#3「いい支援について:パートⅡ」




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「良い支援をしたい。」
 ずっとこの考えを持ってやってきた。

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それがどのような形でなったのか、
そこにはいろいろな経過があったの
だけれど、それはまた後程語るとして。


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「良い支援」って何だろう、と考えた時、
「支援をする」=「仕事をする」だから
「仕事をする」=「お金をもらう」になる。
つまり「支援をする」=「お金をもらう」になる。

じゃあ、「お金をもらえる」支援、
または、「お金を払いたくなる」支援って何だろう、

それは働くことにも共通して言えそうだ。

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ある動画で、面白いなって、思うのがあった。
内容は、服を購入する人への実験で、
回数ごとに割引の率をあげていって、最終的には、無料にしてしまう。
その反応を見るという。

で、最初の方は、割引の率が低いので、「ラッキー」くらいだったのが、
半額になって驚きにかわり、中には戸惑う人もいて、
そして、最終的に無料になった時に、その客はどうしたか。

「すみません」と一言。満面の笑みで。

「人は、無料になると、謝ってしまう。」というフレーズがすごく残った。

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仕事で発生する「お金」にも同じことを言いたい。
相手が「本当に受け取った」、あるいは「貰い過ぎた」
と感じた時、何か差し出したくなるんじゃないか、と。
それが、対価としての「お金」だったらいいと思う。

影山知明
「ゆっくり、いそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済」

という本で、くるみをサービスで置いている。
これは無料なので、
「店側の提供しているサービス」と
 「客が受け取っているサービス」の認識の差を図るそうだ。
店側のサービスを客がお金に対して満足していれば、
 持って行かないし、足りないと思っていれば、持っていくと。
その減り方を見て、サービスの厚みにフィードバックする。


この測り方はとても面白いと思う。
与えるか、貰うか、そのバランスの本質を捉えた発想だ。

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もう一つ。
個人的に、素晴らしい記事を書かれる方にいくらかサポートをした。


↑これは、風船の飛んで行った先が、
ハワイなんじゃないかと想像を膨らませる子どもに対して、
母親が寄り添っている点において、素晴らしい感性と優しさを感じた。
個人的には涙腺に来た。


↑こちらは、シュールな光景である。
自由なダンス形式で街のありとあらゆる場所で、それぞれの表現をする。
アーティストという在り方を、まさに体現しているかのような。
場所を選ばず、自分をそこに合わせて多様に醸し出す、
そのあり方の豊かさに、いつも憧れる。


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二つの記事を紹介して、言いたいのは、
「お金を払って」というメッセージがそこになくても、
「感謝や感動をすると、人はお金を払いたくなってしまうのではないか」
 という視点。

心が動いた瞬間は、人に何か差し出すものを探させる動機づけになる。

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無人島に単独で行くとしたら、
 お金を持っていく人はいない。恐らくナイフとかだと思う。
 でも100人規模でその村に住むとしたら、
 物々交換の指標として、必要になるとは思う。
どういうことかと言うと、
お金とは、
「関係性の中でこそ消費されて価値を持つ概念のようなものだ。」

人はそういう在り方を求めているのではないかと思うことがよくある。

―――――――

お金は究極的には、ただの鉄だし紙だ。
 人はその価値観に合った使い方をする。

その使い方に、「生きている感」や「豊かさがあるか」というのが大事だ。
自分が生きていることの「手応え」がそこにあるかないか。

――――――

関係性の中に「支援」を置くと、
 良い支援って、そういう事なんじゃないかと、思う。
 正解はない。でも、近づくことはできる。

「服が欲しい」と言っている人に「洗剤」を説明しても仕方がない。
「寒い」と言っている人は「冷たいサイダー」なんて求めていない。

そういうものをくみ取って、
「あなたが欲しい物って、(そういう関り)って、こういうもの?」

と差し出せる応答が、そうなのだと思う。
そういう支援をしたい。そういう支援員で、ありたい。




―――――――補足―――――――――


私は福祉施設従事者なので、
施設なり法人は行政からの補助金で運営をするしかない。

つまりは一企業が商品を売って集客を上げることがない。
当てはまるとしたら「月の利用人数」(上限において)ということになる。

福祉施設は行政に
「利用人数(特別に配慮を必要とする利用者の人数)×単価」
という計算(本当は複雑なのだけれど、ここでは簡単に)で請求する。

利用者が来なければ、福祉施設は成り立たない。
利用者が通いたくなるような施設運営が必要になる。

どうすればたくさん利用者がくるか、
というノウハウやマネジメントは置いておいて、
私はここに「支援がいいかどうか」をあげたい。

コツコツ地道に利用者一人一人のことを考えてベストを尽くす。
そういう姿勢が信頼感に繋がって、
つまりは先の「利用者数」の獲得に結び付く、と考えている。

福祉業界において、「商品」は「支援」にあたる。
行政はその「支援」までつぶさに見ることはできないから、「書類/記録」
を持って、その担保にする。

「いい支援」を考えた時、何を持っていい支援とするか

私が従事している利用者の対象は知的障害や精神障害をお持ちの方だが、
一つの考え方として、利用者の発達段階、成育歴、短所長所、生活環境、
様々な視点で利用者を見立てていって、
初めてその利用者に合致している支援ができると言える。
その合致している感じが、「良い支援かどうか」を決定すると言える。

しかし、福祉サービスの大部分が、行政の補助金で成立している。
なので多くの支援者が、「支援をする」=「お金をもらう」
となりにくいのは利用者から直接貰うからではないからなのだろう。



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