TTバー導入記。(5)

ところで、ブルホーンバーを掴んで走っている時は膝と肘がTTポジションとして丁度いい位置にあるのに、TTバーのほうを掴んだ場合にはそのバランスが崩れて恐ろしく不格好になってしまうのは何故なのだろう。


そもそもUCIが定めているレギュレーションからして、私くらいの非常に小さい体格の人間のことを想定していないようなのではあるが、それを逆手に取って、できる限りグレアム・オブリーよろしくスーパーマンポジションに近付くようにTTバーを延長すると上述のように不格好になってしまう。だからといって見た目のためにTTバーを短くして不利益を被りたくもない。

これはおそらく、フレームのジオメトリーがどうのこうのという話ではないので、いや、もしかしたらリーチが呆れるほど短いフレームが作れるとしたら近似のポジションを追求することもできるのだろうが、ただし、素材はクロモリに限定されるだろう。カーボンでやってくれるところはないと思われる。ともあれ、今すぐにできることといったら、サドルを可能な限り前へ移動させることくらいだろう。ルールに従うためにサドルの前端を切り落とす選手もいたようだし、今はTT専用のサドルもあるようだが、TTバーを掴んで全力を出す場合にはサドルには殆ど触れているだけなので、サドルなどあってもなくてもどちらでもよく、とりあえずサドルの前端とBBの中心が鉛直線上に並ぶようにセットし、実際のところはほぼ一切座っていないという乗り方をするのがベターだろう。

ちなみに、クリス・ボードマンの走り方を見てみると、はじめの一歩のデンプシーロールのように上体を左右に揺らしている。比較的最近のTTスペシャリストであるファビアン・カンチェラーラも揺らしている。私も真似してみたのだが、どうやらこういった、頭をできるだけ前に出すイメージで左右に揺れながらペダルをガッチリ踏み込んで、イルカが泳ぐようにしなやかに走るのがTTのコツのようだ。

今日は、気温が20℃まで到達する日としては今年最後となりそうだったので、何も考えずに全力走行を試してきた。ウェアラブルデバイスで取ったログによると、最高速度が37.9km/h、1kmごとの平均速度の最高値が34.6km/hだった。特に1kmごとの平均速度において自己最高を軽々超えたのはTTバーの恩恵だろう。素晴らしく経済的なアイテムと言って過言でない。もちろん、腐らずにそこそこ真剣に練習を重ねたことも結果に繋がったとは思うが、結果を出したいと思うなら当たり前のことだと思う。

ただ、人類最速クラスの人間達は全行程を平均速度55km/h前後で走り抜けることを忘れてはならない。年齢的なことが邪魔をして比肩するのは非常に難しいと思われるが、諦めて全てをやめることはできればしたくない。まだまだそういった人間達が持つボディビルダーにも引けを取らないようなカットが出ているキレキレの脚には程遠いわけなので、自転車での練習だけでなく、バーベルを担ぐスクワットとデッドリフト、プランク、懸垂など満遍なく取り入れて除脂肪体重を上げつつ体脂肪率は下げていく、また、ストレッチによる柔軟性の維持・向上、これを地道にやっていけばまだもう少し伸びるはず……と思いたい。

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