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「離婚は悪」という悪意なき呪い

離婚という響きに良いイメージはない。だからといって、もし「離婚しようと思う」という方から相談を受けることがあれば、理由も聞かず制止することだけは絶対にしないでほしい。まず何があったのか、なぜそう思ったのか聞いて、寄り添ってもらいたい。

私は家族(父と母方の祖母)に反対された。散々悩み、考え抜いてようやく出した「離婚したい」という結論を、勇気を出して切り出した自分と娘にとってベストな人生プランを、理由や経緯、今後の展望など聞かれることなくバッサリ「離婚なんかするな」「早まるな」「娘のことも考えろ」と。否定・反対された。

驚いた。
ショックだった。
悲しくなった。
私と娘にとっての人生を縛り付け、灰色にしたいのか。

でも当時悩み抜いて出した結論だけあって、簡単にへし折られるほど弱い決意じゃなかった。「この人たちに反論しても無意味だなー(価値観は変えられないし、変えるつもりもないし、気まずい時間が無駄)」と感じて、それ以上の会話をやめ、実家との交流を絶った(絶交ということではなく、単に話し合うことをやめただけ)。実家から離れててよかったと思えた。

私だって、前夫の浮気発覚直後すぐに離婚を決意したわけじゃない。気持ちの面では、信頼していた人からの裏切りや悲しみ、プライドを傷つけられた怒り、とにかく負の感情が渦巻いていたけど。当初、修復を試みて引っ越したり、忘れて振る舞ってみたり努力もしてた。でも数ヶ月かけて断念。離婚の結論に至った(この悪夢のような期間についてはいつか書く)。

きっかけは、夫が出て行った家ではじめて娘と二人で暮らしてみて、心身ともにとても楽になったこと。「こんなに解放的な気持ちになるなんて・・!」ピンときた。そこから母子家庭の支援や手当、保育園の内定、仕事の見通し、弁護士のアドバイス…など、調べれば調べるほど新生活のイメージがわき、歯車がまわりはじめた。この時点では全くアテがなかったが、「バツ2子持ちだろうが、絶対に再婚する」と決めていた。娘にとっては父が必要だと思っていたし、私にとっても夫は必要。合コンコーディネーターを名乗っていた私が見つけられないわけがない。どんな人が見つかるかな、、?ちょっと楽しみかも。昔の自信もなぜか取り戻しつつあった。

そんな妄想もし始めると心にゆとりができたのか、娘も後押ししているように感じた。ニコニコも増え、夜泣きはなくなり、環境がかわっても堂々たるもの。ずっと落ち込んだり泣いたりしていた母よりも、明るい未来を探す背中のほうが頼もしく感じたのか。何度も、ありがとう、頑張ろうねと抱きしめた。

ここからの経緯もいつか書きたいが、結論、いまのパパとの新生活がはじまる。娘にとっての唯一無二のパパは私にとっても最愛の存在に。充実した生活。幸せ。安定。余裕。笑顔と笑い声のあふれる日々が送れている。一時期連絡を取れなくなっていた友人たちとも、新しいご近所さんとも、これまで以上に家族ぐるみで遊べる機会が増えた。今も。なんて幸せな日々だろう。

離婚を頭ごなしに否定し辞めさせようとするということは、この幸せを奪うこと。

もちろん結果論だし、離婚を決意した当初は確かに新しい家族の見通しは立っていなかったけど、この幸せの可能性を潰す権利なんてあるのか?親として子や孫の幸せを願わないのか?我慢を強いるのは自分がそうしてきたから?

父親や祖母が「あなたのため、娘のため」といって握りつぶそうとした離婚は、私と娘の幸せを奪うことでしかなかった。本人たちも悪気があった訳じゃないと思うけど(今はどちらも普通に話すけど、当時のことは「急だったから」「無謀だから」などと、謝ってくれてはいない。別にいいけど)。でも、親に理解してもらわなくても良い。本当に離婚してよかった。「親が反対しているから・悲しむから」という理由で離婚を諦めなくてよかった。無駄に我慢しなくてよかった。当時35才だった私にも、娘の人生には責任を持てていたし。

これは私の経験談だけど、同じように悩んでいる方がもしいたら。自分の人生を自分以外の人の価値観に奪われず、堂々と生きて欲しい。悩んでいる方がいたら心から寄り添って応援したい。雨はいつか晴れる。自分を信じて。

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