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文化人類学がおもしろい

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わたくしコミュニケーションを専門とする博士(学術)の筆者が”複数の他者のあいだのコミュニケーションを記述すること”という切り口から文化人類学の文献を読んで行きます。 わたしは文…
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2023年3月の記事一覧

hyper-Δ項プレヤデス -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(21)

クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を意味分節理論の観点から”創造的”に濫読する試みの第21回目です。 これまでの記事はこちら↓でまとめて読むことができます。 前回の記事では、ワニの背に乗って水界を渡ろうとする主人公が、言葉のトラブルでワニに追われるはめになり、追いつかれてはやり過ごしまた追いつかれてはやり過ごす、追う者と追われる者が分離と結合を繰り返す、という因幡の白兎風の神話を取り上げたました。 (前回の記事はこちら↓) * 二が一になり一が二になる動き

川を渡ること・言葉を交わすこと/騙す言葉〜因幡の白兎  -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(20)

クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を意味分節理論の観点から”創造的”に濫読する試みの第20回目です。 これまでの記事はこちら↓でまとめて読むことができます。 これまでの記事を読まなくても、今回だけでお楽しみ(?!)いただけるはずです。このシリーズのエッセンスは下記の記事に書いていますので参考にどうぞ。 「構造」は脈動する?!レヴィ=ストロース氏といえば「構造主義」の思潮のきっかけを作った人物のひとりと目されている。わたしたちは『神話論理』から、レヴィ=ストロー

分別しつつ、分別しない「心」から生じる世界 -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(19)

クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を意味分節理論の観点から”創造的”に濫読する試みの第19回目です! これまでの記事を読まなくても大丈夫。 今回だけでお楽しみ(?!)いただけるはずです。 このシリーズのエッセンスは下記の記事に書いていますので、ご興味ありましたら参考にどうぞ。 ◇ / ◇ 二重の四項関係はダイナミックな脈動の波紋であり 二重の四項関係が実体として「ある」わけではない これまでの一連の『神話論理』を読む試みを通じて、私は下記の二重の四項関係=八

1項に8項を幻視する叡智 −レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(18)

クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を意味分節理論の観点から”創造的”に濫読する試みの第18回目です。 これまでの記事を読まなくても大丈夫。 今回だけでお楽しみ(?)いただけるはずです。 前の記事で、人間とAIがハイブリッドになっていく中で、近い将来「ことば」ということがどのようになっていくのか、その可能性をどのように考えることができるのか、といったことを考えてみた。 この「人間の」でもなく「AI(人工知能)の」でもない、「ことば」の力について想いを巡らせる上で