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週刊新川

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新川モールに集う愉快な人々のあれこれ。
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#自分史

vol.4 どこでどのように生きたいか?という問い

vol.1〜3までの記事で、地方都市の一つである浜松で編集者として働くことになるまでの経緯を、理想と現実との葛藤を含めつつ書いた。 では、そもそもなぜ地方で働きたかったのか。「ローカル」にこだわっていたのか。その理由は、私が過去に宇陀市で地域づくりを行う女性を取材した記事に詳しいので転載したい。記事の冒頭は当時の私の心境を書き写すことから始まっている。 取材当時私は29歳。大学院に進学したところで、まだまだ結婚や結婚後の生活について考える余裕のない時を過ごしていた。ただ、

vol.3 理想と現実のはざまで

編集長不在のまま進む企画 内定をもらってから慌ただしく移住準備を進め、東京でお世話になった人たちへの挨拶も十分にできないまま新しい生活が始まった。初出社したときは彼も一緒だった。青空が広がり、太陽の日差しが照りつける中、青々と雑草の茂る川沿いの道を、私たちは能天気に徒歩で出勤した。7月だというのに。だいたい25分くらいだろうか。会社に到着したときには、リュックを背負った背中が汗で滲んでいた。 10名ほどの社員が集まり、大きなミーティングテーブルを全員で囲んだ。自己紹介と意

vol.1 浜松の「らしさ」を求めて

私が浜松に越してきたのは、2017年の夏のこと。自身の転職がきっかけだった。大学進学から15年間東京で暮らしてきた私は、33歳を迎えようとしていた。結婚適齢期の中にあっても、人生のキャリアステップを考えた時、以前から憧れていた地方で働くことにチャレンジしてみたいと考えていた。転職活動を始めてまもなく、長らく連絡をとっていなかった知人から、浜松の会社の紹介があった。まさに渡りに舟。これはまたとないチャンスと胸が熱くなった。 気づいた時には会社を辞め、下北沢の部屋を引き払い、重