見出し画像

<連載>国内外事例から読み解く、2023年オムニチャネル戦略論①

マーケティングディレクター兼データサイエンティストのtohari.です。

インターネット環境の充実やスマートフォンの普及により、複数の販売チャネルを通じて顧客獲得を強化する動きが顕著となっています。それは店舗事業者、カタログ通販事業者、EC事業者、TV通販事業者、D2Cブランドなどが入り混じり、お互いの領域を超えた非常に激しい競争へと発展しており、各社より強固な販売体制づくりを目指して、様々な店舗戦略、ネット戦略、オムニチャネル戦略を推進しています。

そこで今回は、国内外の様々な事例を俯瞰的・統合的に見ていくことで、これからの目指すべきオムニチャネル戦略像について考察していきたいと思います。この内容はあくまで筆者による事例研究としてまとめたものですが、オムニチャネル戦略を推進していくための1つの現実的な方法論を示しています。
オムニチャネル戦略は各販売チャネルを横断し統合していく難しい取り組みですが、そのようなチャネル戦略に携わる店舗事業部門、EC部門、経営企画部門などの皆様の戦略構築の一助としてご参考にしていただければ幸いです。

tohari.のプロフィールサイトはこちら

 

オムニチャネル戦略とは


まず最初にオムニチャネルについてさっと触れたいと思います。
この説明はわかりやすいサイトがありましたので、そちらの内容を引用させていただきます。

https://www.customer-rings.com/dmf/article/m25xwfigi


本研究の目的とアプローチ

次に、本レポートの筋だてについても少し補足いたします。

オムニチャネルという複数チャネルの統合戦略を考えるにあたり、筆者が起点に考えたが「実店舗」です。
インターネットが商圏を超える存在となってから、実店舗は必ずしもカスタマージャーニーの終着点ではなくなりました。それに伴い人手もコストもかかる店舗の存在価値が揺らぎ始めたわけですが、EC市場が拡大する一方で、D2Cブランドが店舗出店に力を入れ始めたりなど、店舗の活用意義自体を見直す動きも活発化しています。

消費者のネット購買行動の増加は少なからず店舗に影響を与えていますが、店舗自体は決してなくなるわけではなく、ブランドや取り扱い商材等によってその形態は多様化し、そこにWEBが組み合わされるはずです。

そこでオムニチャネル戦略の紐解き方として、「今後の実店舗の存在価値はどのように示されるか」の考察をまず進め、そうした店舗戦略を支えつつ「小売サービス全体としての価値創造を行うためのECやWEBのあり方」という順でお話ししていきたいと思います

ですので、まずは「店舗戦略」の今を単体でみていきたいと思います。


国内外事例から読み解く店舗戦略トレンド


この1つの解として筆者なりの結論から申しますと、現在の店舗戦略は大きく4つの方向で新たな価値化に取り組んでいると思います。それを筆者は以下のように名付けてみました。

  • ニューノーマルSHOP

  • サービスSHOP

  • エクスペリエンスSHOP

  • リアルEC SHOP


 ニューノーマルSHOP

ニューノーマルSHOPとは、物販機能を中核とする従来型店舗をベースとしつつも、IT技術等を有効活用することで様々な買い物行動を合理化し、未来型店舗としての新しい利便性づくりに価値化を見出す店舗です。主にはスーパーやコンビニ、ディスカウントストアなど、最寄品を扱う店舗が多く取り組む戦略で、キーワードは「オートメーション化」です。


サービスSHOP

サービスSHOPとは、ECまたは店舗での物販をバックアップするサービス拠点として、新たな価値提供を目指す店舗で、展開するサービスの内容によって、百貨店からスーパー、小規模店舗まで幅広い業態で取り組まれています。商品販売とは異なる新たな収益化につなげるケースと、物販につなげるプロモーションとしての役割を担うケースが存在します。


エクスペリエンスSHOP

エクスペリエンスSHOPとは、ECまたは店舗での物販をバックアップする、ブランド体験型拠点として意義性を中心にした店舗で、嗜好性の強いブランドの直営店やD2Cブランドで展開されることが多いです。
買い物行動にブランドパーソナリティと合致するイベント性や遊びを加えた、「リテールテイメント」という新しいコンセプトチャネルとも言えます。


リアルEC SHOP

リアルEC SHOPは、ECの決済機能とリアルな資産(場や人)を融合させた、新たな販売チャネルです。従来のECでも従来の店舗でもない、まさに新しい販売手法と言えると思います。



 
それでは、それぞれについて海外事例も交えながら詳しくご紹介していきます。
<次回へ続く>


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?