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試合の後、控え室で倉科賢太郎は泣いた。 氷室丈二に完敗したのだ。倉科とて、プロ格闘家…
打撃に、一撃必殺などない。空手にその身を捧げて30と数年。それが、空手家唐沢英一朗の導き…
誰もいない道場で独習を終え、マットにモップをかける。 後はもう、電気を消して、鍵を掛…
船井紀里也。フナイキリヤの真ん中を取って、リングネームは「ナイキ」だ。 17歳の若さで…
これまでのシリーズ 今風の言葉で言うなら、生まれた時から「勝ち組」だったと思う。 …
「今夜の俺はヒーローになります!」 試合直前のインタビューに、倉科賢太郎は、やや緊張…
これの逆視点。↓ 器用な子ではなかった。 生まれつき、器量の良い子供ではなかったと両親は言う。 言葉を覚えるのも遅かったし、話すのも得意ではない。勉強が出来る訳でもなかった。 そして、多くの人間が信じないが、運動もからっきし駄目だったと言う。 思い返すに、現在の言葉で言うならば、極めて弱度の自閉症だったのではないか、という疑いを持っている。 石井宗達。空手界が産んだ怪物の名だ。 両親は石井が小学生の時に離婚している。原因はおそらく自分だったのではないかと、石
ゴングが鳴った。歓声は最初から最高潮だったと言える。 日本格闘技界最強を決める、と言…
Ⅰ 「STRANGER」 2004年8月17日、横浜アリーナ選手控え室にて。 「戦い…
いつものランニングコース。毎日、行きと帰りで欠かさず15kmは走り込んでいる。今は帰り道の…
分解。という言葉がある。 その男、愛川心には、何もわからなかった。 分解。それは、モ…
進藤アレクは、未だにこの事態が信じられないでいた。 アマチュアレスリング日本代表に選…
「現代武術、ですか?」 枯れ木のようなその老人の言葉に、僕は素っ頓狂な声をあげた。 …
この男がギリギリのラインで五輪の選に洩れた理由を、目の当たりにした。 国木明彦。無冠の柔道王と呼ばれたこの男がプロ転向の意思を見せたのは、半年前。 日本オリンピック委員会(JOC)と柔道連盟は、選考会議を開き、「優等生」志方謙一を推した。 最終選考まで残りながらも、国木は五輪出場の道を失ったのである。 「オリンピックは、国の威信を掛けて戦うレベルですからね。プロ格闘家が強いったって、そこまでの覚悟を背負ってる人は少ないですよ」 国木は私にそう告げた。 「自分が