見出し画像

【桜井漆器#2】まずはここに行くでしょう、いざ桜井漆器会館へ

実は、というか、初めに記しておかなければならないことがある。

現在この記事を書いているのは2024年10月なのだが、桜井漆器について調べ始めたのは2024年7月ごろからなのだ
諸々話が手前にあり、noteやってみるかとなったため、時系列が少しずれてしまっている。

過去形で書き続けるのもなぁ…
と思い、現在進行形の感じで書いてはいたものの、7〜10月までの4ヶ月間のできごとが2週間くらいに超圧縮されてしまうので、のんびりとか初めに言ってたのにさすがに無理があるなと気がついた。
なので、過去のことを書きつつ、リアルタイムへフェードインしていくスタイルに変更しようと思う。
ちなみに、今はこの桜井漆器の話は思わぬ方向へと進み、WAYAの今後の方針も結構かたまってきている。

その辺はやや駆け足で過去から追いついた時に書いていくのだが、なかなか面白いことになりそうではある


2024年7月某日
WAYAメンバーたかはしの知り合った、実家が漆器店の方への訪問は少し先だったため、とりあえず行けるとこからということで、桜井漆器会館なるものへ行ってきた。


桜井漆器会館ってどんなとこ?

桜井漆器の産地は桜井の港町付近に固まっており、住宅エリアの中に工房や店舗を構えている。そのほとんどが少し入り込んだブロックにあり、看板なども見当たらないため普段の生活で目にすることはほとんどない。

桜井漆器会館はそのエリアからは少し離れた山側のバイパス沿いの広大な土地に佇んでいる。存在はずっと知ってはいたが、何度も前は通るものの行ったことはなく、そもそもいつからあるのか、どういった建物なのかすら知らないままだったのだ。
といったことをたかはしに話すと、「漆器、買えるよ」とのこと。

どうやら桜井漆器を売ってるとこらしい。

なんでもたまに箸とか買ったりしてるそうだ。
てっきり資料館とかだと思ってた。

カフェーが併設

桜井漆器会館に到着したが、喉も乾いたしとりあえず茶をしばくことにした我々。
敷地内にカフェーのような建物があったので近づくと、どうやら営業中の様子。
店名は“喫茶 花ぬり”
店に入り席に座ると、出てきたお冷のグラスに見覚えがあった。
数年前に祝い事で友人からもらった漆器のグラスそのものなのだ。
次いで注文したアイスコーヒーのグラスや砂糖の匙なども桜井漆器が使われていた。

なるほど、周囲に店舗のない場所に立っているため訪れた人はちょっと休みたくなったらこの“喫茶 花ぬり”に入ることになる。そこで桜井漆器を体験させて、購入に繋げようということなのだろう。

いざ桜井漆器会館へ

さっそく店舗に入りたいところだが、その前にこの会館、なんかやたらと良き建物なのだ。失礼ながら桜井漆器のネームバリューのイメージとのギャップがすごく、運営形態やらますます気になってくる。

美味い蕎麦でも出てきそうな佇まい

店内はかなり広々としており、多くの漆器が陳列されていた。
とりあえず見て回っていると、中央のレジにいたシニアの男性が桜井漆器の歴史、漆器製造の工程、最近の感じなどいろんなことを教えてくれた。
桜井漆器の歴史と工程などはながーくなるのでまた別で記すことにする。

桜井漆器会館の実態

話を聞いていくうちにわたしは自身の桜井漆器会館の認識が間違っていたことを知った。
もともとの認識では、桜井漆器の組合のようなものがあり、この会館は市とかの行政が運営し、博物館や資料館的な用途だと思っていのだが、
これらはほとんど違っていたのだ。
まず一番驚きなのが、この会館は一つの漆器店が単体で運営しているということだ。そして館の内容は漆器の販売、歴史等の展示、漆器の製造拠点と見学スペース、件オーナーの自宅である。
ちなみに今回話を聞かせてくれたシニアの男性はこの会館(漆器店)の会長(オーナー)さんだったのだ。(!)

会長さんの話

会長の鳥井さんは我々が地元桜井出身で漆器のことを聞きにきたということで、ありがたいことにとても気さくに色々な話をしてくれた。
これも別に詳しく書くのだが、桜井漆器は月賦販売という分割払い方式で九州方面と取引をしていたのだが、80年〜90年代になり徐々に九州の業者さんが月賦販売からクレジットカード決済に移行をはじめたという。鳥井さんは直接顔を合わせないクレカ決済と漆器販売の相性の限界を察知し、それまでの製造と卸しの営業スタイルから自社販売も行うことを決意したそうだ。
この施設、実際の職人の製造工程をガラス越しに見学できるようにし、歴史の展示と併せて購買へ繋げるという、かなり考えられたつくりになっている。名前を“桜井漆器会館”としたのも絶妙である。
何もしらない人からしたら桜井漆器全体の代表だって思っちゃう。
そのくらい規模がでかい。
建物もとても立派で、30年以上経っているとは思えないほど管理が行き届いている。そしてこの建物、なんと鳥井会長自身の設計なのだそう。
製造工程を見せるつくりや併設の喫茶で漆器を使うのも、会長のアイデアだそうで、「商人とは」というものを見た気がした。

桜井漆器会館の逸品

そんな会館は新製品の開発も常に行なっており、一番のヒット作は喫茶でも使われ、わたしも友人からもらった“花クリスタル”である。
会長曰く、ガラスの漆器を日本で(当然ながら世界で)初めて開発したのは桜井漆器会館だそう。
漆のガラスへの定着はとても難しく、専用の漆の配合の研究から始まったそうだ。その話を聞くと、自分の持ってる花クリスタルや桜井漆器についても桜井出身者としてなんだか少し誇らしく思えるから不思議である。

最近は今治市と連携し、菊間瓦や大島石、猪の皮などに漆器の技術を用いた製品の開発も行なっているとのこと。非常に精力的である。

桜井漆器会館はいいとこだった

地元なのにはずかしながら初めて伺った桜井漆器会館。
実際行ってみると、商品の種類も多くて価格も高価なものからリーズナブルなものまであるため、お土産や贈答品といった様々な用途として訪れることができる上に、歴史なんかもまとめて知れちゃう良い施設であった。
新型コロナの影響で終息後も実演工房は以前より回転してはいないそうだが、職人さんは自宅で作業をされているとのこと。

市外の方は今治にお越しの際は是非候補地のひとつに入れていただきたいのと同時に、市内の方も自宅に一つ地場産業である桜井漆器の何某かがあってもよいのではと思う。


早速知らなかった“今治”を知ることができ、大変いい訪問であった。
加えて突然の訪問にも関わらず地元出身ということもあってか、とてもウエルカムに話を聞かせていただいた鳥井会長にも感謝である。
(ちなみにこの時の訪問ではWAYAとしてのかたちはまだぼんやりしていたので、取材的な感じではなく、我々はただ普通に訪れてみただけであった。)
こうしたコミュニケーションは今まで今治では無かったなと思い、この経験だけでもWAYAをやり初めてよかった。
次回の漆器店の方への訪問も、非常に楽しみである。

【書いた人】まるやま / WAYAの「つくる人」

いいなと思ったら応援しよう!