【FVP政治観察記】(第1回)アメリカ中間選挙をみて感じたこと
【衆参】
〜分断のその先に〜
11月8日、アメリカ中間選挙が行われました。First Vote Projectでも速報し、様々な方から反響をいただきました。
結果は上院が民主党、下院が共和党が多数派となりましたが、過去の中間選挙や事前の情勢調査、経済状況など与党に逆風が吹く中で民主党はかなり善戦したと考えられるでしょう。
なぜ、なのか。
一つは人工中絶問題への意識の高さだと思いますが、トランプ前大統領への忌避感も考えられると思います。トランプ前大統領は在任中に差別的発言を繰り返し、先の大統領選挙では選挙の不正を主張し、一部の支持者は連邦議会襲撃事件を起こすに至りました。
このようなトランプ前大統領の民主主義の破壊とも取れるような行動で無党派層で共和党が競り負けた原因なのではないかと思います。
ここ数年でアメリカは確実に分断が広がっていると思います。以前は民主党、共和党が一つのアメリカのことを考えて政治をしていたように思いますが、今は互い敵対視してしまっていると感じるのです。
そしてその溝を埋めるはずの政治が、トランプ前大統領を始めとして分断を煽っているのではないかと思います。
遡ること一ヶ月ほど前、野田佳彦氏による安倍元総理への追悼演説が行われました。
安倍氏の生い立ちやエピソードなどに触れ、哀悼の意を表すとともに政治家としての理念も述べた非常に良い演説だっと感じました。
その中で特に私の心に残った部分があります。
「国の宰相としてあなたが遺した事績をたどり、あなたが放った強烈な光も、その先に伸びた影も、この議場に集う同僚議員たちと共に言葉の限りを尽くして問い続けたい。
問い続けなければならないのです。
なぜなら、あなたの命を理不尽に奪った暴力の狂気に打ち勝つ力は、言葉にのみ宿るからです。
暴力やテロに、民主主義が屈することは、絶対にあってはなりません。
あなたの無念に思いを致せばこそ、私たちは、言論の力を頼りに、不完全かもしれない民主主義を、少しでもより良きものへと鍛え続けていくしかないのです。」
先ほどアメリカ中間選挙で分断が広がっているのではないかと述べましたが、日本も同じではないかと感じます。
ここ十年で公文書が改ざんされ、国会で虚偽答弁がまかり通り、政府が国会の開会要求に何ヶ月も応じないという民主主義を軽視した事件が起こりました。
そして、それにより分断が生じていると思います。今、述べたような事件は決して許されるべきではないですし、検証し続けなければなりません。また、それと同時に広がった分断にも目を向けなければならないのではないでしょうか。
私たち国民に突きつけられている様々な課題は複雑で簡単には解決しないような課題が山積しています。
そんな時代だからこそ単純明快でわかりやすいものにすがりたくなるかもしれません。
しかし、そんな時代だからこそ言葉と言葉をぶつけ合い、一致点を見出しながら前に進んでいく、そういう議会、民主主義、政治が必要なのではないかと思います。
そしてその言葉は決して分断を煽るような罵声であるべきではないのです。
アメリカ中間選挙で感じたこと、それは分断の広がった社会の姿でした。
しかしそれは日本にも当てはまるのかもしれません。
分断の広がった社会をどう修復していくのか、それは私たち一人ひとりに突きつけられているのかもしれません。
※「FVP政治観察記」ではそれぞれのメンバーが活動を通して感じたことや政治への思いを書いています。賛同できる意見もできない意見もあると思いますが、ぜひご一読いただき、また、皆さんの意見を発信していただければ幸いです。