AkiraWada

*ご覧くださりありがとうございます。ここに記すことは、私個人の経験・見解であり、所属機関の総意ではありません。また、医療に関する内容等を含むこともありますが、特定の医療機関や治療法を推奨するものではありません*

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最近の記事

【HPAC2020.9.20】夕映えと、最後の5小節。

夕暮れは、なぜ美しいのだろうか。 背後から闇が迫るからだろうか。 とっぷりと日が暮れてなお、 最後の最後まで、彼は、山を登ろうとする。 登ろうとして、 もう力尽きてしまいそうで、 でも少し登って、 やはり力尽きて・・・ そんな最後の5小節。 人生の最期にどんな景色が待っているのか、知らない。 でも、もしかしたら、こんな感じなのかもしれない。 すべり落ちるようにして、 たどり着いた音は、 喜劇でもなければ、悲劇でもない、 えもいわれぬ音。 そういうものなのかもしれな

    • 【HPAC2020.9.19】いも食べたい。

      いも食べたい。 さつまいも食べたい。 ≪アルプス交響曲≫を聴き終えて、 そんなことを思った人が、この世に何人かはいるのだろうか。 総勢120名のオーケストラは、冒頭から気合十分。 リヒャルト・シュトラウスを弾ける/吹ける/叩けるよろこび、 みたいなものが溢れ出ていたと思う。 それでいて、自然体でもあり。。 今日は、思ったより雲の多い天気になったが、 秋の風が心地よい。 去年の今頃は、演奏会に足を運ぶ時間もないような暮らしをしていた。 「芸術の秋」なんて、いつ以来だろ

      • 【HPAC 2006⇒2020 ④】

        14年前のことも、5か月前のことも、 「いま」に立って、振り返る… 当然、記憶の濃い、薄いがあり、 しかしそれは、時間が経ったから薄まっているかというと、 そうでもなくて。 もうひとつ、14年の中では、 音楽の聴きかたも変わってきているはず。 そんなことをひっくるめて、 私の、私による、私のための記録。 だれかの役に立つことは、ほとんどないでしょう。 それでも、この記事をそっと、世の片隅に置いておきたいのです。 ゆたかな時間の記憶として。 ◎第69回定期演奏会 グ

        • 【HPAC 2006⇒2020 ③】

          「PACファンレポート」という連載を見つけた。 いまの時点で、4年前までさかのぼって読むことができる。 このnoteで2020年まで書ききったら、 じっくり読ませていただきたいと思う(いつになるねん)。 というわけで、こちらは、12年前までさかのぼる。。 ◎第20回定期演奏会 バーンスタイン : 「キャンディード」序曲 バーンスタイン : 交響曲第2番「不安の時代」 チャイコフスキー : 交響曲第4番 ヘ短調 2008年11月23日(日・祝) なんといっても、「不安

          【HPAC 2006⇒2020 ②】

          兵庫芸術文化センター管弦楽団(HPAC)の2シーズン目は、 2007年4月から2008年8月。 ◎第9回定期演奏会 チャイコフスキー : 幻想序曲「ロメオとジュリエット」 チャイコフスキー : ロココ風の主題による変奏曲 チャイコフスキー : 交響曲第5番 2007.4.6(金) 1階最前列でかぶりついて聴いたのは、14年のうちでこのときだけである。 緊張、した。。 べつに、オーケストラのメンバーから見られているわけでもない と思いつつ、も。 交響曲第5番は、 バー

          【HPAC 2006⇒2020 ②】

          病室バイロイト音楽祭

          入院中、いちばん怖かったもの。 それは、注射でもMRIでもなく… 「夜」だった。 べつに、おばけが出るから、ではない。 つ、強がりなんかではない。 明日の朝、目覚めるだろうか、 考えないでいようとするけれど、ふいに頭をよぎる。 だから、消灯時刻とは、 心の中で祈るときでもある。 「明日も、無事に朝を迎えられますように」 祈りをもって、すぐに寝つくことができるかというと、 そうでもない。 だいたい、日中の活動量も知れている。 おのずと、寝つきはわるくなる。 そこ

          病室バイロイト音楽祭

          【HPAC 2006⇒2020 ①】

          ◎第1回定期演奏会 ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」 R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」 2006.4.10(月) (ん)じゃじゃじゃじゃーんの、 (ん)を振り下ろした瞬間… 指揮棒が飛んでいった。 飛んでいく指揮棒が描く、 放物線の残像が、 今でも目に焼き付いている。 「英雄の生涯」の最後、 静かなホルンの音色が、 今でも耳の奥に残っている。 ◎第3回定期演奏会 シューマン:交響曲第2番 ブラームス:交響曲第2番 当時の僕は、 シューマンの第4楽章の冒

          【HPAC 2006⇒2020 ①】

          真夏の空とロミオとジュリエットとブルックナー

          ベッドに横たわりながら、見上げれば真夏の空。 青い空と白い雲。 絵に描いたような。 まぎれもなく、夏休みである。 そこが、病室であるということを除けば。 その名を「横紋筋肉腫」という、がんとともに生きる日々は、 あっという間に季節を春から夏へと進めていた。 抗がん剤治療の副作用が落ち着いて、 あとは白血球の数がもう少し増えれば、外泊できるか、という頃。 体調はわるくないだけに、一番退屈する時期でもある。 面会に来てくれた友人からの差し入れは、文庫本だった。 現代版ロミ

          真夏の空とロミオとジュリエットとブルックナー

          看板

          人はそれぞれ、看板を背負って生きているのかもしれない。 わたしは野球選手 わたしはパン職人 「職業」が看板になっている人もいるだろう。 愛犬ポチの主人 何某というアイドルのファン。 「職業」だけじゃないかもしれない。 人はいつ、どこで、看板を見つけるのだろうか? --- 「病名は横紋筋肉腫。治療は、秋ぐらいまでかかるでしょう…」 4月の夕方のこと。 病棟の片隅にある小部屋。 窓の外を見ると、もう夕暮れが近い時間になっていた。 おうもんきんにくしゅ、という呼び名のそ