等を開催。
さらに、講演会やシンポジウムなどで幅広くスピリチュアルケア啓発活動に努めている。
著書『まずは、あなたのコップを満たしましょう』(飛鳥新社)『困ったら、やめる。迷ったら、離れる。』(大和出版)『死にゆく人の心に寄りそう 医療と宗教の間のケア 』(光文社新書)、他多数。
ラジオニッポン放送「テレフォン人生相談」パーソナリティ。