投資信託の目論見書はどこを見ればいい?項目別に解説
投資信託を購入する際に必ず確認するのが「目論見書」です。ファンドの概要や投資リスク、費用などが記載されており、ネット証券で購入する場合でも必ず目を通さなければいけません。
しかし、初めて投資信託を購入する人や投資の経験が浅い人は「どこを確認すればいいか分からない」という人もいるでしょう。そこで本記事では、投資信託の目論見書の読み方について解説していきます。ぜひ投資の際の参考にしてください。
1.目論見書には2種類ある
目論見書には、「交付目論見書」と「請求目論見書」の2種類があります。
交付目論見書は、ファンドの概要や投資リスク、投資にかかる費用などが記載されているもので、購入前もしくは購入と同時に投資家へ交付されることが法律で定められています。
ネット証券で投資信託を購入する場合はPDF形式で交付されることが多いため、必ずファイルを保存していつでも確認できるようにしておきましょう。
また、請求目論見書には、関係法人の詳細やファンドの沿革、運用体制など、より詳細なファンドの情報が記載されています。交付目論見書と違って投資家への交付が義務付けられているものではありませんが、販売会社へ請求すると交付を受けられますので、必要に応じて確認すると良いでしょう。
2.交付目論見書で必ず確認すべきポイント
交付目論見書は専門用語が多く、見慣れるまでは「どこを読めばいいか分からない」と感じることもあるかもしれません。しかし、投資判断に関わる重要な事項が記載された書類であるため、必ず目を通すことが大切です。ここでは、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」の交付目論見書を例に、確認すべきポイントについて解説していきましょう。
2-1.商品の概要
交付目論見書の冒頭には、ファンドの概要を簡潔に示した項目があります。上記画像の例では、この項目を見るだけで「北米地域の株式に投資する株式ファンド」ということが理解できます。
まずは、「どのような地域のどのような資産に投資するファンドか」ということを確認しましょう。
2-2.ファンドの目的・特色
次に、「ファンドの目的・特色」を確認します。ここでは、数ページにわたって下記のようなことが記載されています。
・ファンドの投資先
・銘柄の選定方法
・為替ヘッジの有無
・ファンドの運用方式(ファミリーファンド方式、ファンドオブファンズ方式)※参考記事(”ファンドオブファンズ”と”ファミリーファンド”の違いとは?)
・分配方針
この項目では、「どのような資産に投資するか」「どうやって銘柄を選定しているか」といったことが確認できます。ファンドの値動きに直結する点であるため、必ず目を通して商品の理解を深めましょう。
また、海外資産に投資するファンドの場合は、「為替ヘッジの有無」についても記載されています。為替ヘッジの有無も基準価額の動向に大きな影響を与える要素であることから、併せて確認しておくことが大切です。
2-3.投資リスク
次に、ファンドの投資リスクについて確認しましょう。投資リスクはファンドによって異なりますが、主に次のようなものが挙げられます。
・株価変動リスク
・為替変動リスク
・信用リスク
・カントリーリスク
目論見書では、それぞれのリスクがどのように基準価額に影響を与えるか詳細に説明されています。投資した後に「こんなリスクがあるなんて分からなかった」ということにならないよう、必ず1つ1つのリスクを確認しましょう。
2-4.ファンドの運用実績
交付目論見書には、ファンドの運用実績も記載されています。設定来の基準価額の推移や純資産総額、分配金の推移などを見て、これまでどのような運用が行われてきたか確認しましょう。
過去に大きく値下がりしていることがあれば、そのときにどのような変動要因があったか調べてみることもおすすめです。
2-5.組入銘柄
ファンドの運用実績の項目には、組入上位の銘柄も記載されています。ここでは、「どのような銘柄やセクターに投資されているか」「組入比率の割合が偏っていないか」といったことを確認しましょう。
ただし、交付目論見書は半年ごとに更新されることが多いため、直近の組入銘柄については最新の月次レポートで確認することがおすすめです。
2-6.手数料
交付目論見書の後半では、ファンドの費用について記載されています。購入手数料や信託報酬、信託財産留保額など投資にかかる費用の詳細が記載されていますので、1つ1つ確認しましょう。
ただし、購入手数料については上限の手数料率が記載されているため、販売会社によっては手数料が異なる場合があります。例えば上記画像の例では3.3%の手数料とされていますが、楽天証券やSBI証券では手数料無料で購入できます。購入手数料については、交付目論見書ではなく販売会社へ直接確認する方が良いでしょう。
また、目論見書には購入手数料や信託報酬の他に「その他の費用・手数料」も記載されています。これは組入銘柄の売買にかかる手数料や事務費用、監査費用などで、保有期間中に都度発生するものであるため、事前の提示ができません。
3.商品を理解したうえで投資しよう
本記事では、投資信託の目論見書の読み方について解説してきました。目論見書は専門用語が多く、「読んでもよく理解できない」という人もいるかもしれません。
しかし、目論見書には投資判断に関わる重要な事項が多く記載されているため、きちんと目を通して理解することが大切です。特に、投資リスクや銘柄の選定方法、運用にかかるコストなど本記事で紹介した項目については、必ず確認してから投資をするようにしましょう。
それでは、今回はこの辺で!