緑の中を走り抜けてく


 皆さん、こんにちは。真っ赤な家計、木賃ふくよし(芸名)です。
 いきなりですが、山口百恵の「プレイバックPart2」と言う曲はご存知でしょうか。
 作詞:阿木燿子、作曲:宇崎竜童という黄金コンビ。そこに山口百恵というゴールデントリオで、セールスは50万枚以上という売上を記録。

 歌詞はざっとこんな感じ。


 緑の中を走り抜けてく真紅(まっか)なポルシェ
 一人旅なの 私 気ままにハンドル切るの
 交差点では隣の車が ミラーこすったと
 怒鳴っているから 私もついつい大声になる
 
 馬鹿にしないでよ
 そっちのせいよ
 ちょっと待って
 Play Back Play Back
 今の言葉
 Play Back… Play Back


 多分そこいらで流れまくっているので、聴いたことがない日本人を探すのが難しいレベルです。
 ちなみに、「プレイバックPart2」というタイトルで、Part1が売れたから2が作られたの?って印象を受ける方もいると思いますが、Part1の発表はPart2の後という特殊な成り立ち。
 と言うのも、ディレクターの発案から先に「プレイバック」という曲のタイトルが決められ、阿木燿子に作詞を依頼。そして馬飼野康二と宇崎竜童に作曲を依頼し、トライアルにかけ、宇崎竜童版を採用したため、便宜上、馬飼野康二版をPart1、宇崎竜童版をPart2と呼んでいたものをそのまま使用したとされている。

 なので、実際には同時期に作られた。

 なお、ワタクシはPart1が存在してない(状態)のにPart2って? というモヤモヤ感が、大ヒットに繋がった要因の一つだと推察している。
 そして、Part1もちゃんとリリースされているが、Part2の爆発的ヒットの前に霞んでしまい、1の存在を知らない人は数多くいる模様。
 そのため、YouTubeのコメント欄でも、「1って存在したのか」「1があるのは知ってたけど初めて聴いた」という声が散見される。

 個人的には「1が存在しないのに2が制作された」「1が後から制作された」という都市伝説的な位置付けの代表ではないかと思っている。

 なお、似たような例ではKISSの「God Gave Rock 'N' Roll to You II」('91)もあるが、こちらも実態はArgentの「God Gave Rock 'N' Roll to You」('73)のカバー曲だ。KISSの曲に1がないので誤解されているだけである。

 話が少し逸れたので、こちらも話をプレイバックしよう。
 メロディ、編曲、歌詞、歌唱力、話題性、この曲が売れた理由は他にも色々ある(他にも沢田研二の「勝手にしやがれ」を引用したり)が、やはり、当時まだ20歳にも届かぬ山口百恵が、圧倒的な色気と貫禄を漂わせながらも、

 真っ赤なポルシェで
 飛ばす小娘ごときに


 「馬鹿にしないでよ
 そっちのせいよ」


 と鼻持ちならない態度を取られることに快感を覚えた男が多かったからではないだろうか。と勝手に推察している。

 曲が発表された1978年と言えば、まだまだ男社会が当然であり、実質的に男尊女卑がまかり通った時代である。(さだまさしの「関白宣言」が'79年)
 洋酒や外車に始まる舶来モノは庶民の憧れだった。

 中でも真紅のポルシェなんてビビッドな高級車を、19の小娘が所有しているだけでもセンセーショナルな訳だ。ある意味、最も相応しくない乗り手だと言える。
 今現在も「女性は車の運転に向かない」なんて言われるが、それを乗りこなしていたとしても腹立たしいし、乗りこなせていないとしても苛立つことだろう。
 しかも、トラブルにした所で、実際に擦ったのか、言い掛かりなのかわからない。
 運転が下手でトラブったのに開き直ってるとすれば、やはり猛々しいし、いちゃもんをつけられているとしたら、それに毅然と言い返している訳だ。

 いけしゃあしゃあと、あるいは、怯むことなく、そっちのせいよ、と。

 これにノックアウトされたマゾ男は数多くいたのではないだろうか。そんな風に推察している。

 さて。
 少し前、ワタクシに起きた出来事をプレイバックする事になるが、ある日、ワタクシが街を歩いておりましたら、前方から


 真紅のポルシェならぬ
 真っ赤なベンツが来た。


 これ以上ないぐらいの赤で、しかもベンツはGLクラスだったと思う。(上から二番目ぐらい?の格)
 
 ワタクシが歩いていた歩道側の建物に駐車しようとしたため、ワタクシはその場に留まって通り過ぎるのを待ったのだが、歩行者優先なのにワタクシが待った理由は、


 車の見た目で嫌な予感がしたからに他ならない。


 案の定、1000万円前後はしそうな真っ赤なベンツの底を擦る感じで、歩道へと侵入した。運転自体は20秒も見てないのに、絶対に上手ではないと確信がある。

 乗ってるのは、およそ自分の金でその車を買えそうにない20代半ばぐらいの姉ちゃん。
 まじまじと見た訳ではないが、元々は地味っぽかったのに、男と金を覚えて派手になりきれてない風体。

 うむ。
 そこで、ふと山口百恵のプレイバックPart2がプレイバックされる。

 先程、19の小娘ほど真っ赤なポルシェに相応しくない乗り手もない、と言ったが、違う。
 ミスマッチという言葉があるが、そーゆー意味では、


 19歳の小娘ほど

 真っ赤なポルシェに相応しいのかも知れない。



 そして、考えてもみろ。


 真っ赤なベンツ(GLクラス)に乗ってる

 派手目な姉ちゃん。


 情夫に与えられたのだとしたら、最も相応しく、最も恐ろしい乗り手だし、


 自分で手に入れたのだとしたら、


 最も以上に
 恐ろしい乗り手だと
 思わんかね?


 (´・Д・)」 割とマジで。



 ※ 話の都合上、男尊女卑的な表現が幾つか出たと思うけど、当時の、だったり周囲全般の意見だったりするので、個人の見解とは必ずしも一致しない事を言い訳しておきます。
 運転のうまい女なんて山ほどいるし、運転の下手な男も山ほどいるし。
 ただ、運転怖い、嫌い、したくない、苦手、運転下手を自認していたり、何なら実際にヘタクソなのは男性より女性が多いと、ワタクシの経験が語っている。



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(´・Д・)」 文字を書いて生きていく事が、子供の頃からの夢でした。 コロナの影響で自分の店を失う事になり、妙な形で、今更になって文字を飯の種の足しにするとは思いませんでしたが、応援よろしくお願いします。