東京オリンピック2020大会 自転車 ロードレース 男子 プレビュー
なんやかやあって東京オリンピック開幕が明日に迫っています。
自転車 ロードレース 男子は24日11時にスタートします。
今回はそのロードレース男子をプレビューしていこうと思います。
山中湖周辺のサイクリストの方々にはおなじみの激坂を含むハードなコースですよ。
ロードレース男子は府中市の武蔵野の森公園をスタート。
10㎞のパレードランの後アクチュアルスタートが切られ、相模原方面へ向かい、山中湖へ向かう道志みちに入ります。
道志みちは緩い登り基調が60㎞ほど延々と続き徐々に勾配が増してきます。頂上の山伏トンネルを越えると山中湖へ向かって下り、山中湖の北岸を回ります。
山中湖を巡った後、籠坂峠を越えて1回目の富士スピードウェイへ。
富士スピードウェイを1周して、御殿場方面へ南下。
普段は自動車専用道になっている南富士エバーグリーンラインを標高1,451m地点まで登り、富士スカイラインを通って下っていきます。
この登り、登坂距離約15km、獲得標高差約950mということを考えるとグランツールの1級山岳レベル。
レースが決まる登りではないですが、勝負に参加できる選手をセレクションする登りにはなりそうです。
そしてプロトンは2回目の富士スピードウェイに戻り、サーキットを1週します。
ここから、勝負のかかる最重要ポイント、三国峠を登ります。
三国峠は登坂距離6.7㎞、平均勾配11.1%、最大勾配は20%以上という激坂です。
プレ大会ではディエゴ・ウリッシ(イタリア)が三国峠の麓からアタックを決め、そのまま独走で勝利を収めました。
本番でも優勝につながるアタックのかかるポイントになるはずです。
三国峠の頂上からは山中湖に下り、旭日丘の交差点を左折して2回目の籠坂峠、そこから下って、富士スピードウェイでフィニッシュです。
距離234㎞、獲得標高差4,865mというモニュメントクラスのレースプロフィールです。
例えば今年のリエージュ~バストーニュ~リエージュは距離259.1㎞、獲得標高差4,266m。
昨年のイル・ロンバルディアは距離231㎞、獲得標高差3,966mです。
数字だけ見ればこの二つのレースより厳しいプロフィールと言えますし、しかも強烈に暑い日本の夏のレースです。
厳しすぎるサバイバルレースになるのではないかと予想されます。
激坂に強いクラシックレーサー向きのプロフィールで、しかも暑さに強い選手向きのレースだと思います。
ここからは有力選手をプレビューしていきましょう。
世界選手権やオリンピックなどのレースでは、国別のランキングによって参加枠が決まっています。
最大で5名、最小で1名です。
個人競技でありながらチームスポーツである自転車ロードレースでは、人数は単純にチームの強さです。
そうするとチーム人数が2人以下の国は正直厳しいと言え、できたら4人以上はいたほうがいいのではないかと思います。
近年の例外はロンドンオリンピックのアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン)でしょうか。
でもヴィノクロフはグランツール総合優勝やモニュメント制覇の成績のある選手ですからね。
という訳で、有力国の有力選手、特に優勝争いに絡んできそうな選手をピックアップしていきます。
まず注目が集まりそうなのがスロベニア。
ツールを総合連覇したタデイ・ポガチャルと、ブエルタを2連覇しているプリモシュ・ログリッチを擁します。
ツールを圧倒的な強さで制したポガチャルは当然優勝候補です。
とは言えツールの最終はかなり疲れている様子も見られましたし、ツール最終日からわずか6日後のレースということで、実際どんなコンディションかは未知数です。
それは他のツール組の選手にも言えます。
ログリッチは落車の影響でツールを第8ステージまでで終えています。
それからどのくらい回復しているかは不明ですが、けがから回復できているようなら優勝候補の最右翼の一人です。
5人のメンバーで臨む国はオランダ、ベルギー、フランス、イタリア、スペインの5か国。
オランダはトム・デュムランがレースに戻ってきました。
デュムランの目標はTTですので、ロードレースではアシストに回ると思われます。
期待したいのがバウケ・モレマです。
ジャパンカップを2度制するなど日本に縁のあるクライマーで、今年のツールでも第14ステージを優勝しています。
