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楽観的に旅をする若者たち~Z世代の旅行行動から考える②~

若者の研究所では、月に一回、学生研究員が集まって学生会議を開催しZ世代の価値観を分析している。8月のテーマは、夏休みということもあって「旅行」にした。前編では、Z世代の大学生たちの旅行にはどのような特徴があったのか、著者のメルボルン旅行のSNS記録を交えながらまとめた。後編である今回は、「楽観的に旅をする若者たち」をテーマに若者と旅を紐解いていく。


旅の計画は立てすぎない

旅先の学生会議に参加した学生たちは皆、旅先では計画を立てず、気の向くまま楽しむタイプだった。理由としては、「SNSですぐ旅先の情報を検索することができる」「休みが貴重ではないため、120%の力で楽しまなくていい」「地元感を味わいたい」「知らない土地で挑戦してみたい」「計画を立てるのが面倒くさい」などさまざまであった。
SNSが生活の一部となり、情報はSNSから仕入れることがほとんどのZ世代。手元のスマホで、目的地決めから目的地に向かうことまで、何でもできてしまうからこそ、事前に計画を立てる必要がないのである。
実際私がメルボルンへ行ったときは、飛行機・ホテル・気温に合わせた服装だけを考えて、あとは現地を歩きながら、そしてメルボルンに行った先輩のインスタグラムストーリーを参考にしながら、前日の夜計画を立てて過ごした。

また、観光地へ訪れる予定はあえて立てず、地元の人がいるような場所へ訪れたり、ある程度訪れるエリアだけ決めてぶらぶら散歩しながらお店を探したりしたいという意見もあった。計画を立てないことで、その場に行ってから好奇心の向くままに旅行を楽しむことができるのだ。

現地に行っていない状態で計画を立てるより、現地に行ってから、現地の空気を肌で感じながら自分が気になるところやお店を探して、ふらっと入ってみるのが楽しい。事前に決めるのは、交通手段とホテルだけでいいかなと思います。

若者の研究所 学生研究員の声

計画を立てないことで現地での選択肢の幅が広がり、より現地の空気にコミットした旅をすることができる。Z世代の若者は、自由で、現地の空気感を楽しむことができる旅行を好む。「泊まるところはあるし、まあどうにかなるだろう」と楽観的な気持ちで旅をするのだ。

日常の自分、旅先の自分

日常の自分と、旅先の自分で、パーソナリティが少し異なる、という若者は多い。日常では大人しく引っ込み思案だが、旅先の知らない人々とは明るく話すことができる、などもその例である。
前章で楽観的に旅をする若者について述べたが、これもまた旅先特有の自分なのではないか。普段、サークルやバイト、授業に忙しく予定がパンパンの生活を送っているZ世代の若者は、忙しさや現実世界の喧騒から離れ、のんびり自分のペースで過ごすことができる旅先では楽観的になるのではないか。
Z世代は将来を案じ、安定志向であると言われている。まじめで、将来への計画をしっかりと立て、堅実なZ世代、というイメージが読者の皆さんにもあるのではないか。にもかかわらず、旅先では楽観的でなんくるないさ精神である。これは、旅先では日常を忘れてマイペースに過ごしたいという気持ちの表れなのかもしれない。
旅先での自分、日常の自分。はたまた、サークルでの自分、バイト先での自分、1人でいるときの自分など、Z世代の顔はさまざまだ。それぞれの自分が互いに補い合って、今のZ世代はできている。

若者の研究所について

Z世代の価値観をZ世代が深掘り。“ディープ”な調査レポートを毎月発行
「若者の研究所」では、高校生・大学生による若者のシンクタンク・コミュニティである“若者の研究所”が毎月、様々なテーマに対し、Z世代の思考・価値観・行動の傾向に迫る調査レポートを発行しています。Z世代は1996~2010年生まれ(現在13〜27歳)の若者を指し、日本の総人口の約14%を占めています。一方で、Z世代は世界人口の約32%を占め、Y世代人口を上回っています。日夜、Z世代調査など、Z世代に関する情報は溢れています。しかし、価値観が多様化する中で「Z世代は〇〇である」と一括りに理解することが難しくなっています。「若者の研究所」は、彼らの行動や価値観をより深く掘り下げた独自調査を、Z世代の当事者から発信していきます。

サービス紹介

「若者の研究所」を運営するWeiden HausではZ世代をテーマとしたコンサルティングを行っています。

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本レポートの著者について

Watanabe Aiko|渡邊藍子
株式会社バイデンハウス 学生インターン
若者の研究所 学生所長


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