障害者支援施設オークスヴィレッヂ 🥬
地域社会と繋がり、新たな共同体を創造する
障害福祉制度の変遷の波と共に、障害福祉のあるべき姿を探求し歩んできた、28年目となる施設。表現やアートの言葉にとらわれず、 あらゆる場面で一味違う工夫がなされ、幅広い活動を行なっている。施設内にとどまらず、地域 住⺠や団体、企業、教育機関などと繋がり、交流や発表の機会を創出している。
オークスヴィレッヂの母体である"社会福祉法人オークス・ウェルフェア" は、障害者福祉・高齢者福祉、子ども・子育て支援を中心に社会福祉全般へアプローチしてい る。オークスグループの施設や広報物は斬新で面白いものが多く、コンセプト、働き方もとても 現代的だ。オークスヴィレッヂは、オークスグループのはじまりの施設である。電話口で、表現やアートといった活動はあまりしていないと伺っていたが、施設のあちこちに織り機があった り、入ってすぐに丁寧なキャプションと数々の作品が展示されていて、とても驚いた。イベントに使われたという巨大な制作物や講習会でつくられたクリエイティブな成果物も、所狭しに並ん でいた。
コロナ禍以前は毎年、敷地内で、夏まつり・秋まつりを開催していたそうだ。地域の団体や企 業、学校、オークスグループの施設も参加する。屋台の出店や作品販売、仮設のステージで行う利用者による音楽やダンスの発表、地元の団体や地元中学校などの舞台もある。
また、夏・秋まつりに限らず、ボランティアを募集するなど日頃から地域との交流があった。敷地内には農場があり、そこでつくられた野菜は、施設入口に設けられた直売所で、地域の方々向けに販売され地域との交流の懸け橋としての役割を果たしてきていた。
しかし、コロナ禍により、ほとんどのイベントが中止になり、野菜の販売もできない状況が続いている。そこで、スタッフの発案により、28 年目ではじめて施設内向けの文化祭が開催された。施設入り口に飾られていた作品たちは、文化祭で制作されたものの一部だった。利用者の皆さんは、作品を発表することで大きな自信に繋がったという。堂々と自分の作品を語る利用者を みて、改めて“福祉”の原点を考え直すきっかけにもなった。文化祭をきっかけに、創造的なプログラムを取り入れ、生活や心に変化を持たせることの重要性を感じている。
利用者にとってオークスヴィレッヂは、家であり、社会そのものでもある。ひとりひとりの個性と向き合い、それぞれの幸せや喜びにつながるように
スタッフが一丸となって考え、対話し続けている。
●背景・経緯
法人設立は1992年。障害者支援施設であるオークスヴィレッヂからはじまり、高齢福祉、子育て支援などの社会福祉事業を、ひたちなか市・東海村を中心に、幅広く展開している。
●大切にしていること
「より多くの笑顔のために」が法人理念。利用者のひとりひとりはもちろん、スタッフファーストを掲げ、リフレッシュ休暇や育休制度も充実している。自分たちのライフ・ワークバランスを大切にしながら幸せを感じることが、利用者の幸せをより深く考えながら働くことに繋がっている。
●課題
施設で行われている創作活動や生産活動、レクリェーション活動などは、ボランティアグループ や、サークル活動をされている方々の力を借り実現できてきたところが大きい。織り機を使った作品をつくったり、そば殻まくらの製作、歌やダンスなどのプロ グラムも実施していたが、コロナ禍や講師の方の高齢化などによりできなくなったことも多い。こうした地域の協力者も、自分たちで探しているため、新しいことをはじめるのが難しい場合もある。
●支援センターに期待すること
施設とアーティスト(絵画、現代アート、音楽、ダンス、伝統文化など・・・) とのマッチングがあったら使いたい。定期的なのかイベントなどにきてもらえるのか、費用等、 いくつかの選択肢や事例などがわかるといいと思う。 施設貸し出しなどのマッチングもどうだろうか。オークスヴィレッヂにも、大きな体育館があるが、地域団体やアートに関わる事業などに使ってもらえれば、地域・文化交流につながるかもしれない。
施設入所支援・生活介護
短期入所・日中一時支援・相談支援
入所定員 50名
短期入所 9名
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話した人:鹿志村 浩史さん(オークスヴィレッヂ施設⻑)
小林 恵美さん(理事・施設⻑補佐)
聞いた人:ミヤタユキ(ROKUROKURIN合同会社 代表、現代美術家)
聞き取り日:2021.12.7 Tue.