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文化人類学がおもしろい

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わたくしコミュニケーションを専門とする博士(学術)の筆者が”複数の他者のあいだのコミュニケーションを記述すること”という切り口から文化人類学の文献を読んで行きます。 わたしは文…
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2022年6月の記事一覧

ことばがことばに憑依する -島村一平 著『憑依と抵抗』を深層意味論的に読む

島村一平氏の著書『憑依と抵抗』を読む。引き込まれあっという間に読了。 特に冒頭「まえがき」にある次の一節は、私が個人的に興味をもって止むことのない深層意味論の世界に通じるものがある。 憑依の語り。 それは「韻」を踏む声を発声することから生まれる。 声を発すること憑依と聞くと、なにか「実体」としてのカタマリのようなモノが、私というモノの中に入り込み私の口を借りて勝手に喋り出す、という具合に説明==記述=意味分節したくなるところであるが、そうはしない。 ○ → ○ い

意味分節理論とは(10) 分節と無分節を分節する ー意味分節理論・深層意味論のエッセンス 〜人類学/神話論理/理論物理学/人間が記述をするということを記述する

noteのシステムから当アカウントが「スキ」を7000回いただいているとの通知がありました。みなさま、ありがとうございます! いったいどの記事が一番「スキ」をいただいているのだろうかと調べてみると下記の「難しい本を読む方法」がスキの数一位でした。 二年ほど前に書いた記事ですが、改めて読むとこの記事自体が難しいような気がしないでもないです。 * * この記事の趣旨を煎じ詰めれば「分かる」ということにはいくつかの種類がある、ということです。いや、いくつもの種類に”なる”と

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意味分節理論とは(2) -ピエール・クラストル著『グアヤキ年代記』×レヴィ=ストロース『仮面の道』を手がかりに二、四、八項関係の意味分節システムの発生を考える

(本記事は有料に設定していますが、最後まで立ち読みできます!) ピエール・クラストル氏の『グアヤキ年代記』などを読みつつ、人間にとっての意味ある世界、即ち自分達が生きる世界の意味ということを発生させる”意味分節”の技術について考えてみる。 ところで意味が発生するとは、いったい何を言っているのだろうか。 意味は「発生」するコトではなくて、固まってあるモノではないのか? そう思われるかもしれないが、そこは我慢して読んでいただきたい。 ここで問題にしたいのは、次のようなこと

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