〈ライカ〉という絵筆の呪い
〈ライカ〉がブームである。
自分もライカM6を持っているし、確かにライカQ2モノクロームとか欲しい。
しかーし高い、高すぎる。ボディが100万円で、プラスレンズ50万円。だったら、100万円で撮影旅行して、50万円で個展ができるじゃん、とか思う。
これがYoutuberならば、カメラは経費として計上できるし、ライカならばリセールバリューも高い。節税対策になるので理解ができる。
だからなのか、たびたびライカネタが炎上する。
この憧れと憎しみが入り交じった何か、がいまの〈ライカ〉ブームの実体だと、僕は興味深く観察している。
〈ライカ〉という絵筆の呪いは、最近の研究テーマである。
以前にも、「木村伊兵衛とライカと新興写真」というテキストを上げた。
モホリ・ナギが1925年に著した『絵画・写真・映画 (新装版 バウハウス叢書) 』というバウハウスの教科書を研究した木村伊兵衛が、
時代は1930年代始め、満州事変が起こり、日本が戦争の道を歩み始めた頃である。
そうか、時代の空気としては、木村伊兵衛の若かりしころと似ているかもしれない。
ガジェット系Youtuberとして、カメラに関するSNS炎上の度にコメントを発している、ジェットダイスケさんが注目である。
2024年11月11日に「【本当?】ライカ使うと写真がヘタになる?上手くなるどっちなんだい【カメラ】」をアップしている。
開始6分頃に発言しているが、
ダイスケさんは、やっぱり「写真の腕はカメラの技術によって代替可能である。」という。
また以前からレンズの味の話題も多く、写真の腕と味、両方がカメラ技術依存的なご意見なのがよくわかる。
だからガジェット系Youtuberなんだろう。
〈カメラ技術依存的な写真の腕と味〉とは何だろうと考えると、モホリ・ナギが提唱した新興写真ということになるだろう。
背景としては、ハイデガーやキットラー、さらにはメディア考古学に続く、ドイツ観念主義批判からくるマテリアリズム/物質性/唯物論となるのかな。
これが僕が、イマココでの〈ライカという絵筆の呪い〉の正体である。どっとはらい。
2024/11/12 9:38