2021 Tour de France プレビュー 選手編
第108回ツール・ド・フランスもすっかり開幕してしまいましたね。
最初の2ステージはまるでクラシックレースみたいなレースになりました。
第2ステージのマチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス)の祖父、レイモン・プリドールに捧げる勝利は感動的でしたね。
そして第3ステージでは度重なる落車に多くの選手が傷つき、ツールを離れる選手も出てしまいましたね。
いろいろとプランが変わってしまったチームもありますが、それも踏まえながら今年のツールの有力選手について確認しておきましょう。
総合時間賞(マイヨジョーヌ)
まずは総合から。
第3ステージの複数の落車で総合有力勢にもタイムを失ったり、けがをしたり、DNFになってしまったりした選手が出ています。
昨年総合優勝のタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)は今年も優勝候補筆頭です。
今年はすでに3つのステージレース(UAEツアー、ティレーノ~アドリアティコ、ツアー・オブ・スロベニア)で総合優勝。
また今年は初のモニュメント、リエージュ~バストーニュ~リエージュを制覇。
強さが際立つポガチャルですが、今年は他の有力選手からマークされる立場になります。
昨年と同様の強さをツールで見せられるか期待して見てみたいですね。
ちなみに新人賞対象の選手の中で一番総合上位が予想されるのもポガチャルなので、マイヨブランはポガチャルになりそうですね。
ポガチャルと総合を争う一番手は同郷の先輩、プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)でしょう。
昨年は11日間マイヨジョーヌをキープしましたが、最終日前日の登りの個人タイムトライアルでポガチャルに逆転を許し、総合2位。
今年はツールに集中するため、4月のリエージュ~バストーニュ~リエージュ以来トレーニングを続けていたそうです。
第3ステージでは終盤の単独落車で多数の擦過傷を負ってしまい、1分以上のタイムを失ったログリッチですが、期間中にケガが癒え、いつも通りの走りができることを祈っています。
イネオス・グレナディアーズの今年のエースはゲラント・トーマスとのこと。
2018年の総合優勝以来、実はずっと勝利の無かったGですが、今年のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネで久しぶりの勝利を挙げました。
第2ステージですでに総合のライバルからタイム差をつけられてしまい、第3ステージでは落車で肩を脱臼。
骨折はなかったものの経過を観察中です。
もしゲラント・トーマスが難しい場合には、リチャル・カラパスがエースを代わるでしょう。
カラパスは2019年のジロで総合優勝。
今年はツール・ド・スイスで総合優勝とコンディションも良さそうで、ここまで大きなトラブルに巻き込まれていないのも好印象。
平坦の個人TTに不安はありますが、山岳ステージでアドバンテージを築きたいですね。
ジュリアン・アラフィリップは、今年は総合優勝を狙ってくるつもりなのかもしれません。
注目したいのが今年は例年より絞れているという点です。
これは山岳での登坂力に関わりますので、総合優勝争いを念頭に置いているのではという考察です。
すでに第1ステージでマイヨジョーヌに袖を通しているアラフィリップですが、第2ステージで失ったマイヨジョーヌをどこかで取り返そうと動いてくるのではないでしょうか。
優勝候補ではないですが、注目を集めるのはやはりクリス・フルーム(イスラエルSUN)でしょう。
2018年以来3年ぶりにツールに帰ってきました。
第1ステージの落車の影響でレース続行が危ぶまれましたが、なんとかはしり続けています。
今年のツールはアシストとして走るとのことですがいつの日かまた、グランツールのエースとして走る日が戻ってくることを祈っています。
その他の総合勢では、ダヴィ・ゴデュ(グルパマFDJ)、エンリク・マス(モビスター)、リゴベルト・ウラン(EFエデュケーションNIPPO)、エステバン・チャベス(バイク・エクスチェンジ)なども表彰台を狙って争います。
山岳賞(マイヨアポワ)
山岳賞は現在、イーデ・スヘリンフ(ボーラ・ハンスグローエ)がキープしています。
頑張って連日逃げに乗って、序盤の山岳賞ジャージを着続けようとしていますね。
とは言えアルプス、ピレネーの難関山岳ステージで同様の走りができるかは未知数です。
23歳と若い選手ですし、できるだけ長くマイヨアポワを着続けてもらいたいですね。
その他には総合系でタイムを落としてしまった選手などが山岳賞狙いに切り替えてくることが予想されます。
例えば総合で10分以上タイムを失ってしまったマイケル・ウッズ(イスラエルSUN)などは山岳賞を狙っていっても良さそうな選手です。
また総合上位の選手がそのまま山岳賞を手に入れることもありそうです。
昨年のポガチャルはそのパターンでしたね。
おそらく今週末の第8、第9ステージである程度山岳賞を狙う選手が見えてくるでしょう。
積極的に逃げに乗る選手、山岳ポイントに執着を見せる選手には要注目です。
ポイント賞(マイヨヴェール)
ポイント賞は有力候補だったカレブ・ユアン(ロット・スーダル)が第3ステージの落車で鎖骨を骨折。
ステージはフィニッシュ扱いになりましたが、第4ステージはDNSとなります。
ユアンに横から巻き込まれる形になったペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)は腰に大きな切り傷を負ったものの、スタートは問題ない模様。
本来の調子ならもちろんマイヨヴェール候補の筆頭ですが、この怪我がどの程度の影響を及ぼすのかは走ってみないとわからないところ。
今日の第4ステージの走りに注目しましょう。
第3ステージを勝ったティム・メルリール(アルペシン・フェニックス)は今年好調のスプリンターです。
マチュー・ファンデルプール、ジャスパー・フィリプセンと組まれたトレインは、プロトンの中でも最も強力な組み合わせと言えます。
ただ、マチューが最終日まで走るか不透明なところと、メルリールがサガンと比べてポイントを着実に稼げるタイプではないところを考えると、マイヨヴェールまでは難しいかもしれません。
2017年のポイント賞で、登れるスプリンターとして知られるマイケル・マシューズ(バイク・エクスチェンジ)もチャンスが十分です。
第1ステージでは集団の頭を取ってステージ2位フィニッシュで、マイヨヴェールを獲得。
チームとしてもマシューズをエースに据え、ポイント賞獲得は大きな目標の一つでしょう。
4年ぶりのポイント賞獲得の可能性は十分です。
ツール・ド・フランスのステージ優勝数で、エディ・メルクスに次ぐ2位につけているマーク・カヴェンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ)もマイヨヴェールを狙う一人。
クイックステップに戻った今年は、ツアー・オブ・ターキーで驚きのステージ4勝と、3年ぶりの勝利を挙げました。
ウルフパックのスプリンターとして久しぶりのツールでのステージ勝利を期待したいですね。
今年絶好調のソンニ・コルブレッリ(バーレーン・ヴィクトリアス)もマイヨヴェールの有力候補の一人。
前哨戦のツール・ド・ロマンディー、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネでポイント賞を獲得。
その後のイタリア選手権で優勝しイタリアチャンピオンジャージを着ています。
登りにも強いスプリンターですし、チームはエースのジャック・ヘイグを失って、コルブレッリのマイヨヴェールを獲りに行きたいところでしょう。
という訳で、今年のツールの有力選手をピックアップしてきました。
落車トラブルが続き、大会前より一層読みにくくなった各賞争いですが、いったいどの選手が特別なジャージを獲得するのでしょうか。
それよりなにより、選手にとって安全な大会であることを強く望みます。
これ以上ひどい落車が起こりませんように。
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