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あとづけっ‼︎


 皆さん、こんにちは。麻雀ルールは主にアリアリです。木賃もくちんふくよし(芸名)です。
 「後付け」と聞いて、まず麻雀を思い浮かべる人は少数派でしょう。
 多くの人は「後付け設定」の方を思い浮かべる事と思います。ですよね? 知らんけど。

 てな訳で、本日の話題は「後付け設定」です。
 概ね、漫画連載が作者の思惑を超えて長期化した際に切られるジョーカーのような、文字通りワイルドカードである。
 ありがちなパターンとしては、ジャンプなどの少年漫画で、数々の強敵を打ち破って来た主人公に、

 突如として、
 生き別れた兄がいた
 ってな事が判明する。


 とか、

 一般家庭で育ったのに
 何故か父親や母親が、
 神や悪魔の血脈だった。


 なんてパターンですね。

 ※ なお、ありがちなケースを挙げただけで、特定の作品を揶揄する意図はありません。

 ええ。無論、それが最初から設定されているケースもありますが、漫画の人気が出ちゃって、凶悪化していく敵に対抗するため、「主人公が強くなったり、勝てる理由に説得力を持たせる」とか、主人公側が強くなり過ぎて、「匹敵するパワーを持つ対抗馬や、主人公らを圧倒する強敵」として使用される場合は概ね「後付け設定」であろうと思われる。
 だが、これらが本当に後付けなのかどうなのかを知る術はない。中には、

 連載初期の設定に
 激しい矛盾がある。


 というケースがあり、まぁ確実に後付け設定だわな。と言われても仕方がない例は枚挙にいとまがない。
 ただ、どれだけ大きな矛盾があろうとも、絶対的な意味で後付けか否かを断ずる事は出来ない。
 結局、真相を知っているのは作者だけなので、確定させる事は難しいだろう。

 ※ 繰り返しますが、ありがちなケースを挙げただけで、特定の作品を揶揄する意図はありません。

 矛盾がないからと言って、それは単に辻褄合わせが上手いだけかも知れないし、設定や描写をミスっただけで、本当は想定していたかも知れないのだ。
 実際、栗本薫は100巻を超えるファンタジー小説の中で、運命の「一卵性双生児の姉弟」を登場させてしまっているが、これに対し、作者は「一卵性なんて書いたっけ?」と回答している。


 1.一卵性双生児は基本的に同性となる事を作者が知らなかった。
 2.語感や勢いで「一卵性双生児」って書いたけど、二卵性の設定だった。


 基本的にはこのどちらかになるだろうが、これに対するバリエーションは更に分岐する。


 1.照れ隠し。

 2.記憶違い。

 3.忘れてただけ。

 4.希少な一卵性双生児の姉弟。

 5.ファンタジー小説なので、
 この異世界では一卵性でも、
 男女の双子は普通なんだよ。

 6.中世ぐらいの時代なので、
 そもそも一卵性か二卵性を、
 区別する必要がないだろう?


 ざっと考えられるだけで真相には行き着かない。つまり、設定に矛盾があるからと言って、後付け設定とは言い切れないのである。単に考えてなかっただけの事を捕捉しただけかも知れないし。
 そもそも、作者が途中で「おお! 凄いアイデアをひらめいた!」と盛り込んだ事は後付け設定と言えるだろうか。
 作品が進む中、キャラクタが立つ一方で、想定をと違う行動を取らざるを得なくなったりする(よく言うところのキャラクタが勝手に動き出す)事も後付け設定と呼んでいいのだろうか。

