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つい新作を選んでしまう私

新作メニューの文字を見つけたとき、私は心の中で小さくガッツポーズをする。
知らない味との出会いの予感が、ほんの少し心を躍らせるからだ。ファーストフード店やカフェで新作が出れば、たいてい私はそれを頼む。「次にいつ食べられるかわからないし」とか、「新しいものを試すのは、ちょっとした冒険だ」と自分に言い聞かせて注文する。

隣を見ると、友人はいつも通りのメニューを頼んでいる。「またそれ?」と笑いながら聞くと、彼女は肩をすくめて答える。「だって、これが一番落ち着くんだよね。」

その答えに少し驚いた。私にとっては「いつも同じものを頼む」という選択は退屈に感じられるからだ。でも、彼女にとっては「お気に入りを選ぶ安心感」こそが、何よりも大事なことらしい。

新作派と定番派の違い

新作派の私は、新しいものには驚きや発見があると思っている。失敗することもあるけれど、「こんな味があったんだ!」という小さな感動が好きだ。たとえ思っていたよりおいしくなくても、その経験は「試してみた」という満足感につながる。

一方、定番派の友人は、外れのない「いつもの味」に価値を見出している。「これさえあれば大丈夫」という安心感が、日々の中の小さな安らぎになっているのだろう。彼女にとっては「新しいものを試すリスク」よりも、「変わらない日常の心地よさ」を優先する方が心にしっくりくるのだ。

小さな選択に表れる価値観

ふと、メニューの選び方が人生の選択にも似ていると感じた。

新作派は、人生の中で新しい環境や選択肢があれば、少しの不安を抱えながらも「挑戦してみよう」と飛び込むタイプだ。たとえ失敗しても、「それも経験だから」と笑って前に進むことを楽しめる。

一方、定番派は「今の生活の中で見つけた安心感」を大事にする。変わらない選択肢を選ぶことで「ここに帰れば大丈夫」と心を落ち着かせることができる。新しいものに対する興味よりも、「自分の好きなものを知っている」ということ自体に価値を感じているのかもしれない。

どちらも間違いじゃない

気づいたのは、どちらもその人らしさが表れた選択だということだ。新しい味を楽しむ人も、変わらない味を選び続ける人も、どちらも「自分にとって心地よい道」を選んでいるのだ。

私は新作を頼むとき、心の中で少しワクワクしている。でも、隣で定番のカフェラテを飲む友人が「やっぱりこれだよね」とほっとした表情を浮かべているのを見ると、そんな安らぎも悪くないなと思う。

あなたはどちらを選びますか?

新作を選ぶとき、「一度しかない機会」を楽しむ心がある。定番を選ぶとき、「変わらない日常」を味わう心がある。どちらも、その人なりの正解だ。

次にカフェに行くとき、私はまた新作を頼むかもしれない。そして、隣でいつも通りのメニューを頼む友人を見て、いつものように聞くだろう。「またそれ?」と。

だけどその時は、少し違う気持ちで笑うかもしれない。「これが一番安心するんだよね」という彼女の言葉を、ちょっとだけ理解できる気がするから。

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Kaede
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