真夏の空とロミオとジュリエットとブルックナー
ベッドに横たわりながら、見上げれば真夏の空。
青い空と白い雲。
絵に描いたような。
まぎれもなく、夏休みである。
そこが、病室であるということを除けば。
その名を「横紋筋肉腫」という、がんとともに生きる日々は、
あっという間に季節を春から夏へと進めていた。
抗がん剤治療の副作用が落ち着いて、
あとは白血球の数がもう少し増えれば、外泊できるか、という頃。
体調はわるくないだけに、一番退屈する時期でもある。
面会に来てくれた友人からの差し入れは、文庫本だった。
現代版ロミ