 したがって、どんな無茶な展開であろうとも、「絶対に後付け設定だ!」と断じる事は不可能だと思う次第である。

 だが、それを踏まえた上でも、この後付け設定ってのは、中々に業が深い。ぶっちゃけ、


 無茶な後付け設定のせいで、
 作品に対する情熱が冷めた。


 なんて声は後を絶たない。

 主人公は強くない一般人であるにも関わらず、必死で怪物たちと戦ってきた。その姿を見て勇気付けられ、そして応援もしてきた。なのに、突然、

 (´・∀・)」 伝説の勇者の
 血を引いてましたぁ。


 とか言われたら、萎えちゃう人がいるのは仕方ない。


 ※ しつこいようですが、ありがちなケースを挙げただけで、特定の作品を揶揄する意図はありません。


 逆に、先ほども書いたが、辻褄合わせが上手なだけで、最初から練られた伏線でも何でもないケースはある。
 それに、「辻褄合わせが上手い」=「作品が面白い」とは限らないのである。

 冷静に考えていただきたい。知らない人なんてそうそういない「ドラゴンボール」だって、悟空がサイヤ人だったなんてのは後付け設定だろう。
 そもそも「最終回じゃないぞよ もうちっとだけ続くんじゃ」の後の方が、それまで以上ある。

 そう。人気があったから続けざるを得なくなったってのは、もはやこの時点で「後付け」なのである。
 第一、ミステリ小説でもあるまいし、物語は結末が決まってなきゃ書いちゃいけないものではない。いや、あの江戸川乱歩でさえ、盛り上げまくったミステリ小説のオチを思いつけずに連載を打ち切った事がある。
 また、最初からガチガチに設定を固めてあるとしても、そのガチガチな設定を読まされて楽しいか?って話だ。主人公が生まれた時から旅立つまでを事細かに描写されて、それを読みたいのか? って話である。

 ※ こちらのケースも、ありがちな話の例であり、特定の作品を揶揄する意図はありません。

 ワタクシは複雑に張り巡らされた伏線は大好物だが、張り巡らされ過ぎた伏線の所為で、余計にオチが読めてしまう作品にも出会った。
 あきらかに伏線でも何でもなかった一場面を上手に利用して、後から伏線に仕立て上げたケースもある。

 つまり、後付け設定の正体とは何か?


 そう。


 面白ければ伏線。


 つまらなければ
 後付け設定なのである。


 冷静に考えて欲しい。


 今の子供達は、おそらく、
 初期ドラゴンボールが
 冒険物のギャグ漫画だった
 って事は知らなくても、

 悟空がサイヤ人だ
 って事は知ってる。


 それが現実なのである。
 ワタクシの敬愛する漫画家たがみよしひさ先生は作中で、読者からの「この漫画はご都合主義だ」という意見に対し、


 ご都合主義じゃない漫画が
 あるなら、見せて欲しい。


 と回答した。
 そう。我々は別に、矛盾のあるなしや、辻褄が合ってるかどうか、伏線なのかどうか、後付け設定かどうか、それを見たい訳ではないのである。
 そりゃ、作品や読者によっては、その矛盾や後付け設定で「つまらない」と感じる事もあるだろう。
 しかし、我々が本当に読みたいのは設定ではなく、


 面白い作品なのである。



 それに、ガンダムなんて後付け設定の温床だし、後付け設定同士が噛み合わないどころか、噛みつきあってたりする。
 ところが、その噛みつきあってる設定を、

 熱心なファンたちが
 どう考えても
 後付けなんだけど、
 無理やりながらも、
 美しい辻褄合わせで
 解決しちゃったりする。


 まあ、中には作品の矛盾や粗探しが好きって人もいるだろうし、その崩壊した設定の無茶っぷりを楽しむ作品だってあるのだから、結局は楽しんだ方が正解ってことなんだろう。

 ※ なお、これもありがちなケースを挙げただけで、特定の作品を揶揄する意図はありません。
 ※ ありませんからね?



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 なお、この先には車田正美の代表作「聖闘士星矢」についての話が書かれています。


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(´・Д・)」 文字を書いて生きていく事が、子供の頃からの夢でした。 コロナの影響で自分の店を失う事になり、妙な形で、今更になって文字を飯の種の足しにするとは思いませんでしたが、応援よろしくお願いします。