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yaechan
これからどんな言葉と生きていこうか。
世の中には今、「言葉」が溢れている。
言葉の流行り廃りは年々スピードを増し、秒単位で拡散、更新していく言葉の渦の中で、1つひとつの言葉にかける重みは、少しずつ軽くなってきている気がする。
そんな中で出会ったのが、阿部 広太郎さんの「コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術」。
作者の阿部さんは、私たち読者に、こう問いかける。
「I love you」を今あなたはなんと訳しますか?
夏目漱石が「I love you」を「月が綺麗ですね。」と訳したという逸話は有名だけれど、自分で考えたことはなかった。
私ならなんと訳すだろう。
帰りの電車の中、頭の中に大好きな人たちを思い浮かべながら、必死に言葉を探した。
こんな経験は、いつぶりだろう。
ただ「好き」という思いを表現するのに、30分も悩んで、それでも答えは出なかった。
この本は、いわゆる言葉の教科書でも、マニュアル本でもない。
「あなたは言葉とどう向き合い、どう捉え、どう悩み、どう表現しますか。」
「今、あなたが発した、そのたった一言、そのたった1行にどれだけ力を注ぎましたか。」
「その言葉に、”あなた”はいますか。」
そんな風に、問いかけられている気がする。
この本は阿部さんからの「問いかけ」であり、阿部さんからの「お誘い」だ。
どの言葉に背中を押され、どの言葉にはっとするか。
受け取り手によって、響く言葉は違うだろう。
それでも、どの言葉も、「もっと言葉と真剣に向き合ってみませんか」と誘ってくるのだ。
もうすぐ12月。
この未曾有の年も終わる。
この時を、どう過ごそう。どんな言葉と生きよう。
言葉を大切に生きていれば、きっと世界は拓けていく。
今、私に胸には希望がフツフツと生まれている。