あとで買う *有料設定にしましたが、記事は全部読めます。ドネーションお願いします。*
執筆者 無駄壱萬字家筆まめ
やらかしちまった やらかしちまった
どうしてこんなことになったのか
やらかしちまった やらかしちまった
自分で自分がゆるせねえ
やらかしちまった やらかしちまった
また同じ過ちの繰り返し
やらかしちまった やらかしちまった
俺に生きる価値などありゃしね
どぶろっくのネタ、やらかしちまったの一部抜粋である。
私は、いま正に上記の歌詞の部分の気持ちだ。
かの地獄の日々。
また、望まないファスティングをしなければならないかもしれない。
いや、今回はそうなると分かっているのにファスティングだ。
あの、幻覚を伴った倦怠感に身体中から生命力を吸い取られる日々。
嫌だ!
だが、自分が悪いのである。
手元不如意なので手を付けない様にしていた金に、手を付けてしまった。やらかしちまった。
菊池寛が「ギャンブルは絶対に手を付けてはいけない金に手を付けてからが勝負」と言ったというが、私の場合はギャンブルではない。
その点だけが唯一、自分を正当化し弁護できる点だ。
野口英世も石川啄木も皆んな、手を付けてはいけない金でドンチャン騒ぎをしたり遊郭に行ったりしてるが、私は違う。
この一点突破で自己弁護を図るしかない。
前々からずっと、買い物かごの所の"あとで買う"に入れたまま、1冊の値段が3000~4500円位だから購入を我慢していたものを4冊同時に買ってしまったのである。
私の現在の生業の業界では、お盆は繁忙期なので、ついこの間はとてもとても忙しかった。
忙しさからファスティングとは別のトランス状態に陥り、気付いたら、"あとで買う"から買い物かごに入れて注文していた。
正常時なら、欲しいものを次から次へと買い物かごに入れるだけ入れて注文せず"あとで買う"にしていた。そうする事で、買った気分を味わっていた、だのに。
夢遊病の様な状態とはいえ。買ってしまったものはしょうがない。いつかは買いたいものなのだから。
せめて、ここに書き殴らせてもらう事で、ファスティングの事を少しの間だけ忘れさせて頂きたく思う。
まず、最初に登場するのはこいつだ!
ニール・ゲイマン作、ジェームズ・H・ウィリアムズIII作画によるサンドマン序曲だ。
翻訳版が20年以上経って復刊、その復刊シリーズの第一弾として出ているのがこれだ。
買い物かごから我が家の本かごへとやってきた。
もう、表紙からして最高である。
いざ表紙を捲ると、本編の絵が私の目を、感覚を、脳を突き刺し刺激され自分のセンスが良くなった気になってくる。
センスが良くなった気がすると書いたそばから、センスの欠片も無い表現しか出ないが、ジェームズ・H・ウィリアムズIIIは天才だ!あらゆる表現は自由にやって良いのだと教えてくれる。
こればっかりは実際に中身を各々見てもらうしかないが、度肝を抜かれると思う。
作者のニール・ゲイマンは、今や著名な作家、脚本家でご存知の方も多いと思う。私なんかがわざわざ書かなくても、その素晴らしさは知れ渡っている。ドラマ化されているグッドオーメンズ、アメリカンゴッズなど面白いもの製造機な人だ。
個人的には、イギリスBBCの世界最長のSFドラマシリーズ、ドクターフーでの脚本も素晴らしかった。
私はドクターフーの大ファンなのだが、その事はまた別の機会に書き殴らせて頂きたいと思っている。そういえば、グッド・オーメンズもドクターフーの10代目ドクターもデイヴィッド・テナントだ。
グラフィックノヴェル、アメコミは基本的に高い。翻訳して出版してくれる会社があるだけで嬉しい事なのだが、高い。
反面、私レベルでも読める程度のセリフ、内容の作品なら原書を買えばいいのだが、今回購入した作品などは色々な専門用語なども出てくるので、高い翻訳版が有難い。
グラフィックノヴェル、アメコミを購入する人の絶対数はある程度決まってしまっているという。
映画化されてヒットしようが、わざわざアメコミを買いたいと思う人の数は、日本ではそんなに変わらないのだ。
