にんげんの正体

尊厳
ひいては結局
人間は人間の鏡

命を大切にすることと
人を大切にすることは違う

命だけを守るなら選択は簡単

でも人を大切に思うなら
選択は難しい

カルネアデスの板という思考実験がある

船が難破し
1人の男が板切れに捕まって助かる
そこにもう1人の男が捕まりにくる
でも板切れは小さく、2人を支えるのは無理
最初に捕まっていた男が
もう1人の男を突き放し
その男は死んでしまう

その後、生き残った男は裁判にかけられる
罪状は殺人
そこで男は無罪となる

日本の法律
刑法第37条で緊急避難として規定されている
現在の危機から脱するための行為による損害
それに対する益とのバランスが偏っていなければ
罰を軽減、あるいは免除となる
必要は法を持たない

それでも殺人はいけない
と思うか
生き残ろためには仕方がない
と思うか

この寓話に
命を大切にする
は通用しない
自分の命も他人の命も
当価値で不可分だから

では社会において
他人とはなんなのか
どういうふうに捉えて
何を基準に判断すれば良いのか?
自分が良ければどうでもいいという生き方は
他者がどうなっていれば実現できるのか?

その答えが尊厳なんじゃないかと思う

他人の尊厳に対する影響度合いが
過剰でない限りは自由に選択ができる

自分の利益から生まれる
他者の尊厳へのダメージが大きすぎると
悩む

悩みは解決しない
知識や経験が無ければないほど
その機会は増える

尊厳とは
「後からその選択を見た他人が
自分をどう思うだろうか?」
という想像だと思う

その時になんと思われても構わないなら
その尊厳に対するダメージは
自分にとってたいしたものと
考えられていないことになる

逆に陰口を言われたくないとか
悪い評価を気にする場合
その選択は他者の尊厳を踏み躙る行為だと
自覚している

面白いのが
仮にその選択次第で自分が死ぬことになるとしても
葛藤が走ることにある

死んだ後に嫌がらせや非難
賛辞やお礼はもらえない
でも陰口や尊敬は続く

評価は残る
そう知っているから葛藤する

現実ではなかなか難しいでしょう

でもゲームなら
仮想世界なら可能なのです

共感すればするほど
その選択の葛藤を体感できるのです

唯一無二なエンタメ
それがゲームなのです

だからゲーム業界で働いているのですぼくは
あれこんな締めがしたかったんじゃないんだけど

まあいいか

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?