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水曜日
2024年11月16日 01:29
春先の午後、街角の古道具店で、澪(みお)は一つの時計に目を留めた。それは小さな置時計で、文字盤の中央に細かいヒビが入っていた。針は止まったままだが、どこか引き寄せられるものを感じ、澪はそれを手に取った。「それ、動きませんよ」と店主が笑いながら言う。「でも、飾るにはいいですよね」と澪は答え、その時計を購入した。自宅に戻ると、澪はその時計をリビングの棚に置いた。動かない時計はまるで静かな彫