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#62 記憶は当時の気持ちさえ書き換える

先日、こちらのトークイベントに行ってきました。

あそうかも。さんと堀 潤さんのトークライブです。

お二人ともフリーになる前にNHKで働いていて、その当時のお話だったり、番組制作の話や子どもの頃の原体験など、とても楽しく、振り幅の大きいいろいろな話を聞くことができました。とても気づきのある90分間のライブでした。

先日行った、バルミューダの寺尾玄さんのトークライブ同様、基本的にそのままメモっているので、二人から聞いたエピソードを自分のなかで、ときどき振り返って考えてみたりしています。


そのトークのなかで、かもさんが「自分の過去は他人から聞いてみると、自分が思っていたのとだいたい違う。記憶は都合のいいように書き換えられる」と話していました。

この話のきっかけは、質疑応答のときにお客さんから「子どもの頃はモテモテとか、イケイケとか、そういうスクールカーストでいったらどういう感じの子どもでしたか?」

という質問に

「自分では結構、イケイケだと思ってたんだけど、あとからひとに聞くと『お前いじめられてたよな』とか言われちゃんですよね~」

という回答とともに、「ひとは記憶を書き換える」という話をしていました。


たしかにそうなんですよね。

これは、自分でも感じるところがあります。

たとえば、会社員のときの実績とか、プロジェクトでうまく行かなかったときに、「なんとか打破して乗り切った!!」みたいなちょっとした "武勇伝" は、だんだん年月とともに自分の中でも、過剰な美談にしていってしまいそうな気がします。

なので、なるべく昔のことを聞かれたときには、少し注意しています。

「ちょっと話を盛ったなー」と自覚して話をしたのと、完全に勘違いして「盛られた話が事実」として記憶してしまうのとでは、かなり違いますからね。


そして、このトークを聞いたときに同時に気づいたことがありました。過去のことを都合のいいように記憶を書き換えるのは大なり小なりあるにしても、それは「そのときに起こった事象」とか、「そのときにいたひとの反応」とか、そういうものだけだと思っていました。

でも、「当時の自分の気持ち」まで記憶を書き換えてしまう可能性もあるんだ、ということに気づきました。


きっかけは、かもさんがNHKを辞めようと思ったという話題が出たとき。

かもさんは「入社するときから、たぶん10年くらいしたら辞めるんだろうな~」と思っていたそうです。

つまり、ずっと会社に勤めていくつもりではないことを最初から感じていたようです。

それを聞いたときに「あぁ、なんとなくその気持ちが分かるわー」と、すぐさま思ったのですが、よくよく考えると、それは本当は違う。

わたしは今は、成り行きというか、たまたま流れで会社員を辞めて独立しましたが、元々は、会社員を辞める自分など全く想像できていなかったはず。

独立した今だからこそ、かもさんの、入社当時に感じていたことを ”分かった"つもりになっているだけで、本当はたぶん何も分かってはいません。

このことに無意識の状態でいると、今後、誰かに「なんで独立しようと思ったのか?」と聞かれたときに、「いや、会社員のときから、もともと考えていてね・・」などと無自覚に言ってしまう、書き換えられた”当時の気持ち”を言ってしまうのではないかな、と不安を覚えました。


もう、昔の話はダメですねー。

記憶に残っている過去のことで、強烈な出来事以外を除いたら、きっと、しっかり記憶できているのは、せいぜい2,3年以内くらいが限度ではないかなと思う次第です。

そういう意味ではブログやnoteでいろいろと書き留めておくのはいいかもしれません。

きちんと、そのときの事象や気持ちを書き留められていれば、今の時点で考える「過去」にすり替えなくて済むから。

そんなことをぼんやり思った日でした。


トークライブの内容は折に触れて、今後noteでご紹介できればと思っています!


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