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肉の良し悪しを教えてやろう
皆さん、こんにちは。野菜も肉も大好き。木賃ふくよし(芸名)です。
さて。先日、多くの少年たちの性癖を歪めたであろう大罪人(褒め言葉です)である三条友美大先生(ファンなんです)が、
たぬき汁って言うけど、
誰もたぬきを食ってない説
を唱えておられて、タヌキを食った事のあるワタクシは、
たぬき汁は (´°∀°)」 ありまぁす!
と名乗りを上げた訳なんですが。
↑ これがその記事。
この際なので、よく言われる、
タヌキの肉なんて
臭くて食えねえよ!
という都市伝説についてお話ししたいと思います。
ハッキリ言いますが、ヒツジ、仔ヒツジ、仔牛、ヤギ、イノシシ、シカ、ウサギ、タヌキ、ラクダ、ハクビシン、クマ、トド、アザラシ、ホロホロチョウ、ダチョウ、カンガルー、ワニ、カエル、トカゲ、ヘビ、フナ、ブラックバス、ナマズ、クジラ、イルカ、サソリ、カタツムリ、コオロギ、カメムシ、とパッと思い出せるだけでも、まず一般的でない肉を色々食ってきた自負があるので、
臭い肉なんてねえよ。
と言うのがワタクシの自論でございます。
あるのはただ、
良い状態の肉かどうか。
だけです。
そして、肉の良し悪しは以下の要素に分類されます。
「遺伝子」
「個体差」
「時期」
「〆め方」
「処理」
「保存」
「鮮度」
「調理」
概ね、この8つの要因によって構成される。
【遺伝子】
まずは、「遺伝子」である。
コレにはまず、牛なのか豚なのかタヌキなのか、ってレベルから始まり、ジャージーなのかホルスタインなのか黒毛和牛なのか、と言う種族差。
そこから、オスなのか、メスなのか、そして遺伝的に大柄なのか小柄なのか、筋肉質なのか脂がのっているのか。
遺伝子レベルで決まっている要素である。
多く、メスの方が脂は多いし、肉質も柔らかい。こう言った差は相当に大きい。
【個体差】
続いて「個体差」 それって遺伝子と違うの? と言われそうだが、遺伝子が設計図なのに対し、こちらは実際の組み立てである。
「環境」と言った方が伝わりやすいかも知れない。
野生なのか、家畜なのか、走り回れる野原か、動けない牛舎か。寒冷地で脂が多いのか、温暖地で餌が豊富なのか、卵か? ヒヨコか? ニワトリか? それとも老鶏なのか?
実際、メジャーな牛肉も「仔牛の頃は肉が白い」と知っている人は少ないだろう。そして当然、味も違う。若けりゃイイってもんでもなく、ワタクシは「ひねどり」と呼ばれる老鶏が好きだったりする。
基本的に幼いほど、肉質は柔らかくさっぱりした味わいになり、老いるほどに硬く、噛みしめる味わいとなる訳だ。そして、牛が丹精込めて育てられたかどうかが牛肉のレベルに関わる。
【時期】
コレは年齢ではなく、短期的な「時期」という時間的環境を示す。
わかりやすく言えば、冬までに肥え太り、春までに痩せ細る。
野生の獣だと、餌が不足し、痩せ細ってしまったら当然、味も落ちる訳だ。
雑食の野獣だと、夏場は虫などを捕食するため、フルーツが豊富な秋冬に比べると味が濁るそうな。
当然の事ながら、野生だと異常気象などにも左右される訳だ。
また、短期的な時間要素は「妊娠」と「出産」もある。
魚などがわかりやすいが、子持ちになれば卵に栄養を取られるため、身が痩せ細る。無論、子持ちは子持ちで美味いが、それは別の話としよう。
しかも、産卵を終えた魚は最も衰えているため、味はイマイチ。桜鯛とかが良い例だろう。無論、卵は美味いかも知れんが、それもまた別の話だ。
さて。ここまでは基本的に家畜でない限り、人間の手では割とどうしようもない要素が強い。ここからが天任せから、人の知恵や技術へと移行していく。
【〆め方】
コレは鳥獣で言えば、捕獲から屠殺までを含めての「〆め方」とする。
例えば、罠で捕獲した場合、怪我をしている場所から肉が傷む。怪我がなくても餌を得られないまま時間が経過すれば衰弱して味が落ちる。檻の中で暴れ回る時間が長くても同じだ。
銃で撃てば、弾丸が当たった場所から壊死が始まる。
胃の内容物が消化されているであろう朝に〆るのもこう言った理由だ。魚なんかの場合は泥を吐かせる為に生簀に入れたりもする。
そして、魚を〆る時だけではない。なるべく怪我をさせず、一撃で〆る必要があるのだ。
慈悲あらばこそ一撃必殺! 南無三!
