「どう死を迎えたいのか」を大切な人と話し合うこと
注意:繊細な内容ですので、心の状態を確認されてから、読み進めるかどうか、ご判断ください。
写真は忘れな草 forget-me-not
今回はこちらのブログ記事の再投稿です。
今日は、なぜか「死」や「グリーフ」がテーマの話を二度も耳にする機会があり・・・きっと今の自分なりの考えや想いをまとめるべき日なのかもしれないな、と。タブー視されているけれど大切な「どう死にたいのか(迎えたいのか)」を話し合うこと、について書きます。
私の死へのアンテナが鋭くなったきっかけは、十数年前、長男が産後たった1日で死んだことでした。人は、本人も周囲も何の心の準備もないまま、突然、意思疎通ができないくらい重体になったり、死ぬことがあります。
それから、39歳で医療者になることを目指し始め、看護師、そして助産師・女性専門ナースプラクティショナーの勉強を進める中で、死やグリーフについて、現在のアメリカでの考え方を学びました。それが世界中の人々に当てはまるとは思ってはいません。
例えば、重い病や余命を本人に宣告することは、西洋では当然とされています。しかし、知らせない方がいいとする文化もあります。こちらは英語ですが、知らせた方がいいとする文化(アメリカ)と、知らせない方がいいとする文化(中国)の間で揺れる家族の、興味深い話を聞くことができます。お薦めです。https://www.thisamericanlife.org/585/in-defense-of-ignorance
日本も、そんな間で揺れているのでしょうか?
私が、もしアメリカの医療者として、このような状況に対面したら・・・と想像すると、患者さんご本人に真実を伝えて、治療や緩和ケアの選択などを話し合う責任があるので、ご家族にご理解いただくよう動かなければならないだろう、と思います。
しかし、これは患者さんの文化、ひいては医療に対する希望を無視することになりかねません。Individualized care(個人に合ったケア)が重要というなら、医療者の立場を押し付けない、という柔軟な対応も必要になってくるのではないでしょうか? 個人主義の強いアメリカでは難しいことですが・・・。
そういった意味でも、自分が「どう死にたいのか」ということを家族や愛する人に、まだ意識がしっかりしているうちに伝えておくことが大事、というのが今の私の見解です。これは残される家族や大切な人を守ることにもなります。なぜかと言うと、例えば、延命治療を続けるか否かという決断で、家族が分断することもあるからです。
現在のアメリカのシステムで、医療に関して自分の意志を法的に有効となる形で残すのには、Advance Directives があります。主治医に相談されることをおすすめしますが、UCSFが出しているものはこちらのサイトから見られます。https://www.ucsfhealth.org/your-hospital-stay/advance-directives
ただ、私も夫と一緒に記入しようとしたのですが、かなり答えにくい質問があり、私たちも、まだ記入し終えていない、というのが現状です。しかし、一緒の時間を作って記入しようとしたことで、どのように死を迎えたいのか、というお互いの思いが分かりました。
二人の考え方が全く違っていて驚いたのを覚えています。もし、彼の考えを知らなかったら、自分の考えをベースにして決断してしまっていたかもしれません。
また、娘は私の考え方に猛反対だということも分かり、自分の考えを夫にも娘にも伝えておくことで、夫が私の意志を尊重した決断をした時に、二人の間に亀裂が生まれなくなるかもしれません。
まずは、一度、一緒の時間をとって、Advance Directives の質問に対して、お互いがどう考えているのか、話し合いを始めてみてはどうでしょうか?
また、記入の際の質問は、主治医や、あるいはソーシャル・ワーカーなどの詳しい人がサポートしてくれると思いますので、相談されると良いと思います。私も相談に乗れる部分はお手伝いします。
近いうちに、緩和ケアやグリーフ・ケアについても書ければ、と思っています。
この投稿に関して、ご質問・アドバイス・改善点などありましたら、ぜひコメントください。また、死やグリーフに関して、体験談などをシェアして下さる方もぜひコメントください。
執筆:小谷祥子
米国ナースプラクティショナー
NPOウィコラ創設者・理事代表
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*afab は assigned female at birth の略。出生時に割り当てられた性別が女性の人という意味。
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