見出し画像

#07 「ずっと、長く、働き続ける」ための「トリプル・キャリア」2つのポイント

~過去投稿はマガジンから~

私自身の起業経験を紹介しておきましょう。

私は57歳の時に起業したので、正確には「定年前起業」だったのですが、
自宅の一部を事務所にして仕事を始めたところ、
携帯電話などの通信費、事務用品代、交通費、図書費、セミナー参加費などから、自宅の光熱水費のうち事務所用に使った料金まで、
思いのほか多くの金額を経費として計上できることに驚きました。

職員は自分一人、
せいぜいパートナーと二人で、人は雇わないファミリービジネスの形に徹し、
まさに「雇わない・雇われない働き方」を実践しています。

私は、定年後の「3K」の不安を解消する働き方である「トリプル・キャリア」の提唱者として、
「85歳まで現役で働く」ことを目指していますが、
長く働き続けるためには重要なポイントがあると考えています。
 
1つ目は、これまでも述べてきたように、できれば60歳から「定年再雇用」を選択しないこと。

「雇われる働き方」から、起業をして「雇われない働き方」にシフトし、「定年再雇用で得られる手取り年収以上」を目指すことが重要です。
高望みをして現役時代と同レベルの収入を目指すと、無理が生じて長続きしません。

2つ目のポイントは、さらに「ずっと、長く、働き続ける」ためには、起業後にもう一度「働き方」を変えることです。
60代はフルタイムで働いている人も多いでしょうし、体力も気力もまだまだ衰える年齢ではありません。
しかし70代、とくに75歳を超える後期高齢者といわれる年齢になると、やはり体力・健康の面での問題を抱えるケースが増えます。
体力や健康については個人差があるので一概にはいえませんが、
70~80歳のどこかで、「体力に無理のない働き方」に、もう一度シフトするのです。

ここが、私が提案する「トリプル・キャリア」の最大のポイントで、
起業後にもう一度キャリアをシフトすることで、
無理なく長く働き、稼ぎ続けられる可能性が高まると思うのです。

では、無理のない働き方とはどのようなものかというと、
私がすすめるのは
「好きな時間に、好な場所で、好きな仲間と仕事をする」という働き方です。
 
何時間働くかは自分の体力と相談し、仕事をする場所もどこでもよい。
いままでどおり自宅でもよいし、会議室を備えたカフェでもよい。
最近増えているシェアオフィスでもよいでしょう。

一緒に働く仲間も、人間関係でストレスを感じない
気の置けない仲間をコーディネートし、パートナーにすればよいのです。

仕事をしていくら稼ぐかは、その人個人によって異なると思います。
高齢になってからの仕事なので、経費だけ負担してもらえば無償でもよいと考える人もいるかもしれませんが、私はおすすめしません。
というのは、「仕事」である以上、プロとしての対価をいただくのは当然なので、あえて収入にこだわったほうがよいと思うからです。
また、そのほうが緊張感も保てます。

以上が、60歳までの「雇われる働き方」
60歳で定年再雇用を選択せず、起業をして「雇われない働き方」
さらに75歳前後で「好きな時間に、好きな場所で、好きな仲間と仕事をする働き方」にシフトする「トリプル・キャリア」の考え方です。

※本コンテンツはCOCORO 34号をもとに再構成しています

・・・・・・・・・・・・・・・

著者プロフィール

大杉 潤(おおすぎ じゅん)

1958年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。日本興業銀行(現みずほ銀行)に22年間勤務の後、新銀行東京の創業に携わる。人材関連会社およびメーカーの人事責任者を経て、2015年からフリーの経営コンサルタント、研修講師、ビジネス書作家として活動。

合同会社ノマド&ブランディング・チーフコンサルタント。

著書に『定年ひとり起業』(自由国民社)、『定年ひとり起業 マネー編』(自由国民社)、『定年後不安 人生100年時代の生き方』(角川新書)などがある。がある。