【処理】
肉の捌き方に始まる「処理」の仕方である。
血抜きを徹底する。内臓の除去。特に内臓の内容物の除去。内臓を破ったりすると当然そこから傷みだす。撃ったのなら弾丸の摘出も大事。
なお、家畜の牛の内臓の保有する菌の数は、高級ブランド豚(通称:無菌豚)の肉に匹敵する。怪我や内臓破れが如何に危険かはご理解いただけるだろう。
これらの処理が如何に素早く丁寧かつ的確に行われるかが大きな差となる。〆めたら迅速に処置しないと、どんどん腐るのだから。
無論、家畜なら屠殺と処理は間髪を容れずに行えるが、狩猟ともなるとそうも行かない。最低限の処理を済ませ、綺麗な水のある所で処理しなければならない。時間との勝負になる。
ここまでが個体から屠殺と、その処理の要素であり、畜産農家や猟師の方から聞いた話だ。
ワタクシは屠殺は1回しかやった事がないのでわからない。
【保存】
ようやく、消費者に近い所まで来たが、まだまだ我々の元に運ばれるには段階がある。
続くは肉の「保存」である。
枝肉で保存するのか、ブロックまで分けるのか。肉が小さいほどに早く傷む。
冷蔵にして素早く運ぶか、干し肉にするか、燻して保存するか、塩漬けにするか、味噌漬けにするか。
多くは冷凍される。どの保存も永遠ではない。最も長期保存できるであろう冷凍も、冷凍焼けを起こす。
どんな肉にどんな保存をいつまでするか。それが重要となる。
例えば、再冷凍なんてもってのほか。冷凍肉をどう解凍するか1つでも、味は大きく変わってしまうのだから。
【鮮度】
保存と何が違うのか、と問われそうだが、肉の「鮮度」は大きな要素だ。
わかりやすく言えば、解凍してからの時間が長ければ当然傷む。
それだけではない。なぜ家畜に牛が選ばれたのか、という理由がある。
飼育しやすさ、生産性や歩留まりだけなら、鶏や豚も優秀だ。
だが、牛肉の特色は劣化が遅いことにある。同じ時間、同じ環境で置くなら、牛肉は他の肉と比べて、圧倒的に劣化が遅く、劣化による味の低下が少ない。なぜ熟成肉が存在するのか、という辺りでもそのポテンシャルの高さが伺えよう。
何故、多様な動物の中で家畜化された種が少ないのか。前述のように色んな理由はある。しかし、劣化の遅さに気付いている人は少ない。
つまり、タヌキなんかは劣化が早いのである。ちなみに、ワタクシが体験した中ではクジラやアザラシなんかも早かった。早すぎて驚いたのはダチョウである。ダチョウだけに、あしがはやい。←上手いこと言ったつもり。
【調理】
ここでようやく「調理」に至る。我々一般消費者が最も関われる部分だ。
肉の特性を理解し、素材を活かし、デメリットを殺す。どんな上質な肉も黒焦げにしてしまえば意味はない。
処理や鮮度をも理解し、適した調理をしてやる事が重要なのである。
スーパーで売られる鶏の心臓には血が溜まっているから、洗い出さねばならない。
牛の内臓なんかは血管や神経をピンセットで抜く。
そんな手間暇を掛けているからこそ、美味い肉に出会えるのである。
ワタクシはおそらく、一般的に言えば色んな肉を食っている方だろう。しかし、一度や二度食ったからと言って肉の特性を理解した訳ではない。例で言えば、熊肉は数度食べているが、味噌漬けや粕漬けみたいな処理がされており、プレーンな熊肉を食べたのは一度だけだ。
その程度で、偶々ハズレの肉を食ったからと言って、
あの肉はまずい!
なんて事は言えないのである。ブランドも同様だ。
A5肉だから美味い!
なんて事もない。牛肉の等級についての「知識がない証拠」である。わからない人には悪いが、説明するのが面倒なので自分で調べて。
以上の理由から、ネットで仕入れた
「車に轢かれて死んでいたタヌキを捌いて食べたけど臭かった」
なんて情報を鵜呑みにして欲しくはないのである。いや、ある意味では実に正しいが。
そりゃ、リアルに臭い肉はあるらしい。イタチを〆め損なうと「イタチの最後っ屁」で肉が臭くなると聞いている。(未体験だが猟師さんの談)
それも含めて、この記事も含めて、そんな噂は信用しないで欲しいのである。
だいたい、ロクに食ってもいない奴に、処理の仕方も知らん奴に、
( ͡° ͜ʖ ͡°) あの肉は臭かったわー。
とか、したり顔で言われようモンなら、
(´・Д・)」 お前さんの息と、
どっちが臭えんですかい?
って聞き返してやりますよ。
※ この記事はすべて無料で読めますが、ちゃんと歯も磨いてるし、内臓も悪くないから口臭くないモン!って人は投げ銭(¥100)をお願いします。
なお、この先は、まだ一度しか食べてないけど「ハズレ」だった肉について書いてます。
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(´・Д・)」 文字を書いて生きていく事が、子供の頃からの夢でした。 コロナの影響で自分の店を失う事になり、妙な形で、今更になって文字を飯の種の足しにするとは思いませんでしたが、応援よろしくお願いします。