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Wheel of Fortune? 人生を変える出会い

2020年3月から今日まで、1年半以上、550日以上、ずーっとリモートワーク。
社長と私という小さな組織。
時々オフィスに行くことはあっても、社長は海外にいるため、チームメンバーに会うためではなく、郵便物の片付け程度。

これラッキーとばかりに、リモートワークによる利点を享受し謳歌。
無くなった通勤時間を有効活用し、料理時間を楽しんだり、Zoomセミナーに参加したり、読書をしたり、ジムに行ってみたり。
副業にチャレンジしてみようと、苦手なPCワークを頑張り、Wordpressとやらを駆使し、ブログサイトさえ立ち上げた。
料理と栄養に関心を持ち、せっかくだからと、食育アドバイザーの資格だって取得した。
インスタには日々の自炊記録をあげ、違う自分の一面を表現してみたりもした。
コロナで人と会えないうちに、とダイエットや美容にも励んだ。

「リモートワークによる利点を享受し、その利点を謳歌できている。」

疑いなくそう思っていた。

あの会話をするまでは。


コロナ禍で自分にとって1つ不思議なことがあった。
子供の頃からずーっと関心を寄せ、様々な関わり方をしてきた、これまでの人生をそれ抜きでは語れない「アフリカ」が私の中から消えていた。
子供の頃から、アフリカに関する本を読み漁り、ドキュメンタリー番組は逃さずチェックし、20歳の時には南アフリカ・ジンバブエを1ヶ月かけて旅をし、大学卒業後にはルワンダで1年暮らし、大学院の修士論文のためにはガーナでフィールドリサーチを行った。とにかく、アフリカに夢中だったし、アフリカに救われてきた人生だった。「歴史的・社会的・政治的な難しさ」と「文化・人・自然・風景が織りなすものすごいパワー」が混在するアフリカが放つその圧倒的なエネルギーにいつも魅了されていた。子供の頃から自分をあまり出さないように息を潜めていた私にとっては「生」への強い憧れがあったのかもしれない。

それなのに、コロナ禍でごそっと消え去っていた。そして、そのことに気づきすらしなかった。

あの会話をするまでは。


リモートワークが続き、人との関係が薄れるにつれ、どんどん人と関わることがおっくうになっていった。
世界と断絶されている日々の蓄積で、どんどん孤独になって、心に血が通わなくなっていた。
効率的に時間を使えば使うほど、そこに人とのコミュニケーションが失われていき、心は何もキャッチできなくなっていた。
「楽しくない、つまらない、孤独だなぁ」そう思う自分の心を直視しないで、「人って変わるんだな、今の私はこんな感じ」と砂漠化したドライな自分の世界をただドライに受け止めていた。

それが間違っているとも思わなかった。いや、改善する気力すらなくなっていたのかもしれない。

あの会話をするまでは。


自炊生活にも飽きてきて、Googleマップで近場のレストランを検索。
なんと、ガーナ料理のレストランを発見。ガーナに行った時、ガーナ料理にどハマりした私。ガーナでの日々を思い出しそれだけで少し心が動いたことに気付いた。

とある日曜のディナーで行ってみると、お客さんは私だけ。
ガーナ人とシェラレオネ人の女性2人がシェフ。
オクラシチューを注文。

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一口食べた瞬間に、体にエネルギーが瞬時に充満するのが分かった。そして蘇る記憶。修士論文のフィールドリサーチのために一人でガーナに行ったこと、首都アクラからリサーチ場所である北部のタマレまで深夜の高速バスで12時間かけて行ったこと、そしてその時、疲れた私にエネルギーをくれたガーナ料理。あの時と同じように夢中で食べる私。体内の細胞・機能・血そして心が「これこれ!This is what I needed!」って言っているような気さえした。

シェフ2人が挨拶に来てくれた時に、私は堰を切ったように、ガーナに行ったことがあること、ガーナが大好きなこと、そして気持ちが落ち込んでいたけど今日この料理を食べてエネルギーをもらったこと、そして感謝を情熱的に伝えていた。3人で盛り上がって、私たちは話し続けた。夢中で話した。身振り手振り、私もシェフも夢中でそのケミストリーを心から喜び会話を紡いだ。心踊らない日々をずっと過ごしていた私なのに、会話の合間には店内に流れるガーナミュージックに合わせて自然と2人のシェフと踊っていた。

あの会話をきっかけに、心の氷河が溶け出した。
あの会話をきっかけに、凍らせていた自分を再発見した。

「人とのコミュニケーションが好き」
「もっと人と自分とぶつかり合いたい」
「心と体を動かして生きたい」
「アフリカが好き」
「アフリカに関わることがしたい」

空いた時間を活用して色々チャレンジしたことも、アフリカから関心がなくなったのも、コロナの制限下でできそうなことだけを取捨選択していただけなのかもしれない。
自分の心に波風が立たないように、望んでも手に入らない現実に傷つかないように、本質の私に蓋をしていた?

あの会話をきっかけに、私の人生の時計が動き出した。
あのレストランに3度目に訪問した10月のとある日曜日。偶然にも、西アフリカから日本に来て20年以上というそのレストランの社長と遭遇、意気投合。

この文章を書いている翌週、一緒に何かできることがあるかもしれない、と私たちはビジネスミーティングを予定している。

将来、「あの会話をきっかけに、私の人生は変わった」と言っているのかもしれない。


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