「産学連携」で一緒にワクワクしませんか?
「研究」という言葉に、心が躍りませんか?
空はなぜ青いのか、風はなぜ吹くのか。なぜ人は人気店にわざわざ並ぶのだろう。うちの子供たちはなぜあんなにも勉強しないのかしら。なぜ人は鳥のようには飛べないのだろう。自然科学や社会科学、人文科学において、無限にある「なぜ」を解明するために多くの研究者が場所を問わず様々な研究に励んでいます。そして大学を含む学術界(アカデミア)はこの「なぜ」から導かれた発見や発明の宝庫です。
イノベーションとは、こうしたキラキラとした新しい発見や技術、すなわちインベンションから、社会に広く受容され普及し利益をもたらす製品やサービスなどの実用的な新しい価値を生み出すことです。インベンションからイノベーションを生むために、多くの場合、アカデミアが持つ知識や基礎研究の成果を、産業界が持つ応用力や技術・資源と結びつける「産学連携」のプロセスを挟みます。産学連携から生まれるイノベーションは、世界中の経済発展や地球規模の課題解決に大きく寄与します。一方で、イノベーションから生み出される利益はアカデミアにとっては研究環境の向上に還元され、さらなる研究活動の活性化へと循環します。
「産学連携」というと、アカデミアの研究者が企業とつながって共同で研究を行う、というのが一般的なイメージかもしれませんが、特には決まった形があるわけではありません。長い時間と多くの労力が求められるイノベーションへのプロセスに対して、研究者としてのかかわり方は様々です。また、研究成果を関係者間でいかに配分するか、研究の独立性をどう確保するかなど、産学連携には検討すべき多くの課題もあるため、形も定まっていない産学連携ってとても難しい、という印象を持っているアカデミアの研究者の方々も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
一方で研究の初期段階では想像できなかったような可能性を引き出せるのは産学連携の醍醐味です。「今はゲームアプリそのものが薬になりうるということを知ったとき、自分の研究も実用化ができる可能性があると思った」と話してくれた大学の研究者がいました。また、企業側の担当者からも「企業内部に閉じこもっていては、なかなか新しい製品やサービスは生まれない。アカデミア研究者とつながることで素晴らしい発見や技術に出会いたい」という要望を多くいただきます。
「社会の役に立つ何かを作る」ことが産学連携の根幹の目的です。その道のりは気が遠くなるほど長く、そして難所の連続です。いくつの山を越えればゴールが見えるのかわかりません。アカデミアであれ企業であれ、共に手を携えて歩き出すことに躊躇するのは当然のことと思います。それでも、そこに至るプロセスからの気づき、学びを関係者間で共有しながら共にゴールに向かう面白さを是非一人でも多くの方々、特にアカデミアの研究者の方々に知っていただき、それを楽しんでもらえたらという思いで本NOTEを開設しました。
交換日記の言葉通り、これから多くの方々の声をこちらに寄せていただき共に未来の産学連携を語り、紡ぎだす場にしていきたいと願っています。これが日本に数多くあるインベンションをイノベーションに導くための一助となれば幸甚です。
文責:鈴木 忍(京都大学成長戦略本部:https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/department/460)
(写真はBioJapan2024でのスポンサーセミナーの様子)