「男運」の正体
「私ってほんと、男運ないわー」
久々高校の友達と飲んだとき、1人の同級生が悲しく呟いていた。話を聞いてみると、確かに、その娘が付き合った男は総じて屑で、浮気されたり三股されたりと散々であった。その事を涙ぐみながら話す彼女に、僕は少なからず同情した。しかし、同時に、僕の中で素朴な疑問が生じた。
それは、本当に「運」が悪いからなのであろうか?
よくよく話を聞いてみれば、彼女が付き合った男性は、大学時代に言い寄られたサークルの先輩や、クラブで知り合ったバンドマン等であった。
いや、それは「運」ではなくて「必然」だろ。
そうゆう奴等は手当たり次第声をかけていけそうな女をいってるだけなので、付き合った所で、彼女ができた所でその性格が治る訳がないのだ。
なぜそれを「運」のせいにできるのだろう。
僕がそんなもやもやした感情を言葉に出そうか迷っていると、彼女はでポツリと呟いた。
「今度は浮気しない人と付き合いたいなぁ。」
それを聞いた時、またしても僕の中にもやもやとした感情が生まれた。はたして、本当にそうであろうか?
もし本当にそうであるなら彼女が狙うべきなのは、どの女にも声をかけていない女っ気ゼロの男なのだ。
しかし、そんな奴に魅力や自信は無い。これは僕自身がそうなので、異論は認めない。
つまり彼女は「浮気される可能性があるが魅力的な男性」と「浮気される心配は無いが魅力的でない男性」の二者択一を迫られているのだ。
...
僕のもやもやした感情は収まらない。
そこで僕は、僕の隣に座っていたイケメンで浮気ぐせのある斎藤を引き合いに出して、思わず彼女に質問してしまった。(ちなみに彼女は斎藤の浮気ぐせを知らない)
「じゃあ質問なんだけど、僕と斎藤ならどっちと付き合いたい?」
「え?そんなの斎藤に決まってんじゃん。」
うん。まぁ、そりゃそうだよな。
決まってるよな。うん。
僕は完全に雄の目になった斎藤の横顔を見ながら、いつもより塩辛いソルティドッグを一気に飲み干した。