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芋羊羹のジレンマ


 皆さん、こんにちは。つぶあん派ですか、こしあん派ですか? つぶあん派の木賃もくちんふくよし(芸名)です。
 何故つぶあん派なのかと問われたら、


 (´・Д・)」 歯応えがあるから。


 という一択です。
 ぶっちゃけ、美味しくて高級な餡子なら、つぶあんでもこしあんでもどっちでもいいんですよね。美味しいから。
 逆に、値段や品質を問わない餡子になると、豆の香りも味もしないし、ただただ砂糖の甘さでベタベタになってるだけだから、粒のアクセントがある方が好きってだけなんですよ。ええ。

 上質なら滑らかでコク深いこしあんも、甘さの中に豆が引き立つつぶあんも好きです。

 ただ、大概好き嫌いのないワタクシですが、口の中の水分を奪われる食品がそんなに得意じゃないから、つぶあんが苦手って人の気持ちもわからなくはない。
 まあ、つまるところ、


 (´・∀・)」餡子とお茶はセットでな?


 って事ですよ。つまるところだけに。Hahaha.

 ってな事で本日の話にもオチがついたので記事を終わりにしたい所ですが、残念ながら自分で決めてる文章量の1/4に満たないので、今から本題に移りたいと思います。

 餡子と言えば、この日本における甘味の代表格。それに続くはやはり、

 芋栗南瓜いもくりなんきんでしょう。


 冷静に考えて、餡子の原料である小豆は、甘い食品ではありません。しかし、この小豆が甘味と合わさった時に引き出されるポテンシャルの高さは、他の食品と比べると群を抜いています。
 一度でも自分で餡子や和菓子、あるいはケーキなどの洋菓子を作ってみればわかりますが、その菓子ひとつに使用される砂糖の量たるや、


 甘さで (´°Д°)、死ねる。


 って程のエグさです。
 コレは砂糖(甘さ)だけでなく、塩分や旨味(油脂)にも言えますが、料理に使われるのと同じ量の砂糖だけ食えとか、塩だけ食え、脂だけ食えって言われると地獄。

 甘味、塩気、酸、苦味、渋味、旨味などのバランスが取れているからこそ、それだけの量を食える訳ですよ。ええ。

 つまり、炭水化物や苦味、渋味は甘味、塩、脂を食うためだけに存在していると言っても過言ではない。
 砂糖醤油が美味いのは、砂糖と塩気がお互いを抑制し、引き立て合うからであろう。
 これでおわかりいただけると思うが、小豆は砂糖を足して甘くする事によってお互いの魅力を引き出す。
 逆に考えると、そもそもが甘みの強い芋栗南瓜と小豆は、似ているようで少し方向性が違うのである。ワタクシは、餡子が和菓子の帝王とも言うべき地位にいるのは、その点ではあるまいかと推察している。
 

 ちなみに知人のお父上は、最も好きな甘味が羊羹であると言う。ヨウカン。
 何しろ、戦中戦後で甘味は最高の贅沢品。それを経験したお父上にとって、羊羹は夢のお菓子だったと言うのだ。

 なるほど。さすがにその経験はないが、理解は出来る。
 日常と非日常の関係なら、逆に言えば、比較的贅沢が手に届くようになった我々からすると、時折ベタベタな駄菓子を食いたくなる感覚に近いのではないだろうか。
 そんな訳で、知人は実家に帰る時の土産に、なるべく高級な羊羹を買って帰るのだそうだ。
 うむ。良い話だ。

 ちなみに知人のお父上は仕事を引退後、ご自分で畑を耕しているそうなのだが、聞くところによると、無駄にサツマイモの作付けが多いらしい。
 まあ、サツマイモの栽培が比較的簡単と言うのもあろうが、聞いたところによると、理由は別にあるらしい。

 そう。戦中戦後の経験者からすると、日常における

 最強の甘味ってのが、
 サツマイモなのである。


 戦争を知らない我々には想像もつかないが、小麦も米も不足しまくる中、蔓まで食えて、保存もききやすく、加工にも向き、栽培が簡単かつ生産性が高い、

 サツマイモは
 救世主だったらしい。

 しかも、甘い。


 成長に必要な甘さが不足しがちな戦中戦後の子供にとって、サツマイモはまさに、夢の食い物だったのである。

 そこで知人は考えた。


 芋羊羹を (*゚▽゚*) 買って帰ろう!


 と。
 そう。餡子にも白餡や栗餡やうぐいす餡、赤餡、芋餡など様々な種類がある。
 お父上が大好きな羊羹とサツマイモの悪魔合体が芋羊羹ですよ。


 そんな訳で、評判の美味しい芋羊羹を買って実家に帰ったところ、



 (´-`) ……。



 お父上の反応が微妙。


 なんでだよ!? と思いつつ、その辺を突っついてみると、



 (´-`)「土産物にケチをつける気は無いんだが、


 日常を忘れるための
 最高の贅沢品の中に、

 日常が混じってたら、


 微妙な気持ちになるだろ?」



 (´°Д°)」 確 か に 。



 そんな経験はないが、一流ホテルのプールサイドでピニャコラーダを飲みながらデラックスなラグジュアリーを満喫してる贅沢の中に、


 (╹◡╹) 「旦那さま、良い知らせがございます。

 近所のスーパーで卵が特売でございます」


 って知らせられても、


 (´・Д・)」 あー、うん。
 ありがとね……。


 ってなる気がする。いや、そんな経験ないからわからんけど。

 甘味の中に他の味が加わるとバランスが良くなるのに、贅沢の中に日常が混じるとバランスが悪くなる。


 (´・Д・)」 人間という生き物はなかなかに難しい。


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 なお、この話には続きがあるのですが、この先に書かれている訳ではありません。


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(´・Д・)」 文字を書いて生きていく事が、子供の頃からの夢でした。 コロナの影響で自分の店を失う事になり、妙な形で、今更になって文字を飯の種の足しにするとは思いませんでしたが、応援よろしくお願いします。