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【シリーズTurntable第1回 最終記事】日本語教育が発揮する、紛争予防効果

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■ダイジェスト
・紛争予防は、平時から取り組むことに意義がある
・日本語教育には移民増加の摩擦を軽減し、紛争を予防する効果がある
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(先日の投稿から他のイベント運営、お手伝い等諸般の事情で、ブランクが空いてしまい申し訳ございません……💦)

NIHONGOさんとの企画に至ったもう一つの理由は、道しるべが模索するテーマとも関係があります。実社会に紛争解決のセオリーを導入することを目指す道しるべとして、この移民社会化する日本が抱える摩擦を抑える上で日本語教育の発展が重要なソリューションであるとの考えに至ったためです。

道しるべが参照する紛争解決学とは、主に武力紛争を対象にその解決方法を研究する学問です。しかし武力紛争のみならず、成立当初に心理学や交渉研究など様々なレベルの「対立」を解消する学問研究が合流することで発展しました。人間同士の争いに光を当ててきた研究であれば、武力紛争に留まらずひろく一般社会の「対立」をほどく糸口を与えてくれるのではないか。そうした仮説のもとに、道しるべでは「対立」を解消するプロジェクト設計に取り組み始めました。

海外には地域の事情に合わせ積極的に移民を受け入れてきた国々があります。同時に多くの国で「紛争」のような社会的な摩擦が生まれました。日本も本格的に外国人、また外国にルーツのある子どもの人数が増える時代となり、社会のあり方が問われています。

世界で起こる紛争に対処するために、国連は冷戦後に紛争に対処する方法論を策定します。第5代国連事務総長ブトロス=ブトロス=ガリが国連総会に提出した『平和のための課題』というレポートで示されました。その方法論の骨子の一つとさして提唱された紛争の発生を予防する発想は、時を経るごとにその重要性が高まっていきました。各国で多発する紛争への対応のために、国際連合とその関係機関が紛争の予防を最重要課題として重きを置いたことは問題に取り組む関係者にも影響を与えました。

国連の平和構築への歩み

開発援助や平和維持活動など、数々の武力紛争の解決に血道を上げた国連。冷戦後に多発する内戦・民族紛争に対処するため、予防を最重要課題の一つに取り上げる。

紛争予防の方法論は大きく分けると2つ存在します。武力衝突が差し迫っている段階に武器が実際に使用されるのを防ぐ表層的手段(「作戦的紛争予防」)、武力衝突の気配がない平時から摩擦の芽を摘む深層的手段(「構造的紛争予防」)と呼ばれるものです。

note画像用スライド 紛争予防の効果

紛争解決という言葉が出ると、どうしてもシリア内戦など流血の戦場をイメージされる方もいらっしゃると思います。しかし、そうした武力衝突が起きる要因は戦争の兆しもない平時の社会にも眠っています。

NIHONGOの永野さんが日本語教育の改善を志し、西さんが金沢区の子どもたちの実情にフィットした教育を目指し問題に向き合い始めたのは日本語講師、学生の時からです。日本社会で大々的に報道される前から、お二人はこうした課題と向き合ってこられました。

社会が平和であるためには、まだ顕在化していない問題を見逃さず実直に向き合う営みが不可欠ではないでしょうか。まさに紛争予防の深層的手段の実践と言えると考えます。
NIHONGOさんの歩みは時に社会観念に挑戦しながらも、より良い世界に向かって挑戦していく大切さを投げかけているように感じます。こうした地道な取り組みが、少しでも多くの日本で暮らす外国人の生活環境を改善し、路頭に迷う人々の数を減らすことを願ってやみません。

【令和に願う、日本語教育と平和な日本の未来】
5月に幕開けした令和という時代。未来は未知数であることは言うまでもありませんが、「成功への道は自ら未来をつくることにより切り拓くことができる(ピーター・ドラッカー『明日を支配するもの』)」という先人の教えもあります。

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11/2  渋谷100BANCHイベント「未来の街」で講演する永野代表取締役

既存の日本語教室のキャパシティが限界点に達する中、教育のさらなる担い手が求められます。特に、世界的にも学習が難しい日本語という言語を適切に、身に着くように伝える教育方法が求められます。
新しいセオリー・技術も取り入れながら前進するNIHONGOさんの歩みも参考に、これからにふさわしい教育のあり方ができることを願います。道しるべでも、移民社会化する日本の摩擦を減らすプロジェクト作りに取り掛かっています。こちらも追って進捗をご報告させていただければと思います。

また現在、11月30日(土)にNIHONGOさんをお呼びしたTurntable最新回も企画が進行中です。道しるべ史上初めて、さらにもう1組のゲストをお迎えしたBarナイトとなる予定です。どうぞお楽しみに!

写真:

(トップ・講演風景)筆写撮影

11/2 「未来の街」100BANCHでの講演風景

(国連の平和構築への取り組み)国際連合広報センター

https://www.unic.or.jp/texts_audiovisual/



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