修理費協定とは
本日は仕事のお話
一般的にはあまり馴染みが無い言葉だと思いますが
修理費の協定について書きたいと思います。
・協定って何?
損害保険業界における、協定とは
技術アジャスターが修理工場と事故車両の
修理費について協議し、
損害額を確定させる事を言います。
損害保険会社に所属する技術アジャスターは
日本損害保険協会が認定している試験
(見習い、初級、3級、2級、1級、
※1級はまだ試験が実施されていない為、
実質的に、現在の最高位は2級)
に合格し、協会に登録された者が、保険階会社の
協定業務を行っております。
※一部、共済などは除きます。
・修理費はどうやって決めるの?
事故車両の入庫先が決まると、その事故の担当者
から、我々技術アジャスターに
調査依頼が発注されます
その調査依頼書には主に、事故の概要として
・契約者の情報
・相手方の情報
・事故の詳細(事故日、事故場所、事故状況)
・損害物の情報(車両情報、その他の損害物)
・入庫先
・契約内容
・その他連携事項
などが記載されています。
それらの情報を確認した後、修理工場にコンタクトをとるのですが、その調査方法としては
・立ち会い調査
⇒アジャスターが実際に修理工場に出向き、
現車を確認しながら修理工場の担当者と
打ち合わせを行う。
・画像伝送調査
⇒修理工場が撮影した画像をパソコンなどで
伝送してもらい、それを確認しながら電話や
メールなどで打ち合わせを行う。
・オンライン調査
⇒最近普及し始めた手法なのですが
修理工場の担当者とスマホや
タブレット端末などを使用し
リアルタイムで動画を共有しながら
打ち合わせを行う。
などがあり、それぞれの特徴として、
立ち合い調査を行う場合は
・損害額が大きい場合
・過失割合が争点となっている場合
・特殊な車両(重機や高級車など)
・モラルリスク(不正請求)が疑われる場合
など
画像調査は
・損害額が比較的軽微な場合
・過失割合に争いが無い場合
・保険会社が認定している優良工場に入庫した場合
オンライン調査は、画像調査の進化版とでも思っていただければ良いかと思います。
各保険会社さんによって違いはあるかと思いますが、近年は半数以上が画像調査orオンライン調査によるものだと思われます。
(バブル期世代入社人材の大量定年による人員不足やインターネット、IT技術の進化など)
・協定の問題点とは?
すべての案件において、アジャスターと修理工場との間で打ち合わせがスムーズに進み、
円滑に交渉が進めばいいのですが、
そこはやはり人対人
ましてやお互いの利害関係が一致していない
・保険会社は保険金支払いや損害単価を下げたい
・修理工場は自社の売り上げや利益を上げたい
などがあるかと思いますが、私がここでお伝えしたいのは
保険会社は本当に修理費を下げたいだけなのか?
と言うところです。
保険会社の風土や、アジャスター個人の資質の問題とすれば絶対無いとは言い切れませんが、
私、個人の見解としては保険会社は適正な保険金をお支払いしたいと考えている
といったところです。
特にそう感じるのは、近年問題となった大手中古車販売店の不正請求や保険会社との癒着問題。
あの事件をきっかけに各保険会社の修理費支払いに対するコンプライアンス意識の強化、保険金支払いの適切化、説明責任を果たせる業務へのマインドが急激に上がったなと感じます。
(金融庁からの指摘、改善命令が出された事による物が大きいかとも思いますが・・)
・適正な保険金支払いとは?
ただ、一方で保険会社が言う適正な保険金とは
社会通念上において、本当に適正と言えるのか?
には、正直疑問を感じております。
そこには、保険会社が見積もりを作成する際に使用する
・指数
・工賃レート(レバーレート)
などの問題もありますが、
・現場で働くアジャスターの技術力の低下
・昭和のマインドから抜け出せない中間管理者層
などの問題を強く感じます。
一つ、お寿司屋さんに例えるとするなれば、
お寿司屋さん
「うちは銀座の一等地に店を構えて、一流の職人に寿司を握らせ、素材にも拘っているから、マグロは一貫千円するんです」
お客
「いや、でも大将、あそこの回転ずし屋ではマグロは2貫で150円くらいですよ、高くないですか?」
・・・という交渉に似た様な事が起こっています。
マグロしか食べていないのに、お会計をみたら
イカやウニなどが請求されていれば、
それはおかしいですよ、と言えるのですが
マグロの適正価格=市場の平均値であるべき
という考えは、いささかどうなのかな?
と常々疑問に思っています。
ただ、残念ながら、大将が握った1貫千円のお寿司を
「今回は500円で食べさせてもらいました!」と言う
若いアジャスターに対して
「よくやったな!えらいぞ!」という上司もやはり
まだ一定数存在していて、またその逆というか、
「なんで、500円で提供してくださいと言えないんだ!」
と指摘する管理者層もいるのです・・
ここで、私が言いたい事
仕事の出来るアジャスターは
「ここのお店の大将が握るお寿司が1貫千円なのは
これこれこうした理由があって、〇〇だから
請求された金額については適正なのです」
といった根拠をしっかりと説明が出来て、
場合によっては、こちらが困っている時は
助けて頂ける様な関係性を築ける人間性が
必要であると考えています。
・まとめ
今回は、修理費協定の大雑把な概要を書いた
記事となりましたが、
本記事中で登場した
・指数や
・工賃レート(レバーレート)
などは、深掘りするとかなり奥が深い話になってしまうので
また別記事にしようと思っています
★この記事を読んで頂き
「もっとこんな事が知りたい」や
「こんな事書いてほしい」「これってどうなの?」
なんて事がありましたら、お気軽にコメント下さい
また、込み入った相談などがありましたら
XのDMでもお受けしたいなと考えておりますので
よろしくお願い致します。