なので、日本の人気漫画の様にどんどん増刷される事はほとんどない。アメコミは見かけたら買っておけ!という言葉があるくらいだ。
この格言を実際私も味わっている最中だ。
私が欲しい作品でアラン・ムーア作のプロメテアというものがあり、これが全3巻なのだが1巻と3巻はまだ現在も定価で買える。しかし、何故か2巻が品切れ状態で、増刷もされない。オークション、中古など探すのだが25,000円位する。
これを買ったらファスティングどころか、死・・・。
転売ヤーという人達がいると聞くが、この事で話題になるほとんどの物に興味が無いので、普段は「困ったもんだな、でもこれが皆んなが望んだキャピタリズムを突き詰めるという事か」くらいに軽く思っている(悪く言えばどうでもいい)のだが、プロメテア2巻に関しては、転売で儲けたいキャピタリズムの権化をバットで殴りたい。Beat on the scalper with a baseball batだ。私はまだまだ人間ができてないので、こんな事で(しかも自分が興味ある物だと)クソッと思ってしまう。修行が足りない。
サンドマンを読む事で腹一杯になる器官が私にあったらと思う。プロメテア2巻は様子を見ながら購入のチャンスを狙うとしても、このサンドマン復刊シリーズは、あと3冊は出版が確定しているらしいから、ファスティングは続くだろう。
サンドマン序曲のゲイマンのストーリーと、ウィリアムズIIIの作画を舐めるように堪能しゆっくり読み進めながら、ナイトメア·アリーの原作小説も読んでいるのだが、こちらには主人公のスタンがヘネシーのスリースターというブランデーを飲むシーンが出てくる。ヘネシーのスリースターを嘗めたいと思ってしまう。ヘネシーのスリースターを酒屋のオンラインページの買い物かごに入れて、"あとで買う"に入れてしまった。
もはや、ここまでくると病気と思われても仕方ない、というか自分で自分の事をそう思う。
しかしまぁ、この"あとで買う"のシステムを考えた人は世界を征服できるのではないかと私は思う。そう思ってしまうほど、この"あとで買う"は悪魔の囁きである。アダムとイヴに知恵の実を食べるように唆した蛇だ・・・・・
窓のない息苦しい部屋から、男の声が聞こえてくる。
「初めは、いつか買おうと思っていたけど今は我慢しようとしたんです。折角検索したし、次にまた最初から検索し直して見つけるのも面倒だからここに入れておこうと、そんな軽い気持ちだったんです。」
その男以外には誰もいないはずの部屋。静かに語っていた男は、ひとりごちた。そして、段々と我を忘れた様に中空を見つめ、さもそこに誰かがいるかの様に怯え始めた。怯えながらも目は憤怒に燃えていた。自らの太い腕を自己防衛の為胸の前で交差し、手は肩をしっかりと掴んでいた。そして語気荒く、その見えない誰かに詰め寄った。
「お前は定期的に唆してきただろ!あと、残り僅かだとか、これ以降の入荷の予定はないだとか、今買わないと値上がりするぞだとか!俺は悪くない、以前から購入を決めていたんだ!購入するタイミングがたまたま今になっただけだ!」
男は自分の真後ろから声が聞こえてきた気がした。後頭部から数センチも離れていない感覚だ。
「はたして本当にそうかね?あらゆる事に欲望を抱いた時点で、君は私と取引し、それを得る代わりに私に真っ当な人間としての生活を差し出したのではないか?私は唆してなんかいないのだよ、君の中にある堕落した君の本質がそうさせたのだし、私はその本質の存在を教えてやっただけだ!」
真後ろから聞こえたと思った声は、以前どこかで聞いた声に似ていた。似ていたというより、そのものだった。
なんて妄想をしながら、今回購入してしまったサンドマンを楽しんでいる。
サンドマンを読み終えてしまっても、私にはまだ3冊ある。今回はこれまでとさせて頂く。
次回もどうぞよろしく。
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