三浦 美佐子

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相続法が40年ぶりに改正されています Part2

40年ぶりに相続法の大きな改正がなされました。Part1で概要をお伝えしていますが、網羅しきれなかったところをPart2でお伝えしていきます。 配偶者短期居住権の創設 2020年4月1日施行Part1の配偶者居住権のところでも少し触れましたが、配偶者が相続開始のときに遺産に属する建物に住んでいた場合には、一定の期間(たとえば、その建物が遺産分割の対象となる場合には,遺産分割が終了するまでの間)は、無償でその建物を使用することができるようにしています。 相続された預貯金債権

    • 2022年10月~年金制度が変わります【パートやシニアの厚生年金拡大】

      令和2年5月29日、「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立し、6月5日に公布されました。 この法律は、より多くの人がこれまでよりも長い期間にわたり多様な形で働くようになることが見込まれる中で、今後の社会・経済の変化を年金制度に反映し、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るためのものです。 改正のポイントは、 1.被用者保険(厚生年金保険・健康保険)の適用範囲が拡大 2.在職中の年金受給の在り方の見直し(厚生年金保健法) 3.受給開始時期の選択

      • 相続法が40年ぶりに改正されています Part1

        高齢化の進展など社会環境の変化に対応するため、配偶者に先立たれた高齢者の生活に対する配慮、遺言の利用促進、相続人等関係者間の公平の促進等の観点から、40年ぶりに相続法の大きな改正がなされました。 「配偶者居住権」の創設 2020年4月1日施行 法改正前は、配偶者が居住建物を取得する場合には、他の財産を受け取れなくなってしまい、住むところには困らないものの、生活費が不足する懸念を抱えなければなりませんでした。 今般創設された配偶者居住権により、配偶者は、相続開始時に被相続人

        • 農地の移転について

          農地の移転には許可が必要日本のように国土が狭く、かつ、その3分の2は森林が占めるという自然条件の下で、食料の安定的な供給を図るためには、優良な農地を確保し、効率よく利用していくことが必要です。 そこで、土地投機等の望ましくない目的での農地の権利移動を制限し、生産性の高い経営体によって効率的に利用されるように、農地法を設け、権利移動の機会を捉えて農業委員会(市町村外の居住者の取得は都道府県知事)の許可を受けることが必要としています。許可を得なければ、農地を借りることも買うことも

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        • 遺言書作成・相続手続
          2本
        • 社会保険・年金手続
          1本
        • 農地法許可
          1本
        • 各種許認可申請、届出
          1本
        • 法人設立・契約書作成
          3本
        • 外国人雇用
          1本

        記事

          民泊とは

          2018年、民泊新法施行民泊については、2018年に施行された「住宅宿泊事業法」に定められています。住宅宿泊事業法は、観光客の来訪や滞在を促進することに加え、これにより影響を受ける国民生活の安定と国民経済の発展に寄与することを目的としています。これに対し、これまで旅館業法は主に公衆衛生に焦点が当てられていました。 具体的には、民泊とは、住宅を一日単位で宿泊料を得て年間180日を超えない範囲で反復継続して行う営業行為を指します。 民泊の手続は都道府県知事への届出や登録旅館業

          会社設立「株式会社か持分会社か」

          会社には4つの種類がある会社は、株式会社と持分会社の2形態に分かれます。持分会社は、さらに、合名会社、合資会社、合同会社の3種類に分かれます。 持分会社と株式会社の違いは「所有と経営の分離」の有無持分会社は出資者=「社員」となります。一方、株式会社は出資者と経営者は別人となることが原則です(所有と経営の分離、ただし株式会社も同じ人が出資者と経営者になることは可能)。 持分会社の社員の責任・義務:合名会社「合名会社」では、合名会社の出資者のことを無限責任社員といい、万が一、

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          毎朝見かけるあの人の在留資格は?

          外国人は、人手不足の救世主?まだコロナ禍になる前のことですが、外国人雇用についての研修会に参加してみると、いつでも多種多様な業種の会社の人事担当者の方がいらっしゃっていました。人を募集しても応募がない悩み。。人手不足は深刻です。そこで、外国人材のニーズが高まっているのですね。 外国人が日本で働くには、就労可能な在留資格が必要たしかに、コンビニエンスストア、レストラン、居酒屋、建設現場などでも外国人を見かけるようになりました。ところで、外国人が日本に滞在するためには、在留資格

          毎朝見かけるあの人の在留資格は?

          在留資格とは

          一在留一在留資格外国人が日本に滞在するためには、在留資格が必要です。外国人ひとりに対し一つの在留資格が与えられます。たとえば、日本人の配偶者でありながら大学生でもある場合には、「日本人の配偶者等」という資格か「留学」の在留資格を取得するかを、必ず一つ選択します。 在留資格は29種類在留資格は29種類あり、1.就労が認められる在留資格、2.就労が認められない在留資格、3.指定される活動による在留資格、4.身分や地位に基づく在留資格の4つに大きく分かれます。 1.就労が認めら

          在留資格とは

          時間外労働の上限規制は、中小企業主にも2020年4月1日から全面適用されています!

          「限度基準告示」から法律へ労働時間の延長時間の限度は、これまでは「限度基準告示」という、厚生労働大臣による定めがあったにすぎませんでした。しかし、2018年から順次スタートしている働き方改革関連法により労働基準法が改正され、延長時間の限度は法律により定められることになりました。よって、これに違反すれば罰則が適用されます。 36協定がなければ、会社は労働者に時間外労働をさせることはできませんちなみに、会社が労働者に時間外労働をさせることができるのは、36協定(時間外労働 休日

          時間外労働の上限規制は、中小企業主にも2020年4月1日から全面適用されています!

          民法改正と業務委託契約書

          業務委託契約とは業務委託契約とは、一定の業務を外部の企業へアウトソーシングすることをいいます。業務を委託する側を「委託者」、業務を受注・受託する側を「受託者」といいます。業務委託には、「請負」と「準委任」があります。 報酬請求権 請負と準委任の違い「請負」は仕事が完成して引き渡しをしなければ、請負人は代金を請求できません。一方、「準委任」は、仕事が完成しなくても、すでに行った作業については対価を請求できます。 また、「請負」では、契約書に書いていなくても瑕疵担保責任が発生

          民法改正と業務委託契約書

          有休の年5日の指定義務

          ウチの会社には有休はない?2019年4月から、すべての使用者に対して「年5日の年次有給休暇の確実な取得が義務付けられました・・・・すると、 「去年からウチの会社も有休とれるようになったんですけど・・・」なんておっしゃる方が増えました。うれしそうにおっしゃるのでついつい「それはよかったですね」なんて言ってしまいそうになりますが、そうじゃない。 労働基準法39条には、とっくの昔から「使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して

          有休の年5日の指定義務

          2021年4月から中小企業でも同一労働同一賃金がスタートします

          同一労働同一賃金とは?正社員は、非正規雇用の人に比べて給料が良くてあたりまえ、と、多くの人が考えているかもしれません。 しかし、それはなぜでしょうか? もし、正社員も非正規雇用労働者もまったく同じ仕事をしているのにもかかわらず、お給料だけに差が設けられているのであれば、その差は不合理ではないでしょうか? そこで、同一労働同一賃金です。正社員 と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消に向けて、正規か非正規かという雇用形態にかかわらない均等・均衡待遇の確保を図ります。

          2021年4月から中小企業でも同一労働同一賃金がスタートします