独走力のあるクライマーで、フィニッシュ前に勾配のある登りのあるプロフィールが得意です。
このツール第14ステージもそうですし、2019年に優勝したイル・ロンバルディアも同じタイプのレイアウトですね。
そしてなにより、このロードレース男子のプロフィールがまさにこのタイプ。
僕の優勝予想筆頭はモレマです。
ベルギーは、前大会ゴールドメダリストのグレッグ・ファンアーヴェルマートや、ツールで信じられない活躍をしたワウト・ファンアールト、期待のグランツールライダーのレムコ・エヴェネプールなどがエントリー。
流石に衰えの見えるファンアーヴェルマートやTTが本命のエヴェネプールはアシストかと考えると、エースはファンアールトになるのかもしれません。
ファンアールトはツールでモンヴァントゥを2回登る難関山岳ステージを優勝。
それだけでなく個人TTとシャンゼリゼのスプリントも制するオールラウンダーっぷりでした。
モンヴァントゥのステージの獲得標高差が4,647mということを考えると、オリンピックのコースもワウトの守備範囲と言えるかもしれません。
クラシックライダーらしく激坂も苦にしないところを考えると、モレマの対抗はワウト・ファンアールトかかもしれないなと思います。
フランスはダヴィ・ゴデュ、イタリアはジュリオ・チッコーネかアルベルト・ベッティオール、スペインはアレハンドロ・バルベルデがエースでしょう。
イタリアはプレ大会で圧倒的な強さを見せましたが、そのプレ大会で優勝したディエゴ・ウリッシはエントリーせず。
強力なグランツールレーサーを揃えてきたコロンビアは誰が勝ってもおかしくないチーム。
ナイロ・キンタナ、リゴベルト・ウラン、セルヒオ・イギータ、エステバン・チャベスとグランツールのエース級が揃っています。
イギリスもグランツールのエース級を揃えたチーム編成。
ゲラント・トーマス、アダム・イエーツ、サイモン・イエーツ、テイオ・ゲイガンハートの4人でグランツール総合優勝者が3人もいます。
アダム・イエーツはツールのメンバーから外れていたこともあり、オリンピックに照準を合わせてきた印象です。
デンマークのヤコブ・フルサンはこのオリンピックコースに向いているのではないかという一人。
アシスト陣も強力で最終局面まで残るだけの実力者です。
ツール終盤に体調不良でリタイヤしてしまったのが気がかりではあります。
昨年大ブレイクしたスイスのマルク・ヒルシも向いている一人。
激坂に強いクラシックレーサーです。
アイルランドのダン・マーティンはグランツールレーサーながら、こういったプロフィールに強い選手。
かつてはイル・ロンバルディアやリエージュ~バストーニュ~リエージュも制していて、今年もジロで1勝と健在ぶりを見せつけています。
ツールでポガチャルと総合を争ったリチャル・カラパス(エクアドル)も出場します。
コースプロフィール的にフィニッシュ前の展開が難しいような気がしますが、目の離せない一人ですね。
そして、日本からは二人の選手、増田成幸選手と新城幸也選手が出場します。
増田選手は国内で走るベテランオールラウンダー。
このレースではアシストに徹します。
日本のエースを担うのは新城選手。
ワールドチームで長年アシストとして走っていますが、日本の第一人者です。
最近は平坦でチームの先頭を引くシーンがよく見られましたが、以前は山岳アシストとしても活躍していました。
今年はオリンピックを目標として登れる身体に調整してきたとのこと。
自国開催のオリンピックでどこまで戦えるか楽しみです。
なんやかやあった東京オリンピックで、開会式前日にもなんやかやしてますけど、スポーツは純粋に楽しみたいと思います。もちろんおうちで。
選手達は今日とか明日とか練習してると思いますけど、バブルの中にいるので接触は厳禁ですね。
SNSを眺めているとオリンピックコース周辺を走っているサイクリストの人が多いようですが、選手との接触は控えましょうね。
もしかして会えるんじゃないかと思ってオリンピックコースに行くのは未必の故意だと思いますよ。
気持ちはすごくわかりますけど。
東京オリンピック 自転車 ロード 男子 は7月24日11時にスタートです。
地上波やBSでの生中継はないですが、民放5局のオリンピックネット配信サイト、gorin.jpでライブ配信されます。
こちらでぜひご覧ください。
自国開催のオリンピックを楽しみましょう